32冊目 田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」
既存の経済は腐らない、故に、不具合が生じてきている。
今年になってから出会った発酵料理の先生まめこさんに紹介いただいた一冊。
この本をいざ周りの友人知人にシェアしたら
センジュ出版の吉満さんからは「大好きな本です」と
読書のすすめの小川さんからは「昔どくすめでおすすめしてたんだ」
友人の石丸さん、橋田さんからも「好きな本です」
極めつけは毎月Zoomでお世話になっている岡山の勉強会の代表の方が著者の方によく会いに行っていたと
自分の周り、どうなってるんだ・・・(笑)
ヨガ界隈と読書界隈の波長が重なるタイミングが昨年末から今年にかけて続いている。
違う方向を求めているようでも、やっぱり本質って収束するのかもしれない。
本の内容に入る。
要約すると脱サラした著者夫婦がパン屋を始め、水や発酵を追及して移転していく話
なんて薄っぺらな一行になるが、中身はかなり濃い。
2冊前に紹介した『発酵道』に繋がる経済と発酵の話を通じた人生論だ。
マルクスの資本論から既存の資本主義の構造を読み解き、著者は事業を通して手探りしながらその潮流に抗っていく。
商品になるレベルのパンしか売らない。発酵がうまくいかなければ、納得できなければ未完成。
売り上げで得た利益は従業員に還元する。
徹底した職人魂と、感性的な繊細さと、資本主義への華麗なる反逆が渾然一体としている。
その感覚がポストコロナに向かうこの時代にぴったり合っている気がするのだ。
見えないウイルスに既存の経済の流れをせき止められ、苦しみながらも「経済って何だろう」という問いが無意識領域に発生したこの時代にこそ、この本が投げかける大いなる問いが楔のごとく刺さるのではないだろうか。
菌と金を考える、古くて新しい一冊。
ミシマ社から近々、2作目が出るらしくそれもかなり楽しみである。
P.S.この本の経済的側面が気に入った人は、『売り上げを、減らそう。』中村朱美著も好きだと思います。