📖「はじめての中国法」田中信行著
タイトルからすれば、中国法条文解釈入門と言う感じですが、中国法そのものを説明している本ではありません。
むしろ、中国と言う国・中国法の成り立ちと背景を説明することに主眼が置かれていますので、中国法の条文解釈とは全く違います。
しかし、中国法研究の前提情報としては、必須であり、極めて入りやすく面白い本です。
こうした中国事情・裏事情を知ることが如何に参考になるかと言う思いにもなります。
アジア進出。とりわけ、中国進出を考えている企業や既に中国に進出している企業にとっても、読んで置くべきと言えます。所謂「中国読本」とでも言う方が正しいでしょうか。
先進国世界が、資本主義経済の元で発展している事は、世界基準を示しています。
故に、人の常識化にある豊かな世界と言うものは、資本主義経済社会です。
そこにある自由主義を形成するのが、多数原理の上に成り立っているので、国に対する在り方は、国民の為の国家です。民主主義国家です。
しかし、社会主義をはじめとする非資本主義国家においては、国民の為の国家ではなく、国家の為の国民です。
全てが、国家の利益のために存在するので、経済をはじめ、法律も、国家の利益にならないものは、排除されます。いくら、経済発展していても、なんら独裁国家と変わりありません。
(中国が経済発展した理由が自由経済を取り入れた事によるものは、世界の知るところですが。)
即ち、あとがきにもあるように、立法も中国共産党による国家指導がなされます。
中国社会が、中国共産党社会である以上、全てがそこに集中した国家構成です。
一党独裁の元、帝国主義化しています。
そのことを、この本を読むことで、理解度を増すでしょう。
資本主義社会でも、国家の指導者が、独裁国家を形成しているのを、今も見ますが、やはり、経済は、伸び悩み、貧富の差は顕著となっています。
※「はじめての中国法」田中信行著(有斐閣)初版2013年