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「4-5年先に給食センターができるからいいや」ではない――令和3年度第1回市議会 文教社会常任委員会 (前編)

2021.03.14 16:04

3月11日に開催された、市議会定例会の文教社会常任委員会で、中学校給食センター整備事業についての議論が行われました。関連箇所のみ、若干ダイジェストでお伝えします。前編は、第29号議案(令和3年度予算)についての議論です。

議会録画から書き起こしたもので、正式な議事録ではありません。


0:22:18

松岡みゆき委員(自由民主党):

2月に答申が出され、私たちも固唾をのんで見守っていた。決まったことはさておき、私のところにお母さま方からいろんな相談がある。答申の内容のセンター開始は4-5年後だが、6年生、今中1などの生徒さんたちは間に合わない。そのお母さまたちからの相談。

今の給食の喫食率が10%に満たない、どんどん下がっている。その理由の一番は、親は給食をとってほしいけど子どもはとらないということ。配膳室が遠くて時間がない、お弁当の子たちよりも食べるのが遅れるという点が最大の問題で、「松岡さん、何かいい方法がないんですか」とよくお母さま方から聞かれる。

例えば配膳室を近場に持ってくるとかできないかと担当部局に聞いたら、「各学校の配膳室は衛生管理の問題などで動かせない」と。でもお母さまたちはなんとか子どもに食べてほしいので、時間短縮のいいアイディアがないかと言われた。なんとか給食を子どもにとってほしいが、お弁当の子と格差の生じないようにどうにかならないか。

4-5年先のことも重要だが、全員給食が食べられない、今食べられない子がいる。喫食率を上げる努力、知恵はないのか。


保健給食課長:

配膳に時間がかかるという話は聞こえてくる。その一方で、エレベーターがあって教室の近くまですぐ運ぶことができる学校も一部ある。しかし、それで学校間の利用率に差があるかどうかというと、そんなに差はなく、あまり大きな問題と捉えていない。運んでいくところで時間差が出るという意見をお持ちの生徒さんもいるようだが、それが全てでもないかなと思う。

例えば給食を誰かが運ぶことを想定すると、衛生管理上の問題がある。適正な温度で保管し、食べていただくまでの管理が必要。作業をしてくださる方を単に雇って運ぶというだけの話ではない。業者とも話をしたことがあるが、短時間のために人を雇うのは難しいということで、取り組みに至っていない。


松岡委員:

給食を食べる時間は15分? 20分もなかったか?


保健給食課長:

学校にもよるが20分程度ある。


松岡委員:

取りに行くまでの時間はそんなに違わないとおっしゃっているが、そうではない。保護者の方から相談によると、3階から1階に取りに行き返すまでとなると、5-6分は差が出る。どんなに急いでもそれくらいかかると親御さんから聞いた。そうすると給食を食べる時間は15分を切る。その間にお弁当の子は食べ終わっている。ナイーブな時期の中学生だから、お友達と遊ぶ時間がなくなるのか、話す時間がなくなるのか、わからないけれどそこに何かがある。「栄養バランスがよくておいしくて安いのになぜ食べないの」と思うけれど、そのあたりを解決しないと、4-5年の間の中学生のお母さんはたまったもんじゃない。共働きには死活問題に等しい。前の晩から用意しなきゃいけないし、朝バタバタしてる、なんとか給食を食べていただきたいというのがお母さんたちの本当の願い。

4-5年先の子どもはいいが、その間待っていなきゃいけない保護者には、その問題をなんとかクリアできないのか。食べる時間を5分延ばすのはカリキュラムの問題などもあると思うが、ここの解決がないかぎり、喫食率の問題は向上できない。そのあたりを私は肌で聞いているが、どうにかならないのか。


保健給食課長:

責任をもって衛生管理をしながら配膳のところまでできるのか、業者等との研究が必要。全く今できていないのでやりませんということではないが、しっかりと管理し、業務として配膳ができるのか、研究を進めていきたいと思う。


松岡委員:

大変なことだとは思うが、配膳するところに何か予算をかけて時間を短縮してほしい。給食の時間は20分以上延ばせないかもしれないが、5分の差が大きい。いかにして配膳室から教室までもっていくかが問題解決のポイントがあると思う。衛生管理をしつつ子どもたちに安全に給食を届ける、そこに予算をつけられないか。4-5年の間。そこがすごく大事だと思う。


保健給食課長:

先ほどお話したのは、そういった部分も含めて研究はできると思っている。予算の問題もあるが、予算があってもそれに従事していただくための人集めができるかというところにかかってくるので、改めてそこを確認したい。


松岡委員:

この4-5年が勝負で、全員給食がない間のお子さんたち、保護者の方たちの問題をどうやってクリアするのか。喫食率が毎年落ちているということは、やはりそこに問題があると思うので、手をこまねいているのではなくて、なんとか努力をしていただきたい。「4-5年先に給食センターができるからいいや」じゃなくて。

