引退ブログ「心残り」 鹿島大吾
4年間の大学サッカーは本当に充実していた。九大でサッカーができて良かった。入部
時に想像していた以上にたくさんの経験ができて、幸運だったと思う。ここでは、引退し
たいま心残りに思うことについて話してゆく。心残りといっても僕らの代が抜けるだけで
九大サッカー部はこれからも続いていくのだから、決してネガティブな話ではない。今季
のコンセプトの何個目かに「Continue」があった。それまである程度の流れはあったとは
いえ、自分たちの代になってから大きな組織改革に着手しておいて「Continue」ってなか
なかの無茶ぶりだよね(笑)。次の代の性格を考えると捨てられるものも多いかもしれな
いけど、必要なものは残して繋いでいってほしい。
一つ目の心残りはその変革について。
代替わりの少し前から学年でミーティングを重ねて、金田さんの手も借りて「九大サッ
カー部を変えよう!」と5Cを打ち出して、最初の合宿も終えてここからってときに知ら
ないとこからドデカいCが来てすべてを流していった。中断期間も幹部やフィジカル班を
中心に足を止めぬよう努力したけど、大変だったね。再開してからは毎週のリーグ戦に精
一杯でこれまた大変だった。今季の取り組みは、この組織に何を残せただろうか。
新歓もアイデアだけはたくさんあって、どんとお金を使って楽しいことをやろうとして
たんだけど全面中止。オンライン新歓は慧理や後輩たちに任せきりにしてしまって申し訳
ない。そんな状況の中、一年生は入部してくれてありがとう。大学サッカーの大切な最初
の一年、いや数ヶ月、しんどかった人もいると思う。主体的にチームに関わる機会を与え
られなかったことが反省点です。なかなか話す機会も作れなくてごめんね、後輩の面倒見
がよいことが取り柄だったはずなのに。来季からは、九大サッカー部を存分に楽しんでほ
しい。
二つ目は、練習試合ができなかったこと。
三月から対外試合禁止が言い渡されて、リーグ戦には参加できたけど結局そのままシー
ズン終了まで練習試合はできなかった。いつだか金田さんが「チーム全員が毎週90分のプ
レー時間を確保できるのがベスト」と言って、そのとき「そりゃ厳しいだろ~」と口には
出さずとも思ったけど、今では練習試合の必要性を強く感じている。今季は戦術班の一員
としてメンバー銓衡に関わる機会が多かったが、材料がない。サッカーチームとしての健
全な競争の場が用意されていなかった。試合でプレーする姿を見たい選手が何人もいたか
ら、3日で2試合あるときにはターンオーバーを提案したこともあったが、それに踏み切
るには根拠が足りなかった。練習試合がなかったことは、個々の部活動のやりがいに関わ
る影響も大きいと思う。週5日の時間と体力を費やしてトレーニングに励んでも、その成
果を測る場がないのではどうにもやりきれない。
10月中旬には条件付きで対外試合が解禁されていたが、内心諦めていてアンテナを張っ
ておらず、気づいたのはだいぶ後になってからだった。気づいてから慌てて条件の整備と
相手探しに取り掛かったが、結局うまくいかなかった。来季は、人数の問題やマッチメイ
クの手間はあるけれど、できる限りたくさんの試合をしてほしいと思う。優揮人はまたB
チームの県リーグ参戦をやりたいと言っていたけど、どうなるんだろう。
マッチメイクに関してかねてから構想していることを述べておくと、練習試合の相手を
探すためのマッチングアプリがあったら良いと思う。いつだかそんな投稿したよな……と
思ってTwitterで検索してみたらだいぶ前から色んな人が言ってるね。実はもうどこかにあ
るのかも。電情の誰かちょうどいいの作ってくれないかな。
三つ目は、チームの得点パターンを作れなかったこと。
新チーム始動のタイミングで、全員に短期・中期・長期目標を書いてもらうということ
をした。確か、中期目標に「得点パターンを確立する」長期目標に「チーム総得点25」と
書いた記憶がある。戦術班の中に前線でプレーする選手は僕一人だけだったから、中心に
なって頑張ろうと意気揚々としていたのを覚えている。蓋を開けてみれば約5カ月の練習
中断、再開後からリーグ開幕までの1カ月余りの追い込み期間は教育実習のためにチーム
を離れていた。実習後、開幕戦(vs西南2-5●)を終えたチームに合流したが、昨季ま
で二季連続でビリ2の九大はまず守備の整備から。毎週試合が続くなかでチームとして
「どう点を取るか」にフォーカスする余裕はほとんどなかった。
結果は11試合で17得点。運良く5点、6点取れたボーナスのような試合があったから、実感としてはもっと少ない。5試合で完封負けだった。失点はほぼ倍の33か。来季はどち
らも課題だね。浅見はともかく、福山には期待しているよ。2月の合宿はすごかった。あ
の得点感覚をまた発揮してください。
ストライカーの端くれとして、非常に共感した上田綺世選手の考えを共有しておきま
す。web Sportivaから昨年の9月に出されたインタビュー記事です。
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/football/jfootball/2019/09/19/22_split/index.php
「U-22のエース上田綺世。ストライカーとしての本質をさらけ出した」2019.09.19
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/football/jfootball/2019/09/20/___split_88/index.php
「1年半前倒しでプロ入り。上田綺世がアントラーズ行きを決断した真相」2019.09.20
ストライカーとしての格は笑っちゃうくらい違うけど、得点やシュートチャンスについて
の考え方はほぼ同じ。特に共感したのは後編の4ページ目、シュートを打つ前に……の
件。決定機逸には選択のミスと技術的なミスがあるよね。余裕がある大チャンスほど色ん
な選択肢が浮かんで楽な方に流れがち。よく言われる「簡単なシュートを外すのに難しい
のは~」っていうのはそういう理屈です。浅見や敦基が決定機をフイにしたら、「決めろ
よ!」と言いたい気持ちは抑えて「こういう選択肢もあったんじゃない?」「なんでその
選択をしたの?」と声を掛けるようにしてあげて。松見はもっと自分でシュートを打て。
四つ目、全国に行きたかった。
終わってみれば再び笑っちゃうような話だけど、これまでのサッカー人生では高2の頃
の次にチャンスがあるように感じた。通例の総理大臣杯予選を勝ち上がるのはほぼノー
チャンスで、インカレはそもそも2部チームに挑戦権はないけど、総理大臣杯中止を受け
て今季特別に創設された#atarimaeni CUPには可能性を感じた。実際佐賀も西南もプレー
オフで善戦していたしね。
もともと1部昇格を目標にしていたから、リーグ要項が公開されたときに新たに加わっ
たモチベーションをもっと大々的にアピールしてチーム作りに取り組めていたらもしかし
たら……と妄想を膨らめたりもする。来季からはまた全国も夢でしかない話に戻るだろう
けど、始動からきちんと準備して1部昇格を実現してください!
最後の心残りは、懇親会ができなかったこと。
新年会が今季最初で最後になってしまった。追いコンもできそうにないね。
以上、これで心置きなく引退できます。
同期のみんなありがとう、居心地のよい学年だった。後輩のみんな大好きだよ。