ギルビー・クラーク (Ex-GNR) #2 苦労したあの曲&GNR裏の人間模様
元Guns N’ Roses のギタリスト、ギルビー・クラークがガンズのUse Your Illusion ツアーを語ったインタビュー・後編!
今回はファンならお馴染みの「セットリスト?」ネタから、「ディジー、教えてくれ!」、「バンドの仲」「取り巻きへの対処」等、なかなか興味深い内容が登場します!
I: インタビュアー
G:ギルビー
セットリストなど無い!!
14:45
I: あなたがUse Your Illusion ツアーでプレイすることが決まった時、あなたはカセットテープを聴いて曲を一つ一つ覚えていったそうですね?
G: ああ、そうだよ。
I: それだけの曲数、一体どうやって!?
G: (笑)
まず、イジー(・ストラドリン)がバンドを抜けた段階で既にツアーは始まっていて、バンドは(公演が無かった)約一週間で新しいギタリストを決める必要があったんだ。
もし、オレがあの仕事を出来なければ、何公演かは吹っ飛んでいただろうね。
(ここからファンにはお馴染みの説明・笑)
ツアーに出る前、オレはスラッシュにセットリストを教えてくれと頼んだら、「オレ達にセットリストは無い」って言うんだ。
「は?セットリストが無いとはどういう意味だ?どのバンドにもあるだろう?」と訊くと、「毎回曲が始まる前にアクセルが曲名を言うから、オレ達は告げられた曲を弾くのみさ。それがRocket QueenだろうとEstrangedだろうとね 」と。
つまり、オレはGNRの全曲をいつでも弾ける状態にしておかなきゃいけなかったってことさ。
オレが加入したのは、 “Use Your Illusion” のアルバムがリリースされてちょうど一週間ほど経った頃で、それまで聴いたことも無かった曲がアルバム二枚分だ。
オレはカセットプレイヤーを前にして座り、イジーのギターサウンドが聞こえやすいようにパンを振って、50曲を一つ一つ耳でコピーしていったんだ、一週間かけてね。
ここまでやった理由は、オレはステージでカンニングペーパーを置きたくなかったからなんだ。
ライブ中に床を見たりせずに、スラッシュやダフとプレイすることに集中したかったんだ。
苦しんだあの長尺曲…
16:25
G: ところが唯一、オレが上手く聴き取れなかった曲が “Estranged” だった。
あの曲は長尺