九州ジャズ・ガイド②号原稿チェック弾丸ツアー【宮崎編】
早い桜が駆け抜けていったこの1ヵ月程、私は、九州ジャズ・ガイド②号の原稿チェックであっちこっちに弾丸ツアーを敢行中。
まず今回は、宮崎ツアーのお話。
(それぞれのお店のリンクは以前の記事に貼ってありますので、ご参考まで)
初日の金曜夜は、熊本→高鍋ドルフィーさん(写真上)→宮崎市・FAR CRYさん(写真下)。
ドルフィーさんで今回注文したのはカツカレー。そして、店を揺るがす大音響であれやこれや聴かせていただき、最後の〆は、EL&P「恐怖の頭脳改革」。。。確かに、下手なジャズよりスリリングで、最高でした。
それにしても、やはり熊本から宮崎は遠い。初めて仕事を終えてから、直接高鍋までの3時間+その後の移動(1時間弱)というコースを取ってみましたが、さすがにキツかった。
FAR CRYさんではいつもながら気分のいい時間を過ごさせていただいたのですが、28時前に無念のギブアップ。マスター、及び、いつもながらキツい仕事を終えてからおつき合いいただいたK氏には感謝!ですが、今回は先にお暇してしまい、本当に申し訳なかったです。
2日目土曜日は、市内・take5さん(写真上)→都城・マイルストーンさん(写真下)
→同・オールドアースさん(写真下)。
take5さんでは、ママの美味しい手作りランチ(今回は、揚げイカとナスのネギソース)に舌鼓を打ち、その美しいピアノの響きを改めて堪能。音/響きがいいと音楽そのものの感動がやはり違います。
そして、久しぶりとなる都城・マイルストーンさんではマスターのお話をじっくり聞くことが出来、楽しかった。。。この後のスケジュールがなければ延々居座したいところでしたが、再訪を誓って、同じ市内のオールドアースさんへ移動。
オールドアースさんも久しぶりの訪問でしたが、やはりこのお店の楽しさはマスターと常連さん達の言葉のジャム・セッション。。。笑いがこれほど絶えないお店は、九州のジャズ・スポットでは他に知りません。
尚、オールドアースさんの後、市内に戻り、ライフタイムさんに行こうと考えていたのですが、マスターとの都合が合わず、今回も断念。ただそのお陰で、オールドアースさんで閉店まで居座り、楽しむことが出来ました。
最終日日曜日はゆったりとまた高鍋に戻り、初日に寄れなかったダウンビートさん(写真上)→同・モルゲンさん(写真下)に寄って→熊本帰宅。
ダウンビートさんではいつもの蕎麦定食を堪能した上、シフォンケーキをいただき、心から満足。マスターが定年退職されてから初めての訪問でしたが、想像以上にあれもこれも色んなことが変えておられて、感心するやら呆れるやら。笑
最後はクラシック喫茶ですが、同じ町内のモルゲンさん。ちょっと居座っている内に常連のおじいさん、おばあさんの集会場となる繁盛ぶり。マスターがおばあさんにせんべいを渡すとシュークリームになって返ってくるという最近見掛けることのなかった「エビで鯛」現象に遭遇。。。その温かいお心遣いと共に、有難くいただきました。
こんな強行スケジュールでしたが、それぞれの店での滞在時間を2時間以上(最大5時間!)取ることが出来、また、当初の目的だった②号の原稿チェック、③号への掲載のお願い、①号掲載店への久しぶりの訪問も果たすことが出来、実に充実した週末となりました。
また今回特に興味深かったのが、都城・オールドアースさんで出会ったジャズ・ピアニストの卵 橋口幹(モトキ)さん(注)。せっかく入った芸大をコロナで対面授業がないからとあっさり退学し、この店でバイトを始めた弱冠19歳ですが、その演奏を聴かしてもらうと粗削りなるも、何だかとても気にかかるピアニストぶり。。。これからの大躍進を心から祈念した次第です。
こんな感じで、九州ジャズ・ガイド第②号、頑張って製作中ですので、今しばらくお待ちくださいませ。
尚、第①号も絶賛販売中!詳細については、こちらをご覧くださいませ。
(注)実はこの橋口さん、うちの愚息と同じ歳ということもあって、他人事と思えず、以下は彼への私信です。
先日はとても楽しい時間を過ごさせていただき、ありがとうございました。貴兄のピアノ、あの日も伝えましたが、とても面白かったです。熊本へ帰る道すがらも、貴兄についてつらつら考えていたのですが、3時間以上かかる道中だったこともあり、FBのメッセージで送るにはちょっとボリュームが多くなり過ぎました。せっかく考えたことですので、下記に書き連ねておきます。もし気が向いたら、ご一読くださいませ。
1.世界一のジャズ・ピアニストになる!と心から思えますか?
