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ZIPANG-5 TOKIO 2020 ~ 早春譜から惜春譜へ ~ アフターコロナへのお膳立て 色彩環境 ー1 ・・・【寄稿文】林 英光

2021.04.15 03:50

春爛漫!田園にはカエルの声が聞こえて来る…奥・東三河の春は実に素晴らしい ‼


東三河名倉の春
行く春を惜しむ 少し寒いところなので開花も遅く、花吹雪も魚道のある綺麗な水の堰に散る
「宇連川」では夏のシーズンになると鮎釣りや、ヤナがたつ…兎に角、川魚が美味い・・・


新コロナも早々に去って欲しいと願うが、人類がすぐに忘れるクセを知ってか中々しぶといですね。 実は早春も惜春も今年は温暖化の影響で、今は四月だが、驚くことに五月・初夏の草花が各地で咲き始めている。自然は正直で、変異コロナと同様自己保存に対応し始めている。


このような時に自然を、伝統文化を大切にと提言しても、元が狂い始めているのである。がしかし敢えて提案し続けたい。


元はと言えば産業革命以来の急激な人間活動の拡大が原因にある。だが逆に、従来の伝統や行事その他の生き方を続けることが、気候変動などの問題について世界が真面目に対処することになると考え、以下のようなことに拘り続けていきたい。


先ず腹が減っては戦が出来ぬという訳ではないが、春を迎える食の色から始める。 

 

丸桶は、やはり椹(さわら)がいい・・・


3月雛祭りに筆者が頂いた早春の家庭伝統食の日本の色彩、サヨリ ウド エビ マグロ ノリ タマゴ 緑のサヤエンドウの丁寧な切り込みが全体調和を引き締め、また大きな青柳も美味であった。 


待ちに待った桜も、ほんの数日で忘れられ、山では藤の花が高木の上から妖艶に垂れ下がり、まさに山笑う春です。


新コロナに限らずウイルスは生物ではなく物質と生物の中間的存在で、自然界のバランスをとる媒体であり、物質と生き物の調整役だと言う。自然を利用し尽くし混乱を招いた人間に罰を与えて注意喚起しているのだろうか。


早春の高麗芝は枯色のゴルフ場で、グリーンとフェアウエーだけが洋芝で青い。
春最初に咲く黄色のレンギョウの次に、蕾が開く辛夷の花は、桜とは異なり白一色の清々とした姿で、キリッとした白い花は街路樹でも、最初に春を告げ街並みに元気を添えてくれる。


紅型の衣装が映える琉球の伝統舞踊


次は11月頃から春に咲く冬の茶花の代表でもある椿は、古代から大切にされてきた日本を代表する樹木である。東洋のバラと言われ世界中で好まれ、オペラ椿姫にもなった。沖縄では紅型や踊りの衣装、屋根瓦まで、あらゆるものにモチーフとして表現されている。


典型的な日本のヤブツバキはやはり最も美しい(大島椿)


日本には凡そ30種もあり、武家や庶民の庭にも必ず椿があり大事にされ、各家の密かな自慢の一つであった。


みちびきの神様として知られる猿田彦大神を祀る三重県にある椿大社は、松下幸之助など実業家にも信仰が厚く、全国に末社がある。


筆者のふるさと千葉県の旭市には古代の椿の海伝説があり、たった今新市庁舎が竣工したばかりで、筆者は建設の市民会議会長兼トータルデザインに関わってきた。テーマは椿の赤と白黒グレー自然色である。


また東大寺の勇壮なお水取りの火祭りのシンボルも、何故か赤に白の斑入りの椿が大切にされている。ペリー提督も苗を持ち帰った椿は世界に広まった。しかし洋花に改良された大柄で派手な椿はバラのようで、心静まるどころか派手で多少品が落ち、茶の席には向かない。


5色の人参

色彩は物質と人の心の媒体である


次は根菜。春は食材も華やかになる。愛知県碧南市の春の5色人参、香りも微かに異なり味もよい。人参一つとっても和の色はかくのごとく多少地味だが豊かである。切り口にも個性があり、人参だけでこの食材の有様、それが日本の色彩、これが和の色である。


