「宇田川源流 日本万歳!」 非常に日本らしいプロセスで開発されたサヴァ缶が売れているという嬉しさ
「宇田川源流 日本万歳!」 非常に日本らしいプロセスで開発されたサヴァ缶が売れているという嬉しさ
月曜日は日本万歳をお届けしている。日本の知られざる力に焦点を当て、日本はこんなに素晴らし国なんだという自覚を、一人でも多くの人に持っていただくことを目的にしている連載である。もちろん日本がよくないという部分もあることは承知している。適当にそのようなことを言う人は少なくない。
しかし、では「日本以外の国で生活をしたいですか?」と聞けば、何か日本国内で日本のことに関して不満を言っている人ほど、外国に行くという選択肢をとることはない。まあ、通常に考えて、本当に日本がダメな国と思っているのであれば、不満を言っている暇に外国に移住を考えるであろう。その方が建設的である。しかし、不満を言う人ほどそのようなことはしない。
日本の野党の国会議員の中で「亡命する」ということを声高らかに宣言しながら、いまだに日本国内に住み、国会議員を辞職するでもなく、日本の税金から採否をもらって生活をしている人がいるが、はっきり言って恥ずかしくないのであろうか。
言葉で商売している人が、自分の言葉で宣言した内容を実現できない状況で、そもそも言葉に責任を持てない人物であるということがよくわかる。そのうえ、その言葉に責任を持てない人が、それ以上何かを言っても何の意味もないのである。
日本のマスコミというのは、政府に反対的な意見を言うというだけで、そのように言論とその行動に全く責任を持てない人に対して、なぜかそのことを指摘することなく、なんとなくその存在をさせているのであるが、そのようなマスコミの態度そのものが「日本のマスコミには言論の責任がない」というように言われる。「自由」と「身勝手」を完全にはき違え、無責任なことを垂れ流す有害な状況になってしまっているのである。
そのような人々が「日本は良くない国だ」ということを言っていることに影響されている人が少なくないのではないか。
そのように思って、少なくともこの連載では「良いこと」だけを取り上げて、その話をしようと思っている。
岩手の「サヴァ缶」製造、1000万缶を突破…消費者に受け入れられた「オリーブ油漬け」
岩手県で作られた缶詰「サヴァ缶」の製造数が2013年の発売以来、1000万缶を突破した。東日本大震災で被災した漁業者らを支援しようと世に出た缶詰は、今や岩手を代表する商品となった。きょうも家庭の食卓を彩っている。
サヴァ缶は、被災地の食産業の支援を目的に設立された一般社団法人「東の食の会」(東京都)と、岩手県の特産品を販売する第3セクター「岩手県産」(矢巾町)、食品製造販売会社「岩手缶詰」(釜石市)の3者が開発。「サヴァ」という名前には、魚のサバとフランス語の「元気?」というあいさつを掛けた。
開発は、漁獲量や単価が安定しているサバを缶詰にして全国に売り込むことを「東の食の会」が提案したのがきっかけだった。欧州で広く食べられている「イワシの油漬け」を参考に、13年春には「サバのオリーブ油漬け」という構想がまとまった。
ただ、日本ではサバの缶詰は、水煮やみそ煮が一般的で、オリーブ油漬けが消費者に受け入れられるか未知数だった。缶詰の小売価格は当時、平均200円前後だったが、360円(税抜き)という価格設定も「高すぎる」と懸念された。
開発に携わった岩手県産の参与、佐藤則道さん(63)が沿岸部で被災した岩手缶詰など、食品製造会社を回ると、「頑張って生産を続けたい」という前向きな声が聞こえてきた。佐藤さんは「沿岸の生産者に利益をもたらすには、付加価値を付けるしかない。ここで復興の力にならなければ、存在意義はない」と思いを新たにし、発売にこぎつけた。
13年9月、岩手県内や九州のスーパーに、黄色のポップなデザインをあしらったサヴァ缶が並んだ。最初の数か月は販売に苦戦したが、サバ缶が低カロリーな食品として女性誌などで取り上げられたことが追い風となった。
サヴァ缶は今や、「レモンバジル」「パプリカチリ」など、5種類の味に増え、全国的な知名度を誇るようになった。佐藤さんは「サヴァ缶を売り続けることで、『岩手は元気です』と全国にアピールしたい」と力を込める。
2021年04月09日 12時43分 読売新聞
サヴァ缶は、私ももちろん見たことはあるし、また食べたこともある。オイルに入ってることで、サバ独特の臭みが少なく、非常に口当たりがよい。
数年前に、「サカナ、サカナ、サカナ、魚を食べると、アタマ、アタマ、アタマ頭がよくなる」という歌が魚売り場に流れ、そのことが話題になり、魚を食べる子供が多くなった。実際に魚は骨があることや生臭いことで、あまり子供が食べなくなっているのであるが、しかし、日本の食文化においては魚はかなり重要な存在で、儀式や晴れの日の食材などでも必ず魚が出てくるのが習わしであろう。
その意味でサバの缶詰など、魚の加工缶詰は少なくない。サンマのかば焼きや、サバの水煮などその内容はかなり多くあるのだが、それでも魚が食べられることは徐々に少なくなってしまっている。
そもそも魚をさばいて料理できる人がどれくらいいるのであろうか。そのように考えると、なかなか日本の食文化も変わってきているというように言わざるを得ない。
さて、このサヴァ缶。
欧州で広く食べられている「イワシの油漬け」を参考に、13年春には「サバのオリーブ油漬け」という構想がまとまった。<上記より抜粋>
日本という国は、他の国から伝わった海外の文化を、日本流にアレンジし、日本の国内において請けいられら安い「日本産」に変えることを非常に得意としている。ルーツをたどれば、海外の文化かもしれないが、しかし、すでにその痕跡はなくなって、完全に日本のオリジナルであるかのようにしてしまう。場合によっては海外の本家以上の発展をし、セブンイレブンのようにアメリカ本家を逆に買収してしまうような例もあるほどである。
今回も「日本で漁獲高が高い鯖」と「イワシの油漬け」ということを組み合わせてサヴァ缶ができているのである。まずこの開発のプロセスが非常に日本らしいということがいえる。
開発に携わった岩手県産の参与、佐藤則道さん(63)が沿岸部で被災した岩手缶詰など、食品製造会社を回ると、「頑張って生産を続けたい」という前向きな声が聞こえてきた。佐藤さんは「沿岸の生産者に利益をもたらすには、付加価値を付けるしかない。ここで復興の力にならなければ、存在意義はない」と思いを新たにし、発売にこぎつけた。<上記より抜粋>
まさに、もう一つの日本の特色である「危機バネ」というものがある。何か事件があった時に、その時の危機を自分のチャンスに変えて、大きく発展するということである。まあ、スポコン漫画などに多く使われるものだが、最近の日本は体罰禁止などで、あまり子供を危機に追い込むことをしない。それどころか「○○ハラスメント」で大人も危機を跳ね返して何かをするということができない環境になってしまっており、そのことから何か脆弱になってしまっていたように見えている。しかし、東日本大震災の時のように、誰か人為的なものではなく、多くの人が危機を感じるような時は、その限りにはない。つまり、日本人は、自然からの危機に対して、このように対処できるということを数年かけて証明したということになるのである。
なんといっても非常に日本らしい、「海外文化の取入れ」に「危機バネ」という二つの特色をもって作られた日本の缶詰である。
そのような「日本人らしい缶詰」が1000万個を突破したという。何か非常にうれしい気がする。このような「日本的」なものが、世に広まること、そして、それが結果的に日本人にとって良い文化になること、それを繰り返してきた国が日本ではないのか。