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僕らの気になるパイセンたち | DJ / プロデューサー ジェームス・ラヴェル(UNKLE)

2016.11.29 11:00

やりたいことはたくさんあるし、自分が好きなものもだいぶ分かってきたミレニアル世代の僕たち。でも理想の将来像となると、まだまだ知りたいことだらけだ。そこでSILLYでは、僕らから見てクールな生き方をしている先輩たちに、人生について聞いてみることにした。


今回登場するのは、10代にしてUKの重要レーベル Mo’Wax を設立し、DJ Shadow、DJ KRUSHらを輩出、自身のプロジェクト UNKLE では数々のアーティストとコラボレートし、DJとしても活躍するジェームス・ラヴェル。先日 MAJOR FORCE のリリースイベントのために来日し、SILLYのインタビューに応じてくれた。


—Mo’Wax を立ち上げた時は、まだ18歳だったそうですね。そんなに若くしてレコードレーベルをはじめた理由は?


ジェームス・ラヴェル(以下、JL) ただ単に、レコード会社に就職できなかったからだよ(笑)。それにDJと音楽ライターをやっていたから、いつもいろんな人がレコードを送ってくれたんだ(※「Straight No Chaser」誌で「Mo'Wax Please」というコラムを持っていた)。リリースされないレコードもたくさんあったから、自分でレーベルを立ち上げてリリースしたらいいと思った。


DJとしても、エクスクルーシブな楽曲や自分自身のレーベルを持っているのはクールなことだったんだ。当時はいろんなDJがレーベルをやっていたよ。ジャイルス(・ピーターソン)はトーキン・ラウドを持っていたし、ノーマン・ジェイはグローバル・ヴィレッジを持っていた。


—子どもの頃から音楽関係の仕事に就きたいと思っていましたか?


JL 僕は8歳の時から武道を習っていたから、最初の夢は武道だった。少林寺に学びに行きたかったんだ。音楽に夢中になったのは、その後だよ。

—10代の頃からDJとして世界中を旅してきたそうですね。10代、20代の最高の思い出は?


JL 何でも可能だったこと。すべてが可能だった。何も気にしていなかったしね。ナイーブで若くてバカで、まさに“知らぬが仏”だよ。


—人生の先輩として、SILLYの読者に大人になるまでにやっておくべきことを教えてください。


JL 常に自分の人生をコントロールしておくこと。僕が過去にしてしまったように、人生を無駄にしてほしくない。あとは……“キッズ、ドラッグはダメだぞ”とか?(笑)


—将来について迷っているキッズに対して、何かアドバイスはありますか?


JL 何よりも大切なのは、自分のアイデンティティのために奮闘することだと思う。それは時に苦痛だし、大変なことだ。特に今の時代はね。でも自分自身のやるべきことをやり、それを信じること、そして、自分自身の宇宙を創造することが重要なんだ。それをコントロールすることもね。それから、良い人たちとつき合うこと。僕がかつてそうしてしまったように、悪魔に魂を売ってはダメだ。


—失敗を乗り越える上でのコツを教えてください。


JL まだ探しているところだよ(笑)。


—では、心が押しつぶされそうな最悪な日に聴きたい曲は?


JL 最悪な日? そうだな……最悪な日には美しい曲が聴きたいから、ルイ・アームストロングの「We Have All the Time in the World」とか、マーヴィン・ゲイがいいかもね。


—18歳でレーベルを立ち上げ、40代になった今もなおクリエイティブに活動されています。その原動力はどこから来ているのですか?


JL 他にできることがないからだよ。14歳の頃にレコード屋で働きはじめて、それからずっとクリエイティブなことをしている。僕にとっては、それしか自己表現の方法が分からないんだ。何かを作ることでしか自己表現ができないんだよ。他には何もできない。あまり実用的なことができるタイプではなくて、僕にある唯一のスキルは自分のアイデアなんだ。

—でも、それって最強のスキルですよね?


JL 時にはそうかもしれない。とはいえ、自分の家を建てることができたらいいな、とか思うよ。でも僕にはできないんだ。運転もできないし、料理もできない。


—運転も!?


JL できない(笑)。僕のスキルは葉っぱを紙で巻くことと、アイデアだけだよ(笑)。


—世界中を旅してきて、一番好きな場所は?


JL 精神的な意味では、娘や親友たちと一緒にいること。行きたい場所という意味では、南イタリアが好きだね。ナポリが大好きなんだ。マインドにも良いし、すごく落ち着く。とてもクレイジーな場所だけど、ピースフルで静かなんだよね。でも、その時のムードにもよるかも。昔は都会が好きだったけど、今は田舎の方が好きなんだ。


—今のジェームスさんにとって、最大のインスピレーションは何ですか?


JL 人と人生。それに娘、愛。見て、聴いて、感じること。それが僕のインスピレーションだ。


—どんなことにモチベーションを感じますか?


JL 愛と復讐。


—最後に人生のモットーを教えてください。


JL The future is unwritten.

ジェームス・ラヴェル:

UK出身のDJ/プロデューサー。18歳の頃にレコードレーベル Mo'Wax を立ち上げ、音楽のみならず、アート、ファッションなど、90年代のUKストリートカルチャーをリードした。94年には音楽プロジェクト UNKLE をスタート。DJシャドウと制作したデビューアルバム『Psyence Fiction』(1998)では、ザ・ヴァーブのリチャード・アシュクロフト、ビースティ・ボーイズのマイクD、レディオヘッドのトム・ヨーク、ザ・ストーン・ローゼズのイアン・ブラウンらをフィーチャーし、大ヒットを記録した。その後もUNKLEとして複数のアルバムを発表しているほか、DJとして世界中でプレイしている。2014年には英「メルトダウン・フェスティバル」のキュレーターを務めた。


Photographer:照沼 健太 / Kenta Terunuma(AMP