正統医学と異端医学
Facebook・清水 友邦さん投稿記事
私たちの社会は西洋近代医学のモデルを信仰しています。
そのルーツはギリシャの医術の神アスクレピオスに学んだヒポクラテスです。
アスクレピオスの医療は呪術的で非物理的な領域を扱っていました。
ヒポクラテスは呪術的な要素よりも自然界の原則に基盤をおいた医療をしました。
ヒポクラテスは西洋近代医学の父とされています。
疫病が猛威を振るっていた中世の時代、薬草と呪術をつかって治癒を行なった女性は魔女として火あぶりにされました。
免許状をもった医師が治療に失敗すると、魔女にその責任が押し付けられました。
1500年から1650年のあいだに、300万から900万の女性が殺されたと推定されています。
その多くの女性は、治療を施したという罪で処刑されのです。
古代から口承によって伝承されてきた治療は完全に禁止されました。
19世紀のヨーロッパやアメリカでコレラが流行してホメオパシーが成功すると、現代医学、正統医学などの西洋近代医学はアロパシー医学と呼ばれようになりました。
感染症や慢性病に異端医学が効いたという話は正統医学にとって到底受け入れがたいことでした。
正統医学は物質科学を土台とするので非物質な領域の異端医学は到底受け入れらないのでインチキ医学とみなして排斥を行いました。
そのほかに西洋では心理療法のサイコパシー、自然療法のナチュロパシー、身体療法のオステオパシーなどがありました。
18世紀後半の医学は極端な男性原理優位で女人禁制の医科大学で教えられ無謀で荒々しい治療が盛んでした。
合理的かつ科学的なアプローチは人間を機械のようにパーツに分離させて生理学的側面だけを扱いました。
治療は薬物や外科などの物理的な生理機能の調整に費やされ心理的な側面は無視されました。
脳の機能は物質的なメカニズムに還元されるので心の病も脳の障害とされました。
西洋近代医学のモデルで死は肉体機械の単なる停止にしか過ぎないので死は敗北だと考えます。
西洋近代医学は物理学と化学の理論にその根拠を置いているので、目に見えない非物質的で微細なサトルの領域を扱うことはできません。
異端医学でなぜ治癒がおこるのか正統医学で説明することはできません。
奇跡的治癒が起きても異端医学の治療とは無関係にその患者は放っておいても治ったというしかありません。
男性原理の正統医学は異端医学を敵視し続けてきました。
西洋近代医学は抗生物質を使用して感染症に対して圧倒的な勝利を収めたように見えましたが
新型コロナウィルスの流行を見るとその効果は一時的なものに過ぎなかったようです。
現代社会は西洋近代医学が主流なのでウィルスを敵として滅ぼしてしまおうと考えます。
抗生物質が1928年に発見されてから感染症が克服されたように見えました。
しかし、ウィルスは「生き延びる」ために突然変異を起こして薬に耐性化しました。
新たに薬が開発されても耐性化した違う種類のウィルスが出てくることを繰り返しています。
ウィルスを殺菌したり感染しないように封じ込めようとしてきましたが、21世紀に入ってから新型コロナウイルスが既に3回出現してパンデミック(世界的大流行)を起こしています。
2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)
2012年のMERS(中東呼吸器症候群)
そしてSARS(重症急性呼吸器症候群)がヴァージョンアップされた今回の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)です。
当然これからも新しいコロナウィルスのタイプ3、タイプ4、タイプ5が次から次へと出てきてコロナウィルスが流行するでしょう。
ウィルスを薬で殺すことでは流行を防ぐことができないのです。
新型コロナウィルスの混乱は人間を部品として分けて見るのではなく体と心と環境と全体の関係性に気がつくことを教えています。
人間は微生物の集合体(マイクロバイオーム)です。
腸内にヒトの細胞数に近い約40兆個の細菌が存在しています。
微生物と人間は助け合って共生環境を維持しています。
微生物による免疫システムは共生と排除をしてウィルスの侵入を防御しています。
体表を薬で殺菌しすぎると皮膚の防衛機能が弱まってしまうデメリットがあります。
またうがい薬で殺菌すると喉の粘膜免疫システムが低下してしまいます。
抗生物質は腸内細菌のバランスを壊してしまいます。
多様な細菌が共生している環境では新型コロナウィルスだけが増殖することはできません。
生物学ではダイナミックにバランスを保っている生命現象を動的平衡(ダイナミック・イクイリブリアム)と呼んでいます。
バランスが崩れると新型コロナウイルスだけでなく感染を引き起こすウイルスや細菌が増殖して健康を失います。
殺菌すればするほど今度は人間の免疫力が弱くなってしまうのです。
細菌を忌み嫌う人がいますが細菌がいなければ人間は生存できないのです。
人間とは細菌やウィルスを含んだ超生命体の一部なのです。
細菌を征服すべき「敵」とする考えはもう時代遅れなのです。
古代の医療には治療志向と健康志向の二つの派がありました。
治療志向派は病気の治療には外部からの医者や薬による介入が必要と考え健康志向派は自然の法則に調和した生き方をすることで健康が得られると主張しました。
治療志向派は外部からのトリートメント(治療)に関心をもち健康志向派は内部からのヒーリング(自然治癒)に関心をもっていました。
西洋近代医学は法外な費用がかかる医学的介入の男性原理が優位です。
より安全で、確実で、かつ経済的でからだに備わっている自然治癒は無視される傾向にあります。
ヒーリング(治癒)はバランスのとれた全体に帰ることを意味しています。
今までの硬直した在り方ではこれからはやっていけないでしょう。
危機的状況は成熟した社会への変容が促されているのです。
自然界のダイナミックなバランスの流れに私たちが気がつけば正統医学と異端医学の両方が統合された医学がこれから現れるでしょう。
ヒポクラテスの誓い
◉歩くと頭が軽くなる
◉火食は過食に通ず
◉まず何よりも害をなすなかれ
◉すべての病気は腸から始まる
◉歩く事は人間にとって最良の薬である
◉満腹が原因の病気は空腹によって治る
◉月に一度断食をすれば病気にならない
◉病気は神が治し、恩恵は人が受け取る
◉汝の食事を薬とし、汝の薬は食事とせよ
◉人は自然から遠ざかるほど病気に近づく
◉病気は食事療法と運動によって治療できる
◉食べ物で治せない病気は、医者でも治せない
◉人間は誰でも体の中に百人の名医を持っている
◉賢者は健康が最大の人間の喜びだと考えるべきだ
◉病人の概念は存在しても、病気の概念は存在しない
◉私たちの内にある自然治癒力こそ真に病を治すものである
◉極度に激しい疾患には、極度に激しい治療が最も有効である
◉健全なる体を心掛ける者は完全なる排泄を心掛けねばならない
◉筋肉を充分に使っている人は病気に罹りにくく、いつまでも若々しい
◉心に起きる事はすべて体に影響し、体に起きる事もまた心に影響する
◉食べ物について知らない人が、どうして人の病気について理解できようか
◉患者に発熱するチャンスを与えよ。そうすればどんな病気でも治してみせる
◉人間がありのままの自然体で自然の中で生活をすれば120歳まで生きられる
◉病人に食べさせると、病気を養う事になる。一方、食事を与えなければ、病気は早く治る
◉病気は人間が自らの力をもって自然に治すものであり医者はこれを手助けするものである