五芒星(ペンタグラム・晴明斑紋)の意味・どうしてそんなにすごいの?
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五芒星・ペンタグラムは世界的に有名な魔除けの印です。
日本では晴明桔梗、安倍晴明の使った模様として知られていますね。
世界的に見ても歴史は古く。五芒星は紀元前3000年からありました。世界最古の文明シュメール文明の時代からあったようなのです。
その後、東洋や西洋に伝わり。世界中で魔除けとして使われました。
なぜそれほど効果のある魔除けとして使われたのか。五芒星の意味と歴史を紹介します。
五芒星が優れた魔除けの理由
五芒星は 5つの角がある星という意味です。英語では pentagram(ペンタグラム)。five-pointed star(ファイブ・ポインテッド・スター)といい。やはり五つの角がある星と呼ばれています。星をモチーフにした図形です。
古代には星は「*」や「*」などの線の交差で表現される星型が多く使われました。
古代エジプトの遺跡には5つの角をもつ星が描かれています。
エジプト星
線が交差した単純な図形だった星型はやがて線に囲まれた空間を表現した図形になりました。ただし、このヒトデのような星型も世界各地で魔除けとして使われ続けます。
紀元前3000年のシュメール文明の遺跡からは五芒星の描かれた壺が発見されています。シュメール文明は人類最古の文明とよばれており、さまざまな形で世界の文明に影響を与えています。五芒星もシルクロードを通り東洋に。エジプトを経て西洋に伝わったのでしょう。
目がたくさんあること
悪霊や邪鬼は目を恐れます。目とは「eye」そのものズバリでもいいですし、結び目、交点でも構いません。
交点とは線と線が交わった部分。交差した部分です。
一番簡単な魔除けは「✕」「+」。ばってんや十字も魔除けなのです。籠目や井形も魔除けになります。
古来より交点がたくさんある図形は魔除けになると信じられました。
線が集まる部分には悪霊や邪気の視線が吸い寄せられてしまいます。視点が釘付けになった悪霊は動けなくなってしまうのです。
そのため悪霊や邪鬼は「目」のたくさんある図形を怖がって寄り付かなくなります。線の交わる部分が多いとそれだけ悪霊や邪気が怖がる部分が増えるんですね。
この考えは世界共通。古代から現代まで魔除けの基本になってます。
一筆書きができて閉鎖性がある
閉鎖性というと言葉が変ですが、要するに結界としての役目があるということです。
五芒星は一筆書きができます。急いでいるときにすぐに描くことができます。
線が途切れていないということは閉じ込める力がるということです。
邪悪なものを閉じ込めることができますし。逆に悪霊が入るのを防ぐ結界の役目もあります。
目をもつ魔除けはたくさんあります。でも意外とひと筆書きできる魔除けは少ないんですね。一筆書きできて閉鎖性があることが五芒星が優れた魔除けだといわれる理由のひとつです。
映画の陰陽師でも安倍晴明が指で空中に五芒星を描く場面があります。とっさのときにすぐに結界を作ることができる優れた魔除けなんですね。
ゲーテの「ファウスト」では悪魔メフィストフェレスを閉じ込めるため、ファウスト博士は五芒星で結界を作ります。結界に捕らえられたメフィストフェレスは出られなくなってしまいました。しかしネズミを使って五芒星の角をかじらせて結界を壊しました。つまり五芒星は線と線の間に隙間があるとうまく機能しないということです。
「陰陽師」「ファウスト」は創作物語ですが古代から伝わる五芒星の特徴をよく表現した場面なので参考になります。
五芒星の深い意味
世界各地でみられる五芒星には他にも様々な意味が込められています。
日本を中心にした東洋の考え方を紹介します。
日本と東洋の五芒星
日本では安倍晴明が使ったことから五芒星は「晴明斑紋」「晴明桔梗」とよばれます。
でも、安倍晴明が発明したわけではありません。
3~4世紀のタクラマカン砂漠(中国新疆ウイグル自治区)の遺跡からは五芒星の描かれた遺物が出ていますので、古代中国には五芒星を魔除けとして使う習慣があったようです。
日本では7世紀の古墳の壁画に五芒星が描かれています。8世紀の祭祀場跡からも土器に描かれた五芒星がみつかっています。
大陸との交流によって日本に五芒星が伝わったようです。
五芒星は奈良時代から魔除けとして使われました。すでに奈良時代には役所や国分寺などで儀式のなかで五芒星が使われていました。天災を鎮めるために儀式をすることが多かったようです。五芒星は「+」や「井」とともに災いを払う魔除けとして使われました。
陰陽道の五芒星
五芒星は五行思想と結びついてさらに神聖な図形とされました。
5つの角に五行「木火土金水」の意味が込められました。
木は火を生み
火は土を生み
土は金を生み
金は水を生み
水は木を生み
という五行相生説や
木は土に克ち(勝ち)
土は水に克ち
水は火に克ち
火は金に克ち
金は木に克ち
という五行相克説を意味する紋様として陰陽道では重視されました。
この紋様を用いた安倍晴明は日本を代表する陰陽師です。
そのため日本では晴明桔梗や晴明斑紋と呼ばれるようになります。
陰陽だけではありません。
密教の五芒星
密教では五大「地水火風空」と意味する神聖な紋様と考えられています。
五大とは世界を作る元素(要素)のことです。元素だけではなく5つの性質も意味しています。
地:確固として動かないこと。
水:柔軟性。変化への適応。
火:力強さ・情熱・動機・欲求
風:成長・拡大・自由
空:あるがまま・すべてをつつみこむ
密教や修験道では星のかわりに「大」を魔除けとして使うこともあります。
大文字は巨大な魔除け?
京都の五山送り火で有名な「大文字」の「大」も密教的な意味がこめられています。
大文字
もともと送り火は祖先の霊をあの世に送り返すための灯火です。仏教的な意味を持った巨大な送り火になりました。
京都の送り火の「大」は最初は夜空に輝く星型を表現したものでした。それが弘法大師によって「大」の字に改められたという説もあります。
つまり送り火の「大」はこの世の全て「地水火風空」を表す神聖な紋様であるとともに、巨大な魔除けの印でもあるのです。
もともと五芒星の星印は
エジプト星
が起源ですから。先祖返りしたといえるかもしれませんね。
晴明斑紋は花?
桔梗という名前が付いてるのは桔梗が5つの花びらをもつため。桔梗紋のバリエーションとして考えられているためです。ちなみに桔梗門も魔除けの意味があるといいます。家紋の世界では五芒星は星ではなく花の変形と考えられているのです。なんとも日本的ですね。
現代では「五芒星」といいますけれど。日本では「星」ではなく「花」と考えられていたんです。だから江戸時代の日本人はアメリカの国旗を見て「花」がデザインされた旗だと思っていました。「五芒星」と呼ぶようになったのは明治に西洋の考え方が入ってきて。英語のfive-pointed starを翻訳したからです。
様々なところに残る五芒星
五芒星は海女さんが身につける魔除けとしても使われました。「セーマン」と呼ばれています。
戦国時代にはお城の石垣に五芒星を刻んで魔除けに使うこともありました。
旧日本軍でも帽子や服に描かれることがありました。弾除けの意味があるといいます。現代になってもその効果は信じられていたのです。
五芒星と言うと西洋のイメージが強いです。日本では安倍晴明のイメージが強すぎて古くから使われていたことは知られていません。
でも日本でも古くから使われた由緒ある魔除けなんですね。