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鼻血濁点々

過去の話①[リオネル]

2016.11.04 00:10

リオネルはフランスで有名な企業家の令息だった。

父は仕事ばかりで母親どころか、リオネルには何も関与しようとしなかった。

母には人形、というか女性として扱われ、大きな家の一室に閉じ込められていた。


[偶像愛]

リオネルは母親に愛されていた。

それは過剰であり、異常な愛だった。

息子に向ける愛情というよりは、愛玩動物に向ける愛情だった。

美しい容姿の男子にもかかわらず、

母親は彼を「女の子」として扱った。

どうしても娘が欲しかったのに、叶わない現実を受け入れられなかったから。

女子の衣服や下着を着せられ、口調や一人称も女性のものさせられた。

男性を受け入れるために、男性への施しの仕方を教えこまされたりもしていた。

さらには付いていたモノを切られたりした。

度重なる性的暴行や暴力。

父親は何もしてくれない。それどころか自分を居ない者としている。


外に出ても群がるのは奇異の目で見てくる人間ばかり。


みんな嫌いになった。

周りに居た人間は誰も見て見ぬふりをする。

人間という生き物が大嫌いになった。


[母親の異常な愛]

彼女がリオネルに対してこんなことをしたのは、自分の生き写しだと思っていたから。

母の容姿は金髪碧眼に白く透き通った肌、身長は高めで、体の形も完璧だった。

美しさに固執した彼女は、年を取りこの身体が崩れるのを何よりも恐れた。

結果的には意味のない彼女の自己満足にしかならなかったが、

リオネルの身体を使って不老になろうとしたのではないか、といわれてる。



[子供の頃の火傷の理由]

母親の仕打ちと父親から自分への関与が無いことに耐えられなくなり、家を放火。

このまま生きていても意味がないから自分も一緒に死ぬことにする。

ギリギリのところでアズに助けられ、

大した怪我をしなくて済んだが、

母親に愛された顔や身体が気持ち悪くて、

北の廃棄場で自分に放火する。

死ぬ寸前でアズが止めに入り生き延びる。

全身に酷い火傷を負って、髪が生えてきたあとも暫く消えることはなかった。