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いなみ野母里こども園

2026.02.01 15:00

えほんと暮らす小さな居場所 園児数:195名

木のぼり

ランチルーム内のえほんコーナーにある、高野槇の枝付丸太をそのまま使った、天然の遊具です。

南側全景

南北二つの園庭を持つ利点を生かし、南園庭には芝を貼って養生期間をとって使用されています。緑あふれる豊かな園庭です。

えほんのかくれが

押入れの下を利用した絵本のかくれが。畳2帖分のこどもスケールの空間です。

未満児デッキ

各未満児保育室に隣接して設けられた広めのデッキです。

以上児保育室

天然の杉板張の床上で、様々なコーナーが設えられています。


えほんと暮らす小さな居場所

「えほんがねえ、たくさんあるんですよ。」

長年にわたって買い揃えたえほんをいっぱい読んでほしいという園長の希望は、園舎じゅうに散りばめられた「えほんコーナー」という形で実を結びました。

玄関脇に親子で読む「えほんのこべや」、廊下にえほん棚付の「べんち」や「あるこーぶ」、ランチルームに枝付丸太の足元に床を掘り下げたスペース、2つの保育室の間には押し入れ下の空間を利用した「えほんのかくれが」を設え、「陽だまりでっき」にも本棚とベンチが置かれました。

こどもたちは、いつでも、どんな気持ちの時にでも、えほんに触れることができます。

一人でながめ、おともだちと囲み、先生に読み聞かせてもらい、暮らしに溶け込んだえほん棚から、きっと記憶の中で生き続ける思い出の一冊に出会えるでしょう。


生活を美しく

保育所は雑然とした室内になりがちですが、ここでは自然体ですっきりとした暮らしの時間が流れています。

壁面収納を充実させ、扉付園児ロッカーを廊下に作りつけて収納物を見えなくすると同時に、よごれ物など見せたくないものをきれいに見せる、個人別の扉付パススルー棚を沐浴室や便所に設えて、収納物を視覚的に制御しました。

床には素足に快適な天然の杉板が張られ、棚には鉢植えや品の良い装飾品が飾られています。こどもたちの力作、身長を遥かに超えるカプラの巨大作品が積みあがり、はらぺこホールの高野槇の枝付丸太には、こどもたちが攀じ登ったり、ぶら下がったりしています。


また、乳児保育室には、特殊付帯工事補助金を用いて、夜間電力を活用する蓄熱式床暖房を設置しました。室全体をやんわりと暖める、はいはい期の乳児にやさしい環境が実現しています。


「明らかにこどもが変わった。」と園長は仰います。旧園舎の時と比べ、喧嘩が減り、ゆったりとした暮らしになりました。

ここでのこどもたちの生活そのものが、美しい時間を作り出しています。


おやねのひろば(増築棟)

親子がともに過ごす時間が少ない今、束の間ではあっても、大切にしたい時間を豊かにする設えとなっています。

クローク(増築棟)

右はバンコール材によるカウンターテーブル。左奥の木製建具の向こうの樹木は、園内に自生していたものを伐採乾燥して建立した思い出の木です。

子育て支援室(増築棟)

床は桧の30mm厚。天井は岩綿吸音板。天井高さは1920mmからの2寸5分勾配になっています。


大人の居場所もあっていい

子どもの環境を優先するあまり、大人の環境づくりを後回しにすることが当然でした。でも、「そうじゃなくてもよいのでは」と、私たちはようやく気付き始めました。   

「おやねのひろば」と名付けた玄関を園の中心に置き、保育者も保護者も近隣住民も、皆が気兼ねなく過ごせる場所としました。ガスコンロとオーブンを実装したキッチンを設置しました。栗丸太の床を、保育者指導の自力建設で、園児の手を借りながら大人たちがつくり上げました。お迎えの時には、絵本を読む親子やママ友とのおしゃべりを楽しむ保護者の姿があります。近隣住民が自由に集う毎週の「もりカフェ」では、コーヒーやサンドイッチが提供されます。子育て世代と、子育て世代を応援する大人たちのためのサードプレイス。まちの居場所としてのこども園がスタートしました。



名称:社会福祉法人母里福祉会 いなみ野母里こども園

工事種別:新築

建築場所:兵庫県稲美町

延床面積:1603.19㎡

構造・規模:鉄骨造 + 木造 地上1階

園児数:195名

掲載:月刊『近代建築』2018年9月号第72巻9号(特集:保育建築の計画と設計)

   月刊『建築ジャーナル』2023年6月号第1343号

   月刊『木材情報』2025年10月号通巻413号

   (シリーズ:丸太を用いた木造建築物の設計意図とその手法) 

受賞:公益社団法人インテリア産業協会

   令和4年度『キッチン空間アイデアコンテスト』部門優秀賞