E'b vol.145
vol.145 これ、あるを知る
二十歳で美容室に就職した私は、ソロソロこの道一筋三十年です。修行先の会社には
十七年間お世話になりましたが、おかげさまで転勤を繰り返しながら、四つの店舗で
経験を積むことができました。一つの店舗で長くて5〜6年、転勤の度に慣れ親しん
だ大切なお客様との別れがありました。しかしそのおかげで、ゼロからのスタートで
もガムシャラにやれば「生きていけるんだ」という自信を抱くことが出来たのです。
そのような経験から雇われ店長時代は、繁忙期には自ら一ヶ月休みなしで働くことで
「俺がこれだけやってるんだから」という背中を見せて、引っ張っていくのが理想の
リーダー像だと信じていました。そこでブレス開業の際にも定休日は一人でお店を開
けて、一年間休まず働き続けたのです。また営業時間外に夜遅くからでも、パーマや
カラーの予約を受けることもしばしばでしたので、オープン当初のスタッフに対して
は大変な労働環境を押しつけてしまい、今となれば本当に申し訳なかったと思います。
二千年も前に書かれた中国の古典「老子」には、理想のリーダー像が記されています。
指導者の質を四段階に分けています。ダメな方から順に挙げてみると、『一、下、こ
れを侮る。 二、下、これを恐れる。 三、下、親しみてこれを褒める。 四、下、
これ、あるを知る。』つまり、最低なリーダーは下からバカにされる、その次は恐れら
れる、その上は親しみをもたれて称賛される。ふつうはこれがいちばん立派だと思う
のですが、さらにその上があって最高の指導者はいるかいないかのような存在だとい
うのです。 「素心学講義」(致知出版社)より
脇目も振らず突っ走ることを戒めることで、弊社はようやく日曜定休や完全週休二日
制を実現できるようになりました。これからも経営者である私自身が「オレがオレが」
としゃしゃり出ることをさらに控えて、お客様やスタッフから、いるかいないかわか
らないようだけど「あの人がブレスの経営者なんだ」と自然に認めてもらえるような
存在を目指してまいります。ありがとうございます。