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ヒーロー【難波麻人】

2016.11.13 04:53



自分の中のヒーロー。



人それぞれ色んな形があると思うけど、僕はアニメや戦隊物に憧れを持った事はない。



勿論、仮面ライダーは毎週欠かさず観ていたし、キャプテン翼の影響でサッカーを始めた。



でも、そこにそれ以上の焦がれるような感情はなかった。



僕の感情を掻き立てるのは、いつだってもっとリアルな存在だった。



例えば、サッカーを始めた頃の2つ上の先輩。



どんなにチームが劣勢でも、「この人なら何とかしてくれる」そう思わせてくれる選手だった。



その先輩が纏う雰囲気や存在感に、小学四年生の僕は憧れを抱いていたのだ。



そして転機は訪れる。



当時の監督が、試合中いつもの様に活躍する先輩を指差し、僕に言ったのだ。



『お前は後二年で、最低でもあいつを超えなあかん。』



今でも鮮明に覚えている、それ程の衝撃だった。



その監督は非常に優秀な指導者で、当時叩き込まれた事は、今でも僕の人生に役立っている。



そんな監督が口にした言葉、普通なら「いやいや無理だよ」と思う所だか、監督は「最低でも」と敢えて付け足した。



憧れるなら努力しろ、そして必ず越えて行け。

そうして下の世代に繋げて行くんだ、出来なきゃそこには発展も未来も存在しない。

それが、間近でプレーを見て、感じて、憧れた者の義務なんだ。



あの時の監督が口にした「最低でも」、そこに詰まった想いを僕は感じた……小学四年だったけど、きっと感じた。



そこからは今まで以上に努力して、自分が後輩にとって先輩と同じような存在になれたかは分からないけど、僕の中のヒーロー像はこの時形造られたような気がする。



ただ遠く憧れるだけじゃない、僕にとってのヒーローはその生き様で、希望や糧を与えてくれる存在。



どれだけネタを考えても何も思いつかなくて煮詰まってどうしようもない時、桝本君なら完全にエロ動画を観てしまうそんな状況で、僕はカズや中田の動画を観る。



すると、「おっしゃ後二時間だけ頑張ろ」と気合いが入る。



中学生の時も二十年後の今も、変わらず僕を信じてくれる友人がいて、それだけでどんなに重たくても一歩踏み出せる。



だから総合して考えると、僕の中にあるヒーローの存在それは、



人間ニンニク注射なんだ。



僕のヒーローは、人間ニンニク注射なんだ。



早く僕も、誰かの人間ニンニク注射になりたい。