流行のものを欲しくなる
人の心理学
“流行りものを欲しくなる”
~他の人と同じ行動をとりたくなる~
流行はなぜ起こるのか
以前、10代後半の女性の間で山姥風のメイクが流行したことがありました。「ガングロ」とも呼ばれる独自のメイクは、日本人だけでなく外国人たちにも驚かれ、好奇の目を向けられたものです。今ではすっかり、山姥風のメイクをした女性も見なくなりましたね。流行するものの中には「なんでアレが人気なんだろう?」と疑問に思うものも多々あります。その背景には、周囲の人たちと同じ行動をとろうとする心理が働いています。これを、同調行動といいます。「XXXっていうブランドのバッグが売れている」と聞くと、それまで興味もなかったのに、なんだか良さそうに思えてつい自分も買ってしまうというのは、同調行動の典型例でしょう。
さまざまな場面で現れる同調行動
同調行動が生じるのは、流行においてだけではありません。「会議中に、自分は間違っていると思っていることでも他の皆が賛成していると意見を合わせてしまう」「街で行列を見ると、つい並んでみたくなる」という現象も同調行動の一種です。これまでは“日本人は他人を気にする傾向が強くて同調しやすい”と思われてきましたが、最近の研究により、必ずしもその傾向は日本人だけではないということが分かってきました。
消費行動に見られる心理
同調行動に関連した用語に「バンドワゴン効果」というものがあります。これは、「今はXXXが流行です」という情報が流れることで、さらに流行が加速するという現象です。(ちなみに、バンドワゴンとはパレードの先頭の楽団が乗った車のことです。)例えば、ファッション雑誌に「今年の流行色はシャイニーピンク」という特集が組まれると、その特集を見た人たちがシャイニーピンクの服やバッグを買ってしまったり、店頭で「大人気」という売り出し広告やPOP広告を見て「みんなが買っているものは、良いものに違いない」という思い込みが働いて、つい買ってしまう現象のことをいいます。また、「バンドワゴン効果」とは反対に、ある商品が流行し大量に流通することで、その商品の価値自体が下がってしまうことを「スノッブ効果」といいます。他者との差別化願望を持つ消費者は、限定品や1点物などに価値を見出すようになります。