お母さまたちで、時間のある人は「自分たちが手伝いにいく」とまでおっしゃっている。そういうお母さまたちの思いが凍結しないよう、答申で安心することなく、給食をとりたいお子さんにちゃんと届くようにしてほしい。私たちが議会中食べている、695円で注文している給食を310円で食べられるのだから、食べてもらえるよう、時間の問題を解決してほしい。お母さまたちの切なる願い。


0:56:02

いわせ和子委員(自由民主党):

市長のほうからも給食センター方式による全員給食を目指すということで、大変うれしいお話をいただいた。3カ所に建設する予定で2024年度に1カ所目、その候補地が旧忠生第六小学校跡地にということだが、今までの町田市の考え方を振り返ってみると、例えば学童保育クラブは「できるところから取り組んでいく」にではなく「一斉に取り組んでいく」というような考え方だったと思う。

今回の給食センターはまず1カ所目を作りますという方針が出たわけだが、改めて確認したい。できるところから順次、3カ所作っていくという認識でいいのか。


保健給食課長:

理想をいうならば全中学校一度にといいたいが、敷地の確保などいろんな条件もあるので、代表質疑でもあったように2024年度に1カ所目稼働を目指していきたい。2カ所目、3カ所目もできるだけ早期に実施ができるように取り組みたいということで、基本計画の中で考えていきたい。


いわせ委員:

2カ所目、3カ所目の候補地はこれから探すということだが、町田市学校給食問題協議会の資料(図)の地図のイメージで考えていても大丈夫か?


保健給食課長:

学校給食問題協議会では、配送時間をおよそ想定して町田市の地形を考慮して、3カ所に作ると安定して配送までたどりつけるというイメージの図としてご説明した。町田市は独特の形なので、3つの円でカバーできるのであれば、という案を示しているもの。その円の真ん中にセンターを作るという決定ではなく、円はズレていくものとして協議を進めた経緯がある。


いわせ委員:

旧忠生第六小学校、25億で4000食を予定しているということだが、配送できる中学校はまだ決まってはいないか?


保健給食課長:

来年度の基本計画の中で想定していく。およそ12000食を3カ所で賄うという想定をしたときに1つの例として、1カ所4000食であればとお話ししている。建設候補地や建設できる条件の中で、4000食であるかどうかはこれからの検討の結果を待つことになる。


いわせ委員:

基本計画策定にしっかり取り組んでいただきたい。給食センター方式と決まっていろんな課題が出てくると思う。

行政報告の中で報告されるだろうということで要望にとどめさせていただきたいが、災害対応や地域貢献をしていくという話の中で、一人暮らし高齢者への食の提供、ひとり親家庭への食の提供など、幅広く運営していただきたいと思う。学童保育クラブの話の中でも要望を出させていただいたが、小学校の夏休み等長期休暇中の昼食についても、給食センターを有効活用して提供できるような検討をしていただきたい。

また、先ほど松岡委員からも話があったが、給食センターができるまでは今の併用方式をやっていかなければならない。併用方式はお弁当箱のデザインも変えたしいろんな取り組みをしたからいいやではなく、喫食率が上がる取り組みをしていただきたいが、そこのところを一言。


保健給食課長:

おっしゃるとおり現行方式はセンター稼働まで続けていく。考え方としては、給食を利用したい人が利用しやすい環境を整えていくことはこれまでと変わりはない。「給食センター方式が決まったから後はいいや」と考えているわけではないが、取り組めるところには取り組んでいく。それでは難しいところ、限界があるところは、これまでの協議などを踏まえて給食センター方式へと転換せざるを得なかった部分もある。いずれにしても取り組みは進めてまいりたい。


いわせ委員:

ぜひお願いする。子どもが行っている学校でも入学式での説明で「おいしい給食ですよ」と伝えていただいているが、保護者同士、子ども同士、きょうだい同士、「冷たくておいしくない」という言葉が受け継がれてしまっているように思う。併用の取り組みにも力を入れていただきたい。


1:30:50

殿村健一委員(日本共産党):

町田第一中学校の改築工事において、新たな中学校給食との関係で、エレベーター、配膳室など、給食を想定した設備としてはどのように対応されたのか。


施設課長:

武道場の下が駐車場になっており、そこに車が直接入ってくるということになり、セキュリティも確保している。エレベーターにかなり近いところから上がっていけるという導線になっており、使いやすい構造と考えている。


殿村委員:

保健給食課長にお聞きする。今伺ったような新たな設計と比較したときに、その他の中学校の設備・構造という点で、仮にセンター方式で給食車を受け入れるとすると、構造上の対応はどのように認識をされているか。


保健給食課長:

受け入れ側の中学校の整備については、具体的にこうすると確定しているわけではないが、全員給食になるので運んでくる食数が大幅に変わる。大きなコンテナ上のものをトラックから運び入れることを考えると、スロープのようなものを整備しなければいけないと考えている。


1:38:44

殿村委員:

