Singin' in the Rain.(雨に唄えば)
なんやかんやで、今年は1月から2月はほとんど釣りに行かなかった。
例年、だったら湖でスプーンをキャストしてまったりとした休日を、、、なんだけど、どう見ても、明らかにトラウトがいない、空っぽな湖には全く行く気がせず、もっぱら世界情勢の観察と、温泉と、ファッションと、映画鑑賞というインドアアクティビティに明け暮れていた。
中でも、自分でも意外にハマっちゃったのが、映画。今まで何となく避けてきたミュージカルもの。
それも最近のじゃなくって、かなり古いヤツ。
一連のチャップリン作品も面白かったけど、それよりももっと良かったのが、1950年代あたりのモノ。このあたりのはBSなんかで時たま放映されてて、録画すればタダで見られたりもする。
「パリの恋人」なんか良かったなあ。オードリー・ヘップバーンのお相手役、フレッド・アステアのスーツの着こなしなんか、今流行りのオーバーサイズ系のファッションに通じるとこもあるけど、それよりもずっと洗練されてて、本当にいい。
もちろん、主役のオードリー・ヘップバーンは、それはそれは本当にキュートでコケティッシュなんだけど、
なんてったってこのオジサンのオシャレさにはまぁ、惚れ惚れです。
それともう一つ、男性フェロモンのカタマリのようなジーン・ケリーが踊りまくる、「雨に唄えば(Singin' in the Rain)」。これも良かった。
ほぼ70年前の映画でデジタル技術が使われていない分、色んなシーンに生き生きとした迫力がある。歌とダンスのクオリティだってすごい。
何より、なんだろう、この底抜けの明るさ、のんびりとした大らかさ。
今の時代の同じような映画を見ても、この雰囲気は出ていない。
やっぱり時代背景なのかなあ。色んなカルチャーを見ても、1950年代から70年代のものが明るく、元気で、のんきで好きだ。
実は社会一般の人々(アメリカとか日本とかの)の生活が一番豊かで夢があったのはこの時代じゃないのかな。なんて思ったりもしている。
さて、今年も解禁。
ムリヤリ繋げるつもりではないのですが、今年の3月1日の朝はシトシトと小雨が降り続いていました。
いつもの後輩くんと、車中泊で夜明けを待って、タックルをセット。
雨の日でもこの瞬間は、唄いたくなるような高揚感があります。
やっぱり解禁日は、トラウトアングラーにとって毎年の正月のようなもので、それはある種のセレモニーでもあります。
また今年も7ヶ月間、夢追い人になるための儀式。
僕の解禁日のセレモニー、それは1匹目でスプーンをキャッチすること。
そして、今年選んだ川は、僕たちが釣りをするフィールドの中ではまぁまぁ珍しいと思うんだけど、こんな派手な蛍光カラーが良い時がある。
(僕らが行く他の川は大抵ナチュラルカラーで釣れることが多い、と思ってます。)
サトウオリジナルのアンサー7g。このスプーンの代表的なカラー、K7。
1つ目のポイントに到着し、キャスト。シーズン開幕の瞬間。
しばらく様子を探っていると、どうもヤマメは一番太く、速い流れではなくて、その脇の少し緩いところにいるよう。
思い切って、ほぼダウンクロスでその流れをゆっくりトレースすると、じれたように8寸ちょいのヤマメが絡みついてきた。ロッドティップを軽くシェイクし誘い続けると、我慢しきれずにバイト。久しぶりに見るローリング。
何はともあれ、最初の1尾は嬉しい。ゴロゴロとした岩場ばかりのポイントで写真を撮るスペースがないので、軽く手持ちで1枚、パシャッと。
「あけましておめでとうございます。」
セレモニーが終わり、スプーンからミノーにチェンジして、トゥイッチ混じりのクロス〜ダウンクロスで次のヤマメを狙う。
カーディナル54はギア比が低いので本流の押しの強い流れでアップクロスの釣りはほぼ出来ない。
またこのリールにPEを巻いて、ロッドアクションを加えると糸フケが出易くなる。ミノーイングにはあまり向いてないのだ。気がつくと、スプールを外すボタン部分にPEが巻かれているというトラブルが多い。
「次のポイント、アップクロスじゃないと攻められないんですよ〜。」
後輩くんからそう告げられた時、ちょうどカーディナルはぐしゃぐしゃのライントラブルに見舞われていた。
とりあえずこの日の54はここまで。スペアに持って来てたハイギアのセルテートにリールチェンジした。
魚が顔を出してくれるポイントは限られていたけど、いるところにはいる、という日。
そぼ降る雨の中、後輩くんは、こんなキレイなレインボーをキャッチした。
僕も尺上ヤマメを1匹、
2匹キャッチ。
本流だったからもう少しサイズが欲しいところだったけど、解禁日としては上出来な1日だった。
その日の内に釣果をインスタにアップすると、気になるメッセージが。
まだ、一度もあったことはないが、なぜかネット上から伝わってくる男臭さだけは、ジーン・ケリーばりに濃い、別府在住の藪沢(やぶさわ)の王子様から、遠回しに、
「本流なんか行ってないで、いつもみたいに渓流のスゴイ色のヤマメを~!!」
と、思わずウッ!となる突っ込み。(酔っ払ってコメントするのはやめましょう。)
こんな風に、友人の釣果を見ながらのやり取りも楽しい、渓流シーズン。
たとえ雨でも、あの流れのそばで唄って、踊って。