色彩もコロナウイルスと同様に物質と生命体の媒体で、自然と人工との調整役でもある。自然から見れば、特にわが国の過剰で不自然なその扱いを調整するため、可視光線はコロナと同様な色彩の役割だと思う。可視光線は物質文明と人の心の間にあって、人に安らぎと生きる喜びと希望を持たせ、支える使命があるのだろう。


LCとLOJは色彩で衰退する日本を変えたい

そこで過去に色彩の可能性に期待を込め発案し、当時立ち上げたのが日本色彩学会の研究会
LCとLOJ(くらしと美しい日本の色彩環境を創る)である。自然と人工の調整役のコロナウイルスのように、さらに今提言していく時であると鋭意模索し取り組んでいる。


「政治とはそう言うものだよ」

エコノミックアニマルと言われる日本人、特に政治家も多くの自治体の長も他国の指導者とは大きく異なり、環境の美に無関心で、縦割りで混濁したわが国の環境の現状に活路を見出す役割を放棄している。


「人が環境をつくり 環境が人を育てる」と著名な先人は言った。
わが国で遅れているものに窓からの景色がある。新幹線やリニアにしても乗客が窓から見る景観を考慮しない。日本のようにあらゆるものを蹴散らし、早く正確に走るだけで、世界遺産富士山でさえ工場の煙突や電柱やバラック建築で無残な景色の向こうにある。これが日本の美意識の欠如の実態を表す。


自然や伝統文化など古きものを大事にしない、醜い景観をものともしないのは政治とは言えない。司馬遼太郎の「街道を行く」に書いた、元幕臣勝海舟の言った「新しいものだけが良いのではない、政治とはそう言うものだよ」を再見しよう。東海道53次の浮世絵の江戸の政策に景観を学ぼう。


美しき伝統の拠点、地域の色彩環境

東三河山間部の大野宿に、コーヒーもケーキもとても美味な、元銀行で大正ロマンの美術カフェ鳳来館がある。伝統を踏まえデザインした洒落た窓辺、伝統の美しき調度。


大正ロマンの香りのする、カーテンとステンドグラス


美しきグラス


カフェはステンドグラスのセンスもカーテンも調度品も優しく素晴らしい。今日本人が洋風と思って住んでいる住まいは、これを見るまでもなく表層のまがい物のバラック建築とバラックインテリアであることを改めて考えて欲しい。


当時の大工の頭領は和洋折衷でもその素晴らしい感性を発揮し、和とも調和させてきたが、今の建築家にはあまり見られないし、オーナーにも言えることである。


要は伝統こそ新たな未来へのステップである。トータルデザインで質が良ければ様式その他の条件にかかわらず周囲と調和する。


伝統と現代の調和は現代人のストレスを人の心をリラックスさせる(カフェにて)

色彩に関わる私達は、もっと本物の根性を学ばないと、軽い質の文化でよしとするのでは環境の改善には佗しい。


ミツマタはスギ、ヒノキを背景にそして山桜がはるか山頂に微笑む


ミツマタの花の形ひとつひとつは可愛らしい


花の盛りが過ぎたミツマタと ヒノキの暗がりの森が幽玄な春


此処からさらに山奥に進むと、紙の原料ミツマタの雄大な群落が山の渓流に沿って続く。表示もなく道に迷うので要注意。


アフターコロナに、物事を総合的に考え発信行動する大人物も今の日本にはいない。
生き方を示すのはスポーツを通して世界で頑張るアスリート、人知れず世界の辺境で貧しい人々の役に立つ行動をしている人物に敬意を払うだけである。


色彩にも社会のあらゆる場面で分野で、社会にも企業にも貢献する役割と使命があり、地道に丁寧に、誇りを持ってアフターコロナの世紀を支えて行きましょう。

背景と施設のあり方


春は子供達のヨットスクールも始まる


管理棟内部は雨天でも皆が元気になる色彩計画


筆者の仕事の一つ海陽ヨットハーバーも生き生きとする晩春の三河湾。
ここには古代からの漁港と温泉やヨットハーバーが幾つも共存している地域である。
それぞれのビューポイントから背景の山を越えないことは、海と山が近い景観デザインの基本である。文化財や大切なものをも阻害せずむしろ引き立て共存することが大切であるが、戦後から最近は、観光地、寺社城郭、原爆ドームなどの周りが他国に比してもかなり無配慮であるのは大変気になり残念な思いの方もお多いのではと思う。


