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ZIPANG-5 TOKIO 2020 室町時代から続く ’’一子相伝’’ 茶筌(ちゃせん)づくりの技を今に伝える!~生駒市高山地区~

2021.03.16 06:35

竹の寒干し
高山の冬の風物詩「竹の寒干し」は、生駒市高山地区内で毎年2月の寒い時期に行われています。竹を笠のように寒風にさらして1ヶ月程度天日で干します。

一子相伝の技「高山茶筌(ちゃせん)」

茶筌とは抹茶を点てるために使用する道具の1つです。
抹茶と言えば、こんもりと泡立てた姿が有名なため「泡だて器の一種」と考えられることも多く、例えば“茶せん”を英語で表記すると“Tea Whisk(お茶泡だて器)”となります。しかしながら、茶せんは本来お湯を加えた抹茶を、茶碗の中でかき回し均一に分散させる道具であり、泡を立てる道具ではありません。


茶道を支える高山茶筌

生駒市の北端にある高山地区は竹製品の伝統技を伝える里。500年以上の歴史を有する高山茶筌を始めとする茶道具や編み針を秘伝の技により高山の人々によって伝えられてきました。

高山茶筌は室町時代中期から「一子相伝」の技として今日まで脈々と受け継がれており、永年の研究と努力から継承されてきた伝統の技は、小刀と指先でほとんどを作ることから「指頭芸術」といわれ、国の内外で高く評価されています。 現在も茶筌の国内生産シェアの95%以上を占めています。


高山の歴史


万葉歌碑


生駒市の万葉歌碑
生駒市では、万葉集で生駒という固有名詞が出てくる6首の歌碑を建立している。
その一基が竹林園内にあります。

「妹に逢はず あらばすべなみ 岩根踏む生駒の山を 越えてぞ我が来る」

遣新羅使人 巻15-3590

あなたに逢わないではいられなくて、岩を踏んで険しい生駒山を越えてきた。



茶筌の国内生産量のほとんどを占めて日本唯一の茶筌の生産地として有名な高山ですが、なぜ、この高山の地でこんなにも茶筌作りが盛んになったのでしょうか?

それは、今から500年以上も昔、室町幕府8代将軍足利義政の時代のお話です。
その昔、ここ高山は、鷹山氏が支配していた村でした。

この村で茶筌が作られたのは、室町時代の中頃のことです。高山城主の次男宗砌が親友の村田珠光に依頼されて作ったのが始まりと伝えられています。

さて、茶筌作りを依頼したというこの村田珠光とは、一体何者なのでしょうか? 実はこの村田珠光は、称名寺※という寺の住職で当時流行の連歌、和歌、書道の達人として有名な人物で、現代では、一般的にわび茶の創設者とされています。

そんな珠光と宗砌は連歌や和歌を通じて親交が厚く珠光が初めて茶道を考案したときに茶道にふさわしく茶をまぜる道具の制作を依頼され作りあげたのが、この茶筌なのです。

その後、珠光が京都へ移り時の帝、後土御門天皇が茶の湯の席へ出かけられたとき、宗砌が献上した自作の茶筌を鑑賞されました。

そして、その繊細な作りを見てお褒めの言葉を頂くと同時に、その茶筌に高穂(たかほ)という名前をつけてくださいました。これに宗砌は感激して茶筌つくりに力を入れ、その製法を鷹山家の秘伝としました。

こうして天皇が名前をつけてくださったことにより、高穂茶筌が有名になり、ここ鷹山村の名前や家名の鷹山を廃止し高穂にちなんで高山と改めました。 高山城がなくなった後も秘伝の茶筌制作、販売を許された家臣16名が秘伝としての言いつけを固く守り一子相伝の伎として、生まれて性を名乗る男子以外には、茶筌の制作を許すことはありませんでした。

 時は流れて昭和の時代を迎えても、この秘伝は固く守られてきましたが、人不足によりこの制度はこわれ、長きにわたって秘伝とされてきた技術も一般に公開されるようになりました。また、500年の歴史と技術を認められ国の伝統的工芸品に指定されています。

高山では茶筌の製造に付属して、茶道具も生産されるようになりました。茶道具には柄杓、茶杓、茶合、花器、菓子箸などその種類は数えきれないほど豊富にあり、その手作りの伝統製法は秘伝として400年余りの歴史を持っています。

明治時代の終わりごろからは、伸子針をもって始まった高山の編針製造は、大正7.8年ごろから毛糸編針の出現により、一大発展期を迎えました。さらに戦後になり、女性の手芸手編みブームで編針の需要は急激に加速しました。こうして高山は茶筌、茶道具、編針と時代を超えて竹製品の産地として有名になりました。


 ※称名寺


もともとは興福寺の別院で興北院と呼ばれていました。称名寺という名称は、文永2年(1265)興福寺の僧、專英と琳英、京都西山三鈷寺の澄忍上人の三僧が、念仏の道場として開した時に始まります。

茶道の始祖とうたわれ、同寺の僧でもあった村田珠光は「独盧庵」(俗称珠光庵)を建て“陀び茶”の境地を開いたといわれ、珠光ゆかりの寺として今も多くの人が訪れています。

