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ZIPANG TOKIO 2020「長崎県 新上五島町は全国的にも珍しい2つの文化的景観選定地区があります」

2016.11.25 15:00

頭ヶ島天主堂は、鉄川与助の設計施工によって建設され、近くの石を切り出して、1917年に完成し、2年後の1919年にコンパス司教により祝別・献堂された。 2001年に国指定重要文化財、更に世界遺産暫定リストに掲載された「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を構成する教会のひとつである。

「写真撮影・掲載に当たっては大司教区の許可 をいただいています。」


新上五島町文化的景観について


新上五島町文化的景観選定地区

町内には、平成24年1月24日選定の「新上五島町北魚目の文化的景観」と同年9月19日選定の「新上五島町崎浦の五島石集落景観」の2つの重要文化的景観選定地区があります。 

町内に2つの選定地区を有するのは全国的にも珍しく、この島の持つ歴史的・文化的な魅力を示しています。


北魚目の文化的景観の紹介

新上五島町北魚目地域は五島列島中通島の北部に位置し、南北約12㎞東西約1.0㎞の狭く細長い地形をなしています。急峻で細長い迂曲(うきょく)地形に山が連なっているため、人間が生活を営むのに極めて不便な土地です。その厳しい地形条件に適応した農村及び漁村という対照的な形態を成す集落景観と、甘藷の栽培・保存・加工システムを基軸とした傾斜地での土地利用に特徴があるとして、平成24年1月24日に国の重要文化的景観に選定されました。

【所在地】
長崎県南松浦郡新上五島町立串郷の全域及び津和崎郷、曽根郷の一部 

【選定面積】
1508.0 ha

【選定基準】
・水田・畑地などの農耕に関する景観地 ・養殖いかだ・海苔ひびなどの漁ろうに関する    景観地 ・垣根・屋敷林などの居住に関する景観地


新上五島町北魚目の文化的景観
「水田、畑地など農耕に関する景観地」 「養殖いかだ・海苔・ひびなどの漁ろうに関する景観地」 「垣根・屋敷林などる景観地」

五島列島最北部に位置する中通島(なかどおりじま)では、沿岸部の浸食地形に立地し漁業を主な生業とする集住(しゅうじゅう)形態と、地滑り地形による比較的緩やかな斜面地に立地し主に農業を営む散村(さんそん)形態の集落といった対照的な集落形態が形成されている。  越前や紀州から移住してきたとされる漁民は、加徳(かとく)と呼ばれる世襲制の漁業権を有し特権的に漁を行ってきた。現在は津和崎(つわざき)・小瀬良(こぜら)・立串(たてくし)の3集落において、定置網による沿岸漁業を中心に多様な魚種を捕獲している。  一方、農業集落は、江戸時代後期に農地開拓・食糧増産のため主に大村藩より農民が移住してきたことに起源を持つ。開拓を効率的に行うため、イエワカレと呼ばれる独特の相続慣行により、居住地や農地を広げてきた。現在も主に甘藷(かんしょ)が栽培されており、収穫された甘藷は薄く輪切りにしたカンコロに加工される。カンコロの感想には木や雄竹(おだけ)で作られたヤグラが用いられ、ヤグラに隣接してカンコロを茹(ゆ)でるジロが設置される。自家消費用の甘藷はそのまま家屋の地下に設けられたイモガマに保存するなど、甘藷の栽培から加工・保存まで一連の生産にか関わる施設が各戸単位で形成されている。  このように新上五島町北魚目の文化的景観は、厳しい地形条件に適応し、農村及び漁村という対照的な形態をなす集落による価値の高い文化的景観である。

最寄り駅
佐世保から高速船で90分、フェリーで3時間。新上五島町に上陸後、路線バスにて立串方面へ。 


 
崎浦の五島石集落景観の紹介

新上五島町崎浦地域の海岸線には五島層群に属する砂岩質の堆積岩が露頭しており、数多くの採石場跡が確認できます。その採石場跡に隣接する集落には石工が居住しており、生活空間における五島石の多様な活用のあり方は石材業の繁栄を現在に伝えるとともに、崎浦地域に独特の景観をつくり出しています。これらの特徴的な石文化が残る景観が、日本国民共有の財産として評価され、平成24年9月19日に国の重要文化的景観に選定されました。

