上塗り
2016.11.11 05:13
124の工程を要する輪島塗の
クライマックスともいえる上塗りは
一切の塵埃をよせつけない為に
細心の注意が払われ
塗師蔵と呼ばれる専用の部屋で行われます。
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目に見えない程の埃も残さないよう
最上の漆を吉野和紙で漉す《漆漉し》
艶やかな漆がしたたる瞬間は感動的で
今でも目に焼き付いています。
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人の髪の毛で作られた何種類もの漆刷毛を
巧みに使い分けて塗り上げます。
作家の命ともいえるこの道具も
作る人が高齢化・激減し絶滅危惧なのだそう
伝統工芸が抱える大きな問題の一つ。
前回すでに申し分ない美しさだった中塗りから
更に研ぎ上げた下地になめらかに塗られる光景
この時はお椀の上塗りでしたが
貴重な撮影をさせていただきました。
約6ヶ月の時を経て
ようやく完成した酒盃たち
Less is more
という言葉がぴったりな美しさで
いくら眺めていても飽きません。
お渡しする日まであと少し
子どもたちにもそうしていたように
毎日とびきりいい音楽を聴かせています。
お客様には大変お待たせしましたが
輪島塗の見た目の麗しさや感触とともに
124の手間、作り手の想い
600年の歴史、文化
そして漆の時間軸に思いを寄せていただきながら
この先も可愛がって育てていただけたら幸いです。
ご一緒に成長記録ならぬ工程記録を
興味深いとブログをご覧くださった皆さま
本当にありがとうございました。
感謝をこめて