景観の基本は人々をよりよい心に誘う環境のお膳立てのデザインであるので、徐々に具体案を提示したいと考えている。



ラグーナテンボスの全体景観は、一部を除いて建物もビューポイントから南アルプスの延長の東三河の山々のスカイラインを越えない配慮がある。穏やかな景色作りは先ず風土を意識して取り組むべきである。色彩も同様である。



次回へ続く・・・



【寄稿文】林 英光

環境ディレクター
愛知県立芸術大学名誉教授



※画像並びに図表等は著作権の問題から、ダウンロード等は必ず許可を必要と致します。
発行元責任者 鎹八咫烏(ZIPANG TOKIO 2020 編集局)  



編集局

参考資料

東三河が"ほの国"と呼ばれるのはなぜか?
歴史を紐解いて"ほの国"の由来を知る!


“ほの国”とは愛知県東三河地方の呼び名

大化以前「ほの国」と呼ばれた地域がありました。
愛知県の東部、西は宮路山、北は豊川の中流域あたりに広がる国で、豊かな実りのある地域でした。歴史の流れの中で「ほの国」の名は愛知県東三河地方(豊橋市、豊川市、蒲郡市、新城市、田原市、設楽町、東栄町、豊根村)として受け継がれています。


協力(順不同・敬称略)

愛知県東三河広域観光協議会
〒440-0075 豊橋市花田町字石塚42-1(豊橋商工会議所内) 電話:0532-54-1484

株式会社 椿 〒100-0101 東京都大島町元町4-10-13 電話:04992-2-5091(代表) 

 




国の重要無形民俗文化財

奥三河伝統の信仰伝承「花祭」

関連記事について下記のリンクよりご覧ください。


ZIPANG TOKIO 2020「700年以上を神に捧げ神と舞う!奥三河の伝統芸能【花祭】国指定重要無形民俗文化財 第一話 東栄町・小林の花祭 」

https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/1556090


ZIPANG TOKIO 2020「奥三河の花祭 第二話【御園の花祭】熊野の山伏や加賀白山の聖によって伝えられた 信仰伝承とは!」

https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/1564029


ZIPANG TOKIO 2020「奥三河の花祭 第三話【豊根村 上黒川】700年以上に渡り継承 除霊、神人和合、無病息災、五穀豊穣を祈る!」

https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/1639399


ZIPANG TOKIO 2020「天竜水系にのみ伝わる700年以上の伝統 奥三河花祭のフィナーレを飾る『布川の花祭』3月4日(土)13時 ~ 5日(日)11時まで開催!」

https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/2069857


ZIPANG TOKIO 2020 「奥三河の花祭 国の重要無形民俗文化財 毎年11月から3月上旬にかけて、郡内15ヵ所の地区で盛大に開催される!」

https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/3266677/


ZIPANG TOKIO 2020「古戸の花祭は、神仏混淆の形式を色濃く残している唯一の奥三河の花祭【国の重要無形民俗文化財】」

https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/3294802


ZIPANG TOKIO 2020
「奥三河15か所の花祭 特徴早わかり【国の重要無形民俗文化財】」

https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/3323234/


ZIPANG-2 TOKIO 2020~1200年以上続けられてきた伝統~「小浜 神宮寺『お水送り』から奈良 東大寺『お水取り』へ(その5)」

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ZIPANG-2 TOKIO 2020「神仏習合~世界遺産をめざして~小浜(その6)」

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ZIPANG-3 TOKIO 2020 明和町~初代斎王宮殿の大発見~「天武天皇の娘で初代斎王『大来皇女』の斎王宮殿跡と高床倉庫群(飛鳥時代)!!」

https://tokyo2020-3.themedia.jp/posts/5848684/


ZIPANG TOKIO 2020 「特別編 斎王~明和町より~伝説と歴史が伝える歴代の斎王74名について」

https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/3020519


ZIPANG-4 TOKIO 2020 ~ 椿と川端康成の伊豆の踊子 ~東京の魅力あふれる島々を巡る「 東京11島ホッピングスタンプラリー 」

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ZIPANG TOKIO 2020「白山開山千三百年記念事業『飛騨荘川ふるさと祭り』白山信仰とともに受け継がれてきた『獅子舞』『ひねり踊り』『民謡』特別披露」

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