白虹のかかる月の雫は苦い

2016.11.12 16:06

犬と散歩をしていて夜空を見上げると、薄く霞む夜空の真ん中にぽっかりと十二日目の月が浮かんでいて、その周りに、大きな白い虹の環がかかっていた。

月暈だ。


昨晩の苦い出来事が、不意に頭に浮かんできた。

どうして、あんな事をしてしまったんだろう。

心の中に、苦い雫がポツンと落ちて、見る見る広がっていった。

表面上は、何でもないような振りで取り繕っていても、ホントのキモチは分からない。

連絡のないまま、一日が過ぎようとしている。

いくら心配しても、どうすることも出来ないボクが、ここにいる。

越えられない広い川の此岸で、見えない彼岸を見やって茫然と立ち尽くしている。

家族でも恋人でもない、ただの友だちでもない。だけど、全くの赤の他人でもないと思っているなんて、バカげた思い上がりなのかな?


今宵の月の雫は、苦い。