※本堂・茶室は5/15特別公開のみ拝観できます。



生駒市高山竹林園 ご案内


高山竹林園は、高山地区の伝統ある竹製品をPRするとともに、地場産業の推進を図っています。


竹の生態園


日本だけではなく、外国からも集められた竹や笹が約50種類植えられていて、様々な竹の生態を、観察することがでできます。


資料館


資料館には、茶筌・茶道具・編み針などの竹製品が一同に展示した展示室、和室、研修室があります。


竹生庵


待合やつくばい、露地庭などがしっとりと美しい本格的な茶室です。


お抹茶体験


高山茶筌で点てるお抹茶は、おもてなしの心と日本文化のわび・さびを感じることができる癒やしの空間 コロナ禍でも近隣住民の人気スポットになっています。


竹細工クラフト教室


伊藤俊夫さんの指導のもと、茶筌等の端材を使って「うさぎの餅つき」を作りを8月4日に開催しました。今回も参加者の皆さんが一生懸命に竹を削り・磨き、そして接着し、かわいい作品を完成させました。


高山茶筌の制作工程


1, 原竹(げんちく)


冬に切り出された、生えてから2.3年生の竹を厳寒の時期にさらし、貯蔵したものを切断します。筋を挟むように切り円筒形の「コロ」にします。


2, 片木(へぎ)


筋の上部分位から先端の皮をむきます。次に大割包丁で等分に割っていきますが、割り方は竹の太さや、作る穂数によって12~24等分にします。 これを1片ずつ外側にこじあけ包丁で皮肌と身を分けて、身をとりのぞいていきます。


3, 小割り(こわり)


1片を大小交互になるように10本に割ります。


4, 味削り(あじけずり)


穂先になる部分を湯に浸し穂の内側を根元から先になるほど薄くなるように削ります。 内側にむかって丸くなるようにしごき形を作ります。削り方は茶筌の形によって変わります。 茶の味は味削りによって変わると言われるほど、最も難しい工程です。


5, 面取り


削りあがった茶筌の外穂になる穂の両角を削ります。これは抹茶を点てる時に茶が付着しにくくするためです。


6, 上編(うわあみ)下編(したあみ)


面取りした外穂をおりあげ糸で編んでいきます。 下編みで穂を広げ上編みで穂の根本がしっかりするようにします。


7, 腰並べ


内穂を中心へ向かって組み合わせ、茶筌の大きさを決め根本の高さと間隔をそろえます。


8, 仕上げ


穂先の乱れを直し、形を整え、穂先までの間隔などを均等に直し仕上げます。



世界で一つの茶筌「このみ」


「このみ」は淡竹の一種の「紋竹」で作った茶筌で、「紋」は同じものがなく、また編み糸も色々な色の糸を使用していて、世界で一つの茶筌となっています。   



高山茶筌 Q&A

Q    茶筌は1日に何本ぐらいつ作れるのですか?

茶筌師の方にこれを聞くと「1日に夫婦で5~10本できれば一人前といわれるが、手仕事は死ぬまで修行です。」という答えが返ってきました。 茶筌には様々な種類があり、竹の材質も1本1本異なるため「1日に何本できる」と、はっきりした数はありません。


Q. 茶筌を作る中で1番難しい工程は何ですか?

茶筌づくりで最も難しいとされているのは「味削り」の工程です。
味削りは竹の皮の内側を、根元から穂先に向けて徐々に薄く削っていくという繊細な作業で、「茶の味は味削りによって変わる」と言われるほど重要な工程なのです。味削りをした茶筌の穂先の薄さは0.03㎜(100分の3㎜)といわれています。日本人の髪の毛の平均が0.08㎜、細い人で0.06㎜、太い人で0.12㎜といわれていますので、髪の毛の半分以下の太さということになります。昔は「半紙の半分の厚さに削れ」と教えられていたそうですよ。


Q. 茶筌の穂には色々な形がありますが、どのようにして先を伸ばしたり、丸めたりしているのですか?

一般的に茶筌の穂先というと、茶筌の中央に向かって丸くなっているものが多いのですが、その他にも真っ直ぐ上に伸びているものや、くの字に折れ曲がったものなど様々な形があります。 穂先は味削りによって薄く削られたあと、小刀と手でしごき、均一に丸められていきます。くの字に折れ曲がったものも、同じように小刀と手で癖をつけて作られますが、真っ直ぐに伸びた穂は、根元から穂先までの厚みを均一に近い状態で削ることによって作られます。こうして様々な形の穂先をもつ茶筌が作られているのです。


速報
《高山竹林園》今の時期~お抹茶体験~

🌸 冬に桜の花を咲かせる啓翁桜🌸 

ひと足はやい春を、お抹茶と共にいかがでしょうか✨
高山茶筌を使って、ご自分で点てていただきます(o^―^o)



第二十四回 高山竹あかり


毎年、10月に生駒市の高山竹林園にて開催される「高山竹あかり」です。

昨年開催の第二十四回 高山竹あかりのポスターとチラシのデザインを担当したのは、奈良芸術短期大学デザイン広報サークルの二回生・中山ほのかさんです。まさに「古今折衷」格調高い素敵なポスターです。今年のデザインはどんなんかな~楽しみです!



秋の夜、竹製品の里「高山」に幽玄な風景が生まれます。竹の造形物の展示や演奏会のほか、お茶会や体験教室など人と竹との関わりを感じる二日間。

今年も是非お越しください。お待ちいたしております ‼



鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
石川県 いしかわ観光特使



協力(順不同・敬称略)

生駒市高山竹林園
奈良県高山茶筌生産協同組合
〒630-0101 奈良県生駒市高山町3440番地 TEL 0743-79-3344

農林水産省
近畿農政局
〒602-8054 京都市上京区西洞院通 下長者町下る丁子風呂町 電話:075-451-9161(代表)

公益社団法人 奈良市観光協会
〒630-8122 奈良市三条本町8-1 シルキア奈良2階 TEL: 0742-30-0230



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