(1)ジャズの世界で、ピアニストの世界で、演奏者として食っていくのはとても大変です。生半可な気持ちなら最初からやらない方がいいです。
(2)そして、貴兄のいるオールドアースさんはあのサックスの宮里陽太さんが飛び立った故郷でもありますが、その宮里さんを目標にしてもいけません。目標はあくまで世界一。
世界一を目標にして頑張った結果が宮里さんということはあっても、宮里さんを目標にして、その結果が宮里さんということはあり得ませんので。笑
2.(1がそう思えたとしたら)世界一のジャズ・ピアニストになる!と、誰に聞かれてもそう答えてください。
(1)有言実行はとても大切。
(2)言霊もいれば、引き寄せの法則もありますし、何より、意識が変わると入ってくる情報が変わります。
「赤」を意識した瞬間から赤いものが目につきやすくなるのと同じ原理です。
3.ところで、ジャズって、何だろう?
世界一のプレイヤーになるのだから、自分なりの答えを持ちたいものですが、これは実に難しい質問です。
(1)聴くこと
①一口にジャズというけど、どんな音楽なのか?Youtube等を駆使して、初期のジャズから最新のものまで、その端から端までちゃんと網羅してみましょう。
②ジャズはブルース、という考え方があります。ブルースもちゃんと聴きましょう。
③ジャズは誰も聴いたことのない斬新で新しく、カッコいい音楽、という考え方があります。ロック・ヒップホップ・ポップス等々、何でも好き嫌いなくまんべんなく聴きましょう。
(2)歴史を学ぶこと
①ジャズが黒人迫害の歴史、時代的な背景の下、生まれた音楽であるのならば、それをしっかり学びましょう。
②アメリカからヨーロッパにわたったジャズがどう捉えられたのか、どう進化を遂げたのか、その歴史もきっちり押さえておきましょう。(併せて、日本も、です。)
4.世界一になるには?
(1)世界一のレベルを知ること、本物を知ることが大切。
(2)ジャズの、超一流、一流のステージを早い内にたくさん聴いてください。(だから、二世は有利)
(3)そして、ジャズ以外も同様。音楽だけでなく、他の芸術等も含め、ともかく本物を数多く体験してください。
(4)コロナ禍が収まった後の話でしょうが、出来れば1ヵ月に1回東京に行く、NYに留学に行く等、自分に刺激を与え続けること。
(5)世界で戦うピアニストの楽器は、グランド・ピアノです。楽器こそ、本物を触らないと、それに慣れないと話が始まりません。タッチやペダル等、人の何倍も努力してください。
(6)引き出しは多ければ多い方がいい。クラシック・民族音楽等、何でも聴ける限り聴きましょう。
特にクラシックの現代音楽はフリー・ジャズと極めて近いし、スティーブ・ライヒ等のミニマル・ミュージックは必須かも。。。先日、スガ・ダイローさんのピアノ・ソロを聴きに行ってきましたが、明らかにそのテイストの演奏もありましたので。
(7)日本人としてのアイデンティティを認識するためにも、伝統芸能・邦楽・落語等も聴いた方がいいかな。
5.最後に
ジャズは人間の喜怒哀楽に寄り添うもの、という考え方があります。最後はその人の人間性・人格が音楽に反映されるというのも本当のことです。
人間的に豊かな感性を持つために、積極的に芸術に触れてください。本を読んでください。絵を見てください。昔の映画を観てください。そして何より、いい恋愛をしてください。
貴兄の初共演者があのチック・コリアであること(例え、それがライブの一幕でたまたまのことだったにせよ、事実は事実)、芸大を辞めた後、戻って来た先が、この古地さんの店だったこと等、何か持っているように思えます。
これは誰でもあるものではなく、しかも、努力してどうこうなるものではないもの。
そして、貴兄が店員としては年相応の男子っぽい雰囲気だったのに、演奏に入った瞬間に豹変。一人のミュージシャンとして聴かせる雰囲気を身にまとったこと、言葉は悪いですが、無茶苦茶、生意気な表情になったのが、とても好ましかった。そして、その貴兄のピアノには何か独特な面白さがありました。
この感覚は、現在、全国レベルにまでのし上がった名古屋のジャズ・ピアニスト渡辺翔太さんを20年程前、マイルスというジャズ・バーで応援し始めた時に感じたものに近い。。。ということで、精一杯、楽しんで、悔いだけは残さないよう頑張ってください!応援しています。
【蛇足ながら、追記】
今回の私もその一人ですが、これから貴兄にアドバイスしてくれる善意の人が山ほど現れると思います。きっとみんなの言うことはバラバラでしょう。もしかすると、妙に一致するかもしれません。でも、そのどれが正しいのか正しくないのかも全ては結果論。
自分の心に響いたものだけを聞けばいいし、響かなければどれも聞く必要もありません。ただ、うまく立ち回る術を早く覚えた方がいいかもしれませんが。笑
私のHPのタイトルでもある「汝が欲するがままをなせ」、まさにそのまま。やったことに対して何が起きても「反省はしても後悔はしない」と腹さえくくれれば、後は、内なる心の声のままにやりたいようにやればいい。「自分の人生」とはそういうものです。
今後の飛躍を楽しみにしています。