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書籍:『基本刑事訴訟法II・論点理解編』

2021.03.22 06:55

吉開多一先生(国士舘大学教授、元検察官)、設楽あづさ先生(弁護士)、國井恒志先生(裁判官)とともに、『基本刑事訴訟法II・論点理解編』を執筆しました。昨年刊行した『基本刑事訴訟法I・手続理解編』の続編となります。

『I・手続理解編』は、ノーマルな刑事手続を、事例に即して具体的なイメージを持ちつつ理解を促すことに主眼を置きました。これに対して、本書『II・論点理解編』は、判例が形成されるようなイレギュラーな事態について、解説するものです。

イレギュラーな事態においては、抽象論を振り回すよりも、その事態がどのような事実によって生じているのかを押さえた上で、事実に即して検討するという姿勢を身につけることが重要だと考えます。そのため、【設問】は、『手続理解編』とは異なり、事案の事実を詳しめに示すよう心がけました。

これを受けて、判例(裁判例)がどのようなことを重視して判断したのかを私たちなりに議論してまとめ、「判例の理解」「裁判例の理解」を提示し、「設問の検討」として【設問】に対する一定の理解を示す形にしました。理由づけにかかる説明は、文章の進め方に応じて、「判例の理解」「裁判例の理解」の方に書いてある場合もあれば、「設問の検討」の方で書いてある場合もあります。

学説上の先端的な議論については、コラムや*などで触れている場合もありますが、必ずしも網羅的ではありません。最新の学説が登場している分野もありますが、今回は記述を見送った箇所もありました。むしろ、本書は、現在の実務がどのような理解で動いているのかを、執筆者4名の視点で記述したといえようかと思います。さらに高度な理論問題や、立ち入った判例の検討は、演習書や判例評釈などにあたっていただければと思います。本書は、それらに到達するための梯子として機能できればと願っています。

『I・手続理解編』同様に、『II・論点理解編』でも、図表や事例を把握するための図を入れています。私も伝聞証拠の箇所では、事案をイメージするための図をそれなりに作成してみました。

ちなみに、本書の執筆者の1人である吉開先生は、月刊誌「法学教室」で2021年4月号から刑事訴訟法の「演習」を担当されます(法学教室のサイトでも予告されています)。機会があれば、『基本刑事訴訟法I・手続理解編』とともに、『基本刑事訴訟法II・論点理解編』を併せてお手にとっていただき、刑事訴訟法を理解するためのツールとして用いていただけるとすれば、非常にうれしく思います。