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Baby教室シオ

絵本『おんなじだあれ?』

2021.04.11 00:00

とても柔らかな印象のしもかわらゆみさんの絵本です。淡い色彩と精密なタッチの動物たちに出会えます。この作品の最大の特徴は穴のあいた仕掛け絵本であること。まるでかくれんぼをしている幼子の体の一部が見えているかのような愛らしさがあります。

今回は単なる絵本紹介ではなく、乳児の発達をおさえた反応をこの絵本紹介と並行して話を進めます。

対象年齢は1歳前後からです。繰り返し読んでいくと以下のような発達上の特徴が見え隠れします。

乳児は本能的に丸が好きで直径2cmの小さなホールに即夢中になります。誰が教えたのでもなく真っ先に穴に指を入れ確かめます。子供は読んでもらった記憶から表紙を見ただけでホールがあることを予測します。そしてホールに指を入れようと計画し実行し、絵本を捲ると出てくる動物やその内容に反応し、お母さんとの感覚的やりとりを楽しみ絵本を確認します。

『記憶』→『予測』→『計画』→『行動』→『ものの反応』→『感覚』→『確認』→『反復(もう一度)』

この絵本のホールは乳幼児にとって冒険の扉であり、好奇心を掻き立てる魅力的なホールに誘われて絵本の窓を開け、そしていろいろな言葉や表現、知識を獲得し、母子で楽しさを共有できる場所となります。特に活発に動き回りじっと絵本を見ることができないお子さんには注視を向けさせる力をつけるには最適の絵本です。


『ちいさな おてて だれでしょう?』

小さな手の持ち主はなんとネズミとハリネズミ。似ている手だけれどページを捲れば異なる動物。乳児にとってはねずみとハリネズミの名前とその姿を結びつけることが必要です。

1歳を過ぎれば動物と名前は合致して当たり前、そして体のパーツ名も理解することは必要不可欠です。


「ねぇ、ねぇ。きょうなにしてあそぶ?」「そうだね、このままおしゃべりしようよ。」なんて聞こえてきそうです。

それぞれの動物の姿に合わせたカッティングでホールの形が変化していきます。それを楽しむだけでも面白いと思います。

初期の基礎概念的表現や擬態語が適度に記されています。よって2歳児でも楽しめる作品です。触って初めて気付く表現や五感を働かせる表現もあり、それを親がどう伝えるかという課題もあります。またより深く考えるとしたら『誰かと同じで嬉しい、安心』ということでいいのか、『誰かと違うこと』どう捕らえるべきか、『外見だけで判断するのではなく共通点を見出す努力をする』など人の本質を見抜く眼を養うよう育てるのかなど深い教えがあるように思います。

いろいろ考える前に手元においてお子さんと豊かな絵本の時間共有をしてみませんか?