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とある冒険者の手記

A.プロポーズ

2021.04.11 20:14

冒険者になってから初めてのプリンセスデー。

俺はある決意をしてウルダハでヘリオさんを待っていた。

鞄の中には花束と、小さな箱。

小さな箱の中身は手作りの清純の指輪。

そう。プロポーズをしようとしているのだ。

告白して2ヶ月。ウルヴズジェイルでとんでもない事をしでかしたから、ずっと落ち込んでいたが、諦めきれなかったのだ。


─これでダメだったら本当に諦めよう─


決意を胸に、プリンセスデーを過ごしませんかと連絡をした。

快く承諾してもらい、現在に至るのだ。


「よお、待ったか?」


声に振り向くと、そこにはヘリオさんの姿。

白く染められたアラミガンガウンを着ていると、いつもとは少し違う雰囲気を感じる。


「いえ!今さっき来たところです!」


そう返すと、「なら良かった」と相変わらずの無表情で言われる。

本当にクールだよなぁと思いながら「行きましょう!」と言うと、「あぁ」と返され、俺らはプリンセスデーに参加した。

花冠を配って歩き、報酬でその花冠を貰い、早速2人で被る。

花冠を被ったヘリオさんを見て、心臓が早鐘を打つ。

綺麗で可愛い。

見惚れていると、ヘリオさんから「あんた、なかなか似合うな」と言われ、我に返る。


「あはは、ありがとうございます!」


切り出すなら今だと、俺はそのまま勢いに任せた。


「そうだ!ヘリオさんに渡したい物があるんです!」

「渡したい物?」


俺はヘリオさんにグリダニアンブーケを差し出した。


「花束?」

「ヘリオさんっ!!」


俺は跪き、小箱の蓋を開けて、指輪を見せるように差し出す。


「良かったら、俺とエタバンしてくださいっ!!」

「!?」


ベタなプロポーズに、驚くヘリオさん。


「俺、ずっと諦めきれなくて…っ」


真剣に真っ直ぐヘリオさんの目を見つめる。

しばらくの沈黙の後、ヘリオさんは口を開いた。


「……俺で良いのか?」

「ヘリオさんじゃなきゃ嫌ですっ!!」

「………」


するとヘリオさんは目を伏せて言った。


「そうか…じゃあ、受けようか」


その言葉に耳を疑った。

夢だろうかと思う言葉に、俺は聞き返した。


「ほ、本当ですか……っ?!」

「あんたの想いが熱いからだっ!…まったく、ここまでついてくるなんて、あんたが初めてだよ…」


頬を紅く染めながら、バツの悪そうな表情で言うヘリオさん。

夢じゃないと分かると、嬉しさが込み上げてくる。


「俺っ…俺っ…」


声が震え、目頭が熱くなる。


「本当に嬉しいです……っ」


そう言った途端に、涙が零れた。

それを見たヘリオさんは、困った顔をした。


「泣くなよ、男だろ」

「すみません!嬉しくてっ…涙って嬉しくても出るもんなんですね」


俺は服の袖で乱暴に涙を拭き、ヘリオさんに言った。

すると、ヘリオさんは顔を横に逸らした。


「あんたは笑っとけ、それが1番だ」


まだ紅さが残る頬で照れくさそうに言われ、俺の胸がきゅんとなる。


「はいっ!」


満面の笑みで答えると、ヘリオさんはこちらを向いて「フッ」と微笑んだ。


「で、これから行くのか?」

「ヘリオさんが大丈夫なら!」

「じゃあ、行こうか」

「はいっ!」


こうして、俺はヘリオさんと

十二神大聖堂へ行き、エターナルバンドの準備をした。

指輪に名前を刻み、巡礼をし、衣装を貰い、飾り付けやプランを決めた。


「まぁ、こんなもんか」

「ですね!あ、ヘリオさん、記念に何枚か撮りませんか?」

「…そうだな」


2人で衣装に着替え、向かい合う。

純白の衣装を身に纏ったヘリオさんは、この世のものとは思えないほど綺麗だった。


「何を呆けているんだ?」

「あっ、すみません!見惚れちゃって…」

「!?」


俺の言葉に頬を紅くするヘリオさん。


「あんた…照れ臭くなることをサラリと言うなよ…」

「あははっ!でも、ホントの事です」


ニッコリ微笑むと、呆れた様にため息を吐かれた。

俺は「ヘリオさん」と名前を呼び、抱きしめる。


「っ?!」

「ヘリオさん、俺、もっと強くなってヘリオさんを守れる様になります」


俺がそう言うと、強ばっていたヘリオさんの身体から力が抜けるのが分かった。

そして、「フッ」と笑ったのが分かる。


「それは楽しみだな」


優しい声に、抱きしめる腕に少し力が込もる。


「ヘリオさん、大好きです。これから、よろしくお願いします」


すると、少し間があってからヘリオさんが抱き締め返してくれた。


「こちらこそ、よろしくな」

「はいっ!!」


ほんのり香る甘い匂いと、ヘリオさんの体温を感じ、俺は幸福に包まれたのだった。