流域の研究をして分かったこと

わたしたち社会科学部流域班では、流域の研究で『大阪府教育委員会賞』を受賞しました。そこで、流域の研究をして分かったことや大事なことをまとめました。

流域とは、「水系(本流と支流を合わせて言ったもの)を中心にして広がる雨の集まる大地の範囲のこと」です。簡単に例えると、「地上に降った雨が地表を流れて川に集まる大地の範囲」のことです。
水は高いところから低いところに流れて、支流(本流と枝分かれした川)に流れ、最後は本流(川の中心)に流れます。


上の図のように、尾根(山の頂上)の囲まれているところが流域で、流域に降った雨は、すべて川に流れる作りになっています。その間に支流に流れ、本流に流れます。そのため、下流(川の河口に近い方の部分)で雨が降っていなかったとしても、上流(河川から遠い部分)で雨が降っていると、川は増水するのです。

2014年8月19日夜から20日、広島県で大規模な土砂災害が発生しました。原因は、短時間でたくさんの雨が集中してふったからです。そこで私たちは、「流域」という視点で広島県土砂災害について調べました。
広島県の山には、小流域がたくさんあります。小流域は、次のようにして見つけられます。

小流域を見つけることができたら、次は「地理院地図」を使って、長さ・高低差・面積を調べてみましょう。
地理院地図とは、地形がわかる特殊な地図のことです。断面図をグラフで見たり、
距離を測ったり、地形を3Dで見たりすることができます。
地理院地図の「断面図」で谷を線で結ぶと、流域の長さがわかります。
小流域の「長さ」を求めるときと同じように、地理院地図の「断面図」で、最上流の高さから最下流の高さを求めます。
そして、最上流の高さから最下流の高さを引くと、高低差が求められます。
例として、上の結果では
となります。
この2つのデータから、小流域の傾きを求めます。傾きは、
「小流域の高低差÷小流域の長さ」で求めることができます。
グーグルの「マイマップ」で、小流域を作ります。そして、その作った小流域をクリックすると、面積が簡単にわかります。
以上3つの方法でそれぞれの流域のデータをもとめました。
調べた流域は広島県の土砂災害で被害が起こった流域と、その隣に位置する
土砂災害が起こっていない流域です。なお、被害の場所については下の図を用いて調べました。
これらの結果から、被害の場所について、土砂災害が起こった流域と起こっていない流域を比べると下のようになりました。
この結果から、土砂災害が発生した流域の方が発生しない流域に比べて面積が大きく、
斜度が大きい(急勾配である)ということが分かります。
また、上の図からわかることは、
広島県の結果から、太子町も広島県と同じ理由で土砂災害が発生するのではないかと考え、太子町内を流れる太井川流域を対象に全部で206個の小流域の流域面積と流域の傾きを計測してみました。
すると、結果はこのようになりました。
この結果をもとに、太子町のハザードマップを作りました。
あなたの近所の川とつながっている川すべての源流を見つけてみて、川をなぞってみましょう。そうすると河口は一つですが、源流はたくさんあり、まるで葉っぱの葉脈のような模様になります。そ69本流と支流を全部合わせて水系と言います。
等高線(山の尾根と尾根を結んだ線)をつないでいくと、水系を作ることができ、流域マップを作成することができます。興味がある方は、ぜひ作ってみてください。