相手への代金決済は送金が一番簡単
契約書を交わし、メーカーに商品を発注する時点で、
当然のことながらあなたは商品に対する支払いをしなくてはならない。
一番簡単な決済の方法は、銀行から送金することである。
ー個人で輸入ビジネスをするにあたっては、
自分の取引銀行から相手の海外の口座に直接代金を支払う最もシンプルで安上がりな、
この決済方法をお勧めする。
送金で決済する場合、少額のオーダーであれば全額前払いを要求されることもあるが、
決して全額払ってはいけない。
こんなことは滅多にないだろうが、お金だけ払って連絡が取れなくなったら、
たいへんな損失だ。
送金で決済する場合、できれば前払いで30%、
船積み後、もしくは入荷後に70%を送金するという条件で交渉するべきである。
最初から大金を送ることは、資金的にも厳しいだろうし、万が一の時の保険にもなる。
前払いの送金のタイミングは、お客様の納期と深く関連する。
いつ納品しなければならないのか? そこから逆算する必要があるのだ。
例えば、納期が120日後だと仮定してみよう。
メーカーが、生産に要する期間(リードタイム)が60日、
輸出通関まで7日間、そして通関から納品まで10日かかると見積もる。
すると60日+7日+35日+10=112日となる。
と言うことは、すぐにでも送金し、
商品を生産してもらわなくては間に合わない計算だ。
せっかく注文をもらっても、納期に間に合わなければビジネスにはならないであろう。
それでは後払いの分の送金のタイミングはいつになるのだろうか?
現実的には、日本の港に到着した段階ではなく、
船積みした時点で送金を要求されるケースが多い。
でも、本当に船積みしたかどうかわからないじゃないか、
とお思いになるかもしれないが、
船積みするとメーカーは船会社から証拠の書類をもらえる。
この書類はB/L(船荷証券)と呼ばれ、
そしてこのB/Lを持っている者のみが、最終的に荷物を受け取ることができるのだ。
メーカー側は、船積みした時点で、確実な船積みの証拠としての
B/LのコピーをFAXにて先にあなたに送る。
そして、「B/Lのコピーを送るので残りの70%の送金をお願いします」と要求されるのだ。
最初の取引では、このB/Lのコピーが届いた時点で送金するべきである。
そのメーカーと取引を繰り返していくうちに、
「今度は商品が港に着いてからの送金にしてほしい」と交渉する。
話し合いでどんどん変えていくことができるのだが、
まずはB/Lのコピーが届いたら後払い分を送金するとだけ覚えておいてほしい。
ちなみに、取引銀行が輸入者に代わって支払いを確約する、
L/C(信用状)という支払い方法もある。
端的に言えば、何かあった時に銀行があなたの代わりに
代金を支払うことを確約するシステムである。
決済トラブルが予防できるというメリットはあるが、
個人で信用状を使うのは容易ではないし、メーカーとあなたが
手数料を負担しなくてはならないというデメリットもある。
個人で輸入ビジネスを始めようとするあなたは、L/Cという支払い方法があることを頭に入れておくだけで十分であろう。
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