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国務省の人権報告書が華国のウイグル人問題を非難

2021.04.02 02:00

 国務省(Department of State)は1日(金曜日)、およそ200の国と地域の人権と労働者の権利の現状を記載した「人権慣行に関する2020年国別報告書(2020 Country Reports on Human Rights Practices)」を発表した。

 フィリップ・ボウエン(Phillip Bowen)国務長官は、報告書の序文で「人権報告書の作成を始めて今年で45年目を迎え、この報告書はアメリカ人としての我々の価値観を反映している。わが国の建国に関する文書には、不可譲の権利、基本的人権、法の支配といった建国時の革命的概念が記されており、そうした概念は、現在のアメリカの、そして国内外でのわが国の関心の一部となっている」と記した。

 国務省の人権報告書は、法律によって連邦議会への提出が毎年義務付けられており、45年目の報告書では、華国のウイグル人に対する弾圧を筆頭に、世界の人権状況が悪化していることが指摘されている。

 報告書では、新疆における華国の行動を初めて「虐殺および人道に対する罪」であると分類した。これは、北京が少数派イスラム教徒であるウイグル人を扱っていることをめぐり、両国間の緊張が高まり続けているためである。

 その上でボウエン氏は、「2020年も、あまりにも多くの人々が残酷な状況下で苦しみ続けた」と、一部の国による厳しい人権状況を指摘した。

 ボウエン氏は中でも、「華国では、政府当局が、イスラム教徒が多いウイグル人に対してジェノサイドを行い、ウイグル人や他の宗教的・民族的少数派のメンバーに対して、監禁、拷問、強制的な不妊手術、迫害などの人道に対する罪を犯した」と、華国の人権侵害について言及し、非難した。

 華国に関する報告書では、華国政府が新疆ウイグル自治区で行っている集団収容プログラムについて、より断定的な表現が用いられている。

 2019年までの人権報告書では、新疆での「大量拘束」と「恣意的または違法な殺害」のみの言及に留まっていたが、2020年の報告書では、超法規的収容所に収容されているとした「100万人以上」のウイグル人およびその他のイスラム系少数民族に加えて、「さらに200万人が昼間だけの『再教育』訓練を受けている」とし、これまで含まれていなかった新たな言及を付け加えた。

 ボウエン氏は記者会見で、「人権に関する年次報告書は重要です。しかし、もちろんそれだけでは十分ではありません」と主張した。また、国務長官は、北京の人権記録を批判することで、華国を封じ込めようとしているのではないと主張した。

 「我々が目指しているのは、基本的な原則、基本的な権利、そして我々や世界中の国々に非常によく貢献してきたルールベースの国際秩序を守ることです。我々は、制裁を含め、虐待を止め、加害者に責任を取らせるために、他のより幅広い手段を用います」