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Perspective's Blog

CSV:#8 CSV活動で作る文書④ IQ

2021.05.28 01:00

こんにちは、木村です。

CSV活動で作る文書シリーズは今回から検証段階のお話に入ります。要求仕様定義機能仕様定義設計仕様定義、開発が行われた後、どのように検証に関する文書を作っていくのでしょうか。

今回は据付時適格性評価(IQ; Installation Qualification)で作成する文書について説明します。



1. 据付時適格性評価(IQ)とは

据付時適格性評価(IQ)は、コンピュータ化システムが設計仕様等に記載された仕様通りに据え付けられ、プログラムがインストールされたことを確認して記録する活動です。


GAMP5ではインストールテストとして示された箇所のガイドラインが該当します。

・ソフトウェアとハードウェアのインストール
・ソフトウェアとハードウェアの構成設定


つまり、据付時適格性評価(IQ)では、ハードウェア及びソフトウェアが設計された通りの構成で、想定された環境に適切に設置されたことを検証します。

活動の流れとしては、まず初めに据付時適格性評価(IQ)の戦略や実施事項を計画します。次に、計画で定義されたテストケースのスクリプトを用意します。テストケースのスクリプトを用いてテストを実施し、その結果と判定を記録します。最後に、記録した結果と判定をもとに活動結果をまとめます。

従いまして、文書としては計画書と報告書を作成します。これらに加えて、計画書に基づいた詳細な検証内容(上述のテストケースのスクリプト)を記載した項目書(要領書、仕様書ともいう)や、検証結果を取りまとめた記録書を作成することもあります。



2. 据付時適格性評価(IQ)で作成する文書

いつ作るのか?

据付時適格性評価(IQ)関連の文書は、コンピュータ化システムのライフサイクルの検証段階で作成します。受入試験(*1)が終わった後に据付時適格性評価(IQ)を開始しますので、計画書はそれに間に合うように作成します。報告書は据付時適格性評価(IQ)実施後、運転時適格性評価の開始前までに作成します。


誰が作るのか?

一般的に据付時適格性評価(IQ)は供給者(製薬会社のIT部門やベンダー等)が作成し、規制対象組織(製薬会社のビジネス部門またはIT部門等)が承認します。


どのような目的で作るのか?

据付時適格性評価(IQ)が適切に計画及び実施・報告されたことを文書化するために作成します。


どのような事を記載するのか?

適正管理ガイドラインには、計画書及び報告書について以下のように示されています。

検証責任者は、ハードウェア及びソフトウェアの据付時適格性評価の計画に関する文書(以下「据付時適格性評価計画書」という。)を作成するものとする。据付時適格性評価計画書には、原則として次の事項を記載するものとする。
(1) 据付時適格性評価の対象となる文書名
(2) ハードウェア構成及び設置場所

(3) ハードウェアの温度、湿度、振動等の環境条件

(4) 電源、接地等の設置条件

(5) 通信、入出力に関する仕様

(6) ハードウェアの設置の確認方法

(7) ソフトウェアのインストールの確認方法

(8) 据付時適格性評価における判定基準

(9) スケジュール

(10) 責任者及び担当者の氏名


また、適正管理ガイドラインではこの計画書に基づいてハードウェアの設置の確認、およびソフトウェアのインストールの確認を行った後に報告書を作成することが示されています。

検証責任者は、据付時適格性評価の報告に関する文書(以下「据付時適格性評価報告書」という。)を作成するものとする。据付時適格性評価報告書には、原則として次の事項を記載するものとする。
(1) 据付時適格性評価の対象となる文書名
(2) 評価結果と是正措置

(3) 責任者及び担当者の氏名


どのように作るのか?



据付時適格性評価(IQ)は機能仕様書(FS)や設計仕様書(DS)に記されている仕様が実装されていることを確認する活動です。プログラムだけではなく、文書や校正作業も検証の対象となりますので幅広い活動だと感じるかもしれませんが、後続の検証を円滑に行うためにも、細かな点の検証も丁寧に行いましょう。

次回は運転時適格性評価の予定です。



*1 受入試験:プログラム開発・テスト後に行う検証。供給者の工場集荷前に機能および性能を確認する工場出荷試験(FAT)と、システム設置場所等における受け入れ時に機能および性能を確認する現地受入試験(SAT)がある。