穴が入る場所
漢方薬に入る場所があるのなら、穴にも当然入る場所があります。
各経絡や各穴には、それぞれ影響を与える部位がある訳ですが、全体にある程度等しく影響を与えるものと、部分的に影響を与えるものがあります。これは漢方薬でも同じです。
主治穴と言われる穴は、何々の疾患に対して効果があるという穴のことですが、狙いが定まっていなければ効果はないはずです。つまり、その疾患は、どこどこの器官が異常を起こしていることで起こる疾患であり、それに対して作用するということが明確にされていなければならないということです。
例えば眩暈や動悸と言った症状がある人がいたとします。その眩暈や動悸は、血管系の異常から起こる場合もあれば、神経系から起こる場合もあります。筋肉が主になって起こす場合もあるでしょう。
それによって配穴や、その穴の位置も微妙にズレなければおかしいはずです。
眩暈だから、この穴という対応関係だけであれば、治癒率は低いはずです。同じ症状であっても同じ異常だとは限らないからです。だから西洋医学の現場では、原因を特定する為に色々検査をする訳です。つまり、症状=何穴という考え方は、眩暈=メリスロシン というような小学生でもできるような処方と同じだということだと思います。
エビデンスという言葉があります。それに対して疑問に思うのは、一つの症状に対してのエビデンスが3種類あったとします。それを決定する方法がわかっていなければ、3種類を場当たり的に行うということだと思います。これが駄目なら次ぎ、次が駄目なら、その次ぎ、その次が駄目なら?
論文を読んでないからわからないという説明に留まるのでしょうか?
そういう教育を行うことは、鍼灸の将来に有効でしょうか?
東洋医学を非科学的と言う人は多いと思いますが、検査項目が充実すれば、もっともっと効果を得られる可能性というのはあります。そして科学的な手法で症状を改善させる可能性はあるということです。
検査項目が充実していないことから非科学的とされていますが、感覚による検査項目を増やして、それを診断できるようにすれば治療は、さほど難しいものにはならないのではないかと私は思っています。効果があるのなら、本当に一箇所か二箇所に刺激をすれば十分のはずです。
眩暈の患者さんの特長や、その眩暈のタイプによる特長を感覚でわかるようになれば、その治癒率はどれぐらいというような追試も可能になってくるはずです。
エビデンスを読む前に、検査項目をもっともっと増やして、あらゆる手を尽くして分析する努力をすることの方が大事なのではないかと思います。
感覚でわかる検査項目が少なすぎるというのも東洋医学の大きな弱点となっていると思います。感覚を科学的な手法にすることができれば、馬鹿にはできない治療法になり、鍼灸師がプライドを持って仕事をすることができるようになると思います。
微力ながら、様々な検査方法を考えてきました。これをまとめて、5月にリアルのセミナーをしようと思っています。自分で考えたものなのですが、まとめてみるとかなり多く初心者が追試するのにはホネが折れるかもわかりませんが、ベテランの先生にも大きなヒントとなるのではないかと思っています。
感覚を感覚だけに終わらせない。
そういうセミナーにしていこうと思っています。