早く全員を対象に、安全で栄養が行き届いた温かい給食をという基本的なコンセプトのもとでセンター方式と。しかし給食問題協議会の議論をみると、「本当は自校方式がいいと思う」という意見が最後のほうに出ていた。とはいえ時間がかかるので、早く実現するにはセンター方式がやむを得ないという選択かなと私は見た。

なぜ自校方式が本当はいいのかということを私なりに考えてみたときに、教育委員会のほうで基本的コンセプトにあげているような給食は、小学校のような給食である。さらに時間と費用が課題になってくるのだと思う。より小学校の給食に近い形で、内容が充実した中学校給食、という取り組みが求められていると思うが、どうか。


保健給食課長:

今回切り替えた理由としては、これまでもお話ししたが、2019年度の無料試食会で多くの中学生に実際に給食を食べて感想をいただいたところ、温かい給食を求めるというところがどうしても解決に至っていなかった。また6月から分散登校となったときに、中学校では給食を活用して授業の編成を組みづらかったというような話があった。給食のスタイルが、業者に頼っているため柔軟に変更できなかったことを新たな課題として認識した。それらを解決するためにどういった形をとるのがいちばんいいかを、給食問題協議会でご意見をいただき検討した結果、給食センター方式による全員給食となった。必ずしも小学校と同じにすればいいかというと、教育上の狙いも少し違っているかなと思う。


殿村委員:

教育上の狙いというのはどういうことか?


保健給食課長:

小学校においては食事の基本的なところ、マナーなどを学んだりとか、そういったところなので、全員で食べて全員で同じように学んでいくことの重要性ををひとつのポイントとしてもっている。中学生においては、世の中にいろんな食材があったり、食事をとるときにどういったものが自分たちの今後の健康のために必要であるかとか、そういったことを選択しながら判断できるような大人になってほしいという狙いがある。これまでの選択制が、そもそも選択していくためという狙いにも合致していたかなというふうにとらえている。


殿村委員:

いずれにしても中学校の給食は小学校でみな経験してきているので、内容は違うにしても同じ食育という観点は違わないのかなと思う。そういう意味で私は、小学校の給食のコンセプトの中に大事な要素があるという点では、どの形式になったとしても、それぞれの要素をいかに充実したものにできるかということが課題と申し上げたかった。

一応答申と教育委員会の回答としてはセンター方式、忠生第六小学校跡地を筆頭に3カ所をということだった。協議会の議論の中でも、自校方式で全部やった場合、親子方式で全部やった場合、という議論の仕方があったと思うが、私はセンター方式を基本にしながら自校方式や親子方式を組み入れていくような柔軟な対応もあってもいいのではないかと思う。期間という点でも、費用という点でも。

個別に給食室を作れる中学校は何校かあると、資料に具体的に学校名も出ている。親子方式・兄弟方式(中学から中学)といういろんな事例も示されている(答申資料33ページ~)。センター方式3カ所ということであれば、そこで作らなきゃいけない数と配送時間がかなり確定してくる。それをもっと縮めることも一つの検討策として必要ではないかと思うが、そういう余地はあるか?


保健給食課長:

自校方式や親子方式で実施する余地があるかというご質問だと思うが、給食室を建設するとか、親子方式の整備などを行おうとしたときに、既存の学校の改修工事が必要となってくる。先ほども話題には出たが、小学校なら小学校、中学校もそうだが校舎や給食室自体が40年近い年数を経ており老朽化が進んでいる。給食室だけを簡単に手直してうまくいく話ではないと考えているので、全体の整備が必要になることが時間がかかる理由のひとつ。

たとえ親子方式で、小学校の給食室を改修して行ったとしても、例えば数年後にまた学校の建て替えの必要が出てくる可能性がある。そうしたときには、先ほども(戸塚委員の)話題に出たように余計な財源を投資すべきではないのかと思う。そういったことを考えると、手直しをしてできるところからやっていくよりは、給食センター方式で一括で早期に実現できるのではないかということを考えて、こういう方針になった。


殿村委員:

そういうやり方、方式に決まった経緯と考え方はわかった。が、私としてはあえてもう少し柔軟に、自校方式で可能な学校、あるいは親子方式が可能な学校がある場合、そこを先に供給開始するとなれば、また全体の調整をすればいいと思う。

私は義務教育である子どもたちのためには、優先的に投資すべきだと思う。そのときの投資そのものは有効なわけで、無駄になるという言い方はありえないと思う。例えば、今までの全国の山村で、分校があってもいずれ潰れてしまったらそこに投資したのが無駄だったかというと、そういうわけではないわけで、やはり学校教育、子どもたちに投資するのは例外ではないかと思う。

話が戻るが、中学校給食の実施にあたってはひとつ、様々な組み合わせも柔軟に考えていただきたい。コンセプトとしては「早く、できるだけお金のかからないように」ということは検討していただいて構わないが、そのへんをよろしくお願いしたい。

(後編へ続く)