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30代になってからの特撮

コラム:なぜ「ドライブ」は「仮面ライダードライブ」を名乗れたのか?

2016.11.12 21:00

11月16日に外伝の第2作目の『ドライブサーガ 仮面ライダーマッハ/仮面ライダーハート』が発売される。『仮面ライダードライブ』

番組に関する情報が開示された当初は車に乗るライダーということで、ライダーではないのではないか?などと話題になりました。


しかし、始まってみれば熱いヒーロー、ベルトさんと進ノ介のバディ感

個性的な特状課の面々、人間味あふれるロイミュード

などの要素が人気を得ました。

特に終盤のレギュラーロイミュードの退場劇は多くの視聴者の涙を誘うなど、大好評の内にTVシリーズを終了しました。


本編終了後も『ドライブサーガ 仮面ライダーチェイサー』が製作されるなど異色のライダーの人気は衰えません。


さらに最新の映画

仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー』への客演が決まっているドライブ。


今回はそんなドライブについてのコラムです。


語るべき要素の多い仮面ライダードライブですが、やはり

車に乗るヒーローであるドライブが
なぜ『仮面ライダー』を名乗ることができたのか?

という点について考えていこうと思います。


長文になりますが、ひとっ走り付き合ってください。




まずは、仮面ライダーというヒーローが持つ他のヒーローとは違う、個性・アイデンティティがあります。

それは、古今東西様々なヒーローが誕生し、仮面ライダー自身が毎年新しいヒーロー像を模索していくなか、仮面ライダーには変わらないテーマといっていいものです。


それが『悪から生まれた正義』です。


このテーマは仮面ライダー誕生の経緯に基づいています。

最初の仮面ライダーである1号は悪の秘密結社ショッカーにより改造人間に改造されてしまいます。

ショッカーの尖兵として脳改造手術を受ける直前に組織を脱走したことで、正義の戦士・仮面ライダーとなり、自分と同じように改造された改造人間達と戦っていくことになります。


ここで注目したいのがショッカーという組織です。

改造人間という兵士が存在するように、ショッカーは人間の悪に生み出された人間によって運営される組織です。


これは怪獣という超自然的な存在と戦うウルトラマンや、妖怪や異世界、宇宙からやってくる敵と戦うスーパー戦隊とは大きな違いがあります。


仮面ライダーの戦いとはつまるところ『人間の悪意との戦い』と言えるのです。

こう考えると世界観が作品ごとで大きく異なる平成ライダーシリーズでも一環しているように思えます。


さて、本題である『ドライブ』について考えてみましょう。


『ドライブ』における敵はロイミュードと呼ばれる機械生命体です。

しかし物語が進むことでドライブ=泊進ノ介はロイミュードそのものが悪ということではないことに気づきます。


ロイミュードは人間をコピーすることで進化します。

人間をコピーした際、人間の悪の部分をコピーしたからロイミュードは悪事を働くようになってしまったのです。まさにロイミュードは人間の悪意を写す鏡なのです。


だからこそ、刑事である進ノ介はロイミュードと戦います。

彼らの悪事は人間の悪意が引き起こしたものであり、人の悪意を取りしまるのは刑事の務めだから。


そして

絶えることのない人間の悪意に対し、けして絶望せず正義の心で立ち向かい続けるヒーローこそ、正真正銘の『仮面ライダー』なのです。


たとえ車に乗っていようと、ドライブは仮面ライダーを名乗るにふさわしいヒーローだったのです。


そしてこの事実はもう1つあることを教えてくれます。

人間の悪と立ち向かうのはやはり同じ人間です。それは犯罪という形以外にも我々の日常生活の中に見受けられます。


日常の中の悪意に立ち向かったとき、我々も仮面ライダーなったと言えるんじゃないでしょうか?


歴代でもっとも仮面ライダーのイメージから遠かったヒーローは、その活躍を通して仮面ライダーであることを証明し、仮面ライダーと何なのか?を我々に見せてくれたのだと私は思います。