盲点と狙い越し
今日は「盲点」について。
クレー射撃をやっていると、時々、クレーや照星が「消えた」ように見える時があります。
実際には消えるはずがないのですが、消えたように見える。
これは構え方がズレたりしている事が原因の場合もありますが、ちゃんと構える事が出来ていて、スイングもちゃんと出来ていても起きます。
実は人間の目というのは、視界の中で「見えてない部分」があり、これを「盲点」と言います。
この盲点にクレーや照星が入ると「消えた」ように見えるんです。
盲点のチェック方法
このような図を用意して、右目を閉じ、左目をBに徐々に近づけてみてください。10〜15センチぐらいまで近づいた時に、Aが「見えなくなる」場所があるのがわかると思います。
両目ともチェックしてみると、両目とも大体目の「中央より少し外側」に盲点がある事がわかると思います。
これは、左から飛ぶクレーを目で追う時、照星が右目の右側で盲点に入り、右から飛ぶクレーを追うときは左目の左側で照星が盲点に入る事がわかると思います。
射撃はほぼ確実に影響を受ける
さて、普通に生活している時は、人間の目はこの見えない部分「盲点」を自動的に「補完」して視界を確保していますから、普段は盲点など存在すら気が付かないほどで問題が起きません。
ですが射撃の場合、横向きに移動するターゲットを狙う時必ずと言っていいほどこの盲点の影響を受けます。
この「補完」の仕組みを理解しておかないと、横向きに移動するターゲットを「ちゃんと狙う事すら出来ない」ので、この補完の仕組みを理解しておきましょう。
補完のパターンは2パターン
この補完は2種類あり、「脳のイメージ」で補完するパターンと、「もう片方の目の視界」で補完するパターンの2つになります。
脳のイメージでの補完
「脳のイメージ」での補完は、実際にものは見えていないけど、見えない部分が黒や白などで埋められるのではなく、周囲の色で埋められているために見えているように感じるだけなので、今まであったものが「急に消える」というような見え方をします。
片目を閉じて片目だけで見ている場合は必ずこちらになるので、クレーや照星が「消える」ように見えてしまう確率が高くなります。
もう片方の目の視界で補完
「もう片方の目の視界」で補完する場合は、両目で見ている時に、片方が盲点に入っても、もう片方の視界にある像で補完します。
ただ、頭が斜めになって両目が水平になっていない場合、右目で見ている像と左目で見ている像に上下の「ズレ」が出ます。
このズレを脳が無視すると、補完が出来ずクレーや照星が消え、脳が無視しないとクレーや照星が上下にブレ動いたように見えます。
クレーが両目でみなければならない理由の一つは「盲点」だった
クレー射撃では「必ず両目で見る」ことをよく勧められますが、これは「三次元的に捉える」ため以外にも、上記の「盲点」の補完方法を考えると当然なのですね。
クレー射撃の場合、基本的に「クレー」と「照星」を両方とも見ていないと正確な「狙い越し」が取れません。
この時、照星の間隔が、「盲点」に入る間隔になることが、意外と頻発します。
そのため、クレーは「両目で見る」事が大事になるわけです。
ビギナーに多い影響
では、単純に盲点に入ったら補完されるからそれで良いか、というと、実はそう単純ではありません。
右打ちの場合は「右目の見てる照星」でないとアテになりません。左目で見ている照星は「斜めに見ている」ため、それに合わせると大きく左に外す事になります。
つまり、クレーをしっかり見ていて、照星が右目の盲点に入った時、脳が「左目の照星」で無理に補完されると、急に照星が移動して「飛ぶ」ように見えたりする事があるわけです。
また、像が「消えた!」と脳が視線を勝手に移動してしまい、「飛ぶ」ような見え方をする事もあります。
射撃をやる場合、基本的に「クレー」に焦点をあわせ、「照星」は視界に入れておくように見ますから、慣れるまではこのような補完が入りやすいんです。
このため、ビギナーのうちはしっかりクレーを見ている時ほど「照星が消える」ように見える事が多いわけですね。
スキートでは、慣れても消えるプール側
目の焦点は基本では「クレー」を見ますから、基本通りにやるのであれば、盲点の影響は必ず「照星」になります。
そして、照星は右打ちなら右目でしか見れません。
そして、右目の盲点は見ているところのさらに右側(外側)にあります。左にはありません。
これが意味するのは、2〜6番射台で、右打ちならプール側、見てる方の目の外側に照星が行くときは、照星が「盲点」にほぼ100%入るタイミングがあり、盲点に入っても左目の視界を使う事ができないので、「補完が出来ない(されると困る)」わけです。
このため、右打ちの場合はプール側、左打ちの場合はマーク側の時は、必ずと言っていいほど、照星は「消えて」いるわけです。
プール、マークを同じように狙っているはずでも、左右どちらに飛ぶかで盲点の出方が違い、個人差や角度やタイミングによっては、完全に「照星が見えない時に撃たないと当たらない」時がよくあるわけです。
よって、「照星が見えなくても慌てない」とか、「そもそも照星を意識しない」ように撃てないと右打ちプールと左打ちマークはなかなか当たらないと言う事が言えます。
そして、これに脳や目を「慣れさせる」必要があるわけです。
盲点に「慣れる」ための練習法
盲点に慣れて照星が見えなくとも何処を狙っているかわかるようになったり、変に補完がされないようにするためには、ある程度脳に「慣れさせる」必要があります。
この練習は、家にある「カーテン」でやる事ができます。
そして、そのヒダを見つめたまま、ゆっくり横スイングをします。
徐々にヒダと照星の距離が開くと、照星が盲点に入って消えます。
でも盲点から出てくるまでそのままゆっくり動かし続けます。
これを左右ともやってみてください。右に動く時と左に動く時に、照星の見え方が違うのがわかると思います。
そして、どちらの動きであっても、確実に銃が何処を向いているかをしっかりイメージして把握します。
ポイントはとにかく「ゆっくり」やって、「盲点」に入る、出るをちゃんと確認する事。
これをやっておくと、急に変な補完が入ったり、照星が消えたからと言って焦る事も減ります。