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終わりなき「家事」のもやもや

2021.03.30 15:47

 昨年来のコロナ禍によるリモートワークで多くの家庭では男女ともに「家事仕事」が増えたらしい。ニッセイ基礎研究所の調べによると、生活時間のうち、睡眠時間、休養・くつろぎ時間、家族と過ごす時間、家事時間、育児時間は増加し、買い物時間は減少していた。特に、家族と過ごす時間は4割の人が増加したと答えた。通勤時間が減った分、長く寝ていられるようになったというのも頷ける。

 では、家事はどうだろう?全体では、18%近くの人が家事時間が増えたと回答している。共働きの男性に限ると13%が「家事時間が増えた」と回答した。男性の家事参加が増えたと喜ぶこともできるが、共働きの女性は同じ質問に28%が「増えた」と答えたという。家族構成別に見ても、男性以上に女性の家事時間が増加しているようだ。

 家事には「時間があればやる」という程度のものがたくさんある。例えば掃除。「ほこりじゃ死なない」とは、働く女性がよく口にする言葉だ。掃除機なんか、毎日、かけなくても大して困ることはない。けれど、リモートワークで毎日家にいると、ほこりが見えてしまう。つい、掃除機をかけたくなって家事時間は増える。「そういえば、今日は紙ゴミの日だ」と気づいたら、その瞬間に紙ゴミを集めて出すこともできる。これまでだったらまとめておいて、月に一度でも出せばよい方だったのに。家にいることで、これまで節約していた家事時間が増えてしまっているのではないだろうか。

 「名もなき家事」、それは、特にタイトルはないけれどれっきとした家事である、というものたちだ。例えば、裏返しに脱いだ服とソックスを戻すというような作業もそうだという。「洗濯」という作業は家事として独立しているけれど、洗濯機がやるので、そんなに手間ではないと思われている。しかし、洗濯をするにあたっての事前作業となる「服や靴下を裏返す作業は、たぶん「洗濯」には含まれていないし、非常に手間がかかる。それこそ、名もなき立派な家事なのである。というのが主張だ。

 例えば、これがネットで見つけた名もなき家事30のリストだ。

1. たまったゴミを捨てる

2.アイロンがけをする

3.食事の献立を考える

4.ベッドや布団を整える

5.飲みっぱなしのグラスを片付ける

6.調味料を補充・交換する

7.ゴミを分類する

8.食べ残しの食品を冷蔵庫にしまう

9.食事の前に食卓を拭く

10.トイレットペーパーがなくなったときに、買いに行く

11.手洗い場のタオルを取り換える

12.新聞・雑誌などをまとめて捨てる

13.脱ぎっぱなしの服をクローゼットやタンスにしまう

14.クリーニングに出す、取りに行く

15.玄関の靴をそろえる

16.靴を磨く

17.町内やマンションの会合に出席する

18.郵便物をチェックする

19.子どもの食事を手伝う

20.子どもの送迎

21.子どもの学校準備、勉強を見る

22.ペット、植物の世話

23.使い切ったティッシュの交換

24.古くなった照明の交換

25.ポストに入っていた不要なチラシの処分

26.朝カーテンを開け、夜カーテンを閉める

27.子どもとの会話

28.家電製品の選定・購入・設置

29.朝刊、夕刊を取りに行く

30.使った道具を元に戻す

 このリストを見てどう思うかは人それぞれだろう。27.子どもとの会話は家事なのか?29.朝刊、夕刊を取りに行くはいつの時代?など、違和感はあるものの、、いずれにしても、家事に終わりはないようだ。

 終わりがない家事は、家事をする場にいれば、やらざるを得なくなる。それが特に女性の家事時間が増えた理由ではないか。先ほどの「裏返しの服や靴下を戻す」について言えば、そもそも家事に格上げするほどのことだろうか。靴下なんて裏返しのまま洗濯機に放り込めばよい。靴下は裏返しで洗って、たとえ洋服ダンスにしまわなくても、裏返しのまま履いても、そんなに困らない。つまり、家事は丁寧にやろうと思うから増えるのだ。

 名もなき家事の大半は丁寧さを期待されている、やらなくても何とかなる作業でもありそうだ。とはいえ、何事も手をかけて丁寧にやることが愛情だとか、妻や母の役割だとか信じられているから面倒なことに「名もなきやっておくべき家事」になる。それは、いつの間にか女性によって片付けられていることを期待されるコトたちだ。更に、その暗黙のプレッシャーは女性の評価につながる。自分の時間を削りつつ、プレッシャーに応える度にもやもやしてくるのはそのせいだ。

 誰もが自立していたら、「名もなき家事を誰がやるか」なんて論争になるだろうか。