【所在地】 長崎県南松浦郡新上五島町友住郷の全域及び赤尾郷、江ノ浜郷の一部

【選定面積】 976.9 ha

【選定基準】 ・鉱山・採石場・工場群などの採掘・製造に関する景観地 ・垣根・屋敷林などの居住に関する景観地


新上五島町崎浦の五島石集落景観
「鉱山・採石場・工場群などの採掘、製造に関する景観地」 「垣根・屋敷林などの居住に関する景観地」

五島中通(なかどおり)島(じま)の北東に位置する崎浦地域は、赤尾、江ノ浜、友住、頭(かしら)ヶ(が)島(しま)の4集落からなる。この地域は漁業を主とした地域で、江戸時代には捕鯨が盛んに行われた。  捕鯨業が衰退する幕末以降は、頭ヶ島を中心に海岸に露出する砂岩質の五島(ごとう)石(いし)を採石し、石材業が発展していった。五島石は崎浦全域に分布するが、石切場は船が寄せられる海岸に限られ、石質が良く、平らな作業場が確保できる場所から切り出した。採石は昭和30年頃まで行われた。層状に剥げる特性から主に板石に加工され、耐久性、不燃性の高い石材として、長崎や平戸などに出荷された。  また、崎浦地域の集落では腰板石を用いた家屋が多く見られ、それは大きいもので1.8mの高さを持つ。集落の路地には石が敷き詰められ、これは住居の中庭や犬走り部分にまで続く。他にも、敷地を囲む防風壁、庭を囲む塀、側溝、臼、流し台、神社鳥居や灯籠、墓石など、集落の多くの箇所に五島石が使われており、大正8年(1919年)建造された頭ヶ島天主堂は五島石を用いた顕著な建築である。  このように新上五島町崎浦の五島石集落景観は、幕末から近代にかけて、五島地方のみならず、長崎・平戸など西北九州一帯に流通した五島石及びその石材製品の生産地として特有の土地形態を示す文化的景観である。

最寄り駅
佐世保駅から高速船で90分、フェリーで3時間 


補足

文化的景観とは,以下の文化財を指します。

地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの(文化財保護法第二条第1項第五号より)

文化的景観は,日々の生活に根ざした身近な景観であるため,日頃その価値にはなかなか気付きにくいものです。文化的景観を保護する制度を設けることによって,その文化的な価値を正しく評価し,地域で護り,次世代へと継承していくことができます。  文化的景観の中でも特に重要なものは,都道府県又は市町村の申出に基づき,「重要文化的景観」として選定されます。  重要文化的景観に選定されたものについては,現状を変更し,あるいはその保存に影響を及ぼす行為をしようとする場合,文化財保護法により,文化庁長官に届け出ることとされています。ただし,通常の生産活動に係る行為や非常災害に係る応急措置等においては,この限りではありません。  また,文化的景観の保存活用のために行われるさまざまな事業,たとえば調査事業や保存計画策定事業,整備事業,普及・啓発事業に対しては,国からその経費の補助が行われます。  重要文化的景観の選定制度は,平成16年の文化財保護法の一部改正によって始まった,新しい文化財保護の手法です。


写真は、滋賀県「近江八幡の水郷」
(上)刈り取ったヨシを運ぶ様子(中)ヨシを乾燥させている様子(下)円山町 清見寺


重要文化的景観について 平成27年10月7日現在,全国で50件の重要文化的景観が選定されています。 アイヌの伝統と近代開拓による沙流川流域の文化的景観 一関本寺の農村景観 遠野 荒川高原牧場 土淵山口集落 最上川の流通・往来及び左沢町場の景観 利根川・渡良瀬川合流域の水場景観 佐渡西三川の砂金山由来の農山村景観 佐渡相川の鉱山及び鉱山町の文化的景観 金沢の文化的景観 城下町の伝統と文化 大沢・上大沢の間垣集落景観 姨捨の棚田 小菅の里及び小菅山の文化的景観 長良川中流域における岐阜の文化的景観 近江八幡の水郷 高島市海津・西浜・知内の水辺景観 高島市針江・霜降の水辺景観 東草野の山村景観 菅浦の湖岸集落景観 大溝の水辺景観 宇治の文化的景観 宮津天橋立の文化的景観 京都岡崎の文化的景観 日根荘大木の農村景観 生野鉱山及び鉱山町の文化的景観 奥飛鳥の文化的景観 蘭島及び三田・清水の農山村景観 奥出雲たたら製鉄及び棚田の文化的景観 樫原の棚田及び農村景観 遊子水荷浦の段畑 四万十川流域の文化的景観 源流域の山村 四万十川流域の文化的景観 上流域の山村と棚田 四万十川流域の文化的景観 上流域の農山村と流通・往来 四万十川流域の文化的景観 中流域の農山村と流通・往来 四万十川流域の文化的景観 下流域の生業と流通・往来 久礼の港と漁師町の景観 求菩提の農村景観 蕨野の棚田 平戸島の文化的景観 小値賀諸島の文化的景観 佐世保市黒島の文化的景観 五島市久賀島の文化的景観 新上五島町北魚目の文化的景観 長崎市外海の石積集落景観 新上五島町崎浦の五島石集落景観 通潤用水と白糸台地の棚田景観 天草市﨑津・今富の文化的景観 三角浦の文化的景観 小鹿田焼の里 田染荘小崎の農村景観 別府の湯けむり・温泉地景観 酒谷の坂元棚田及び農山村景観


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 長崎県新上五島町
〒857-4495 長崎県南松浦郡新上五島町青方郷1585-1 tel. 0959-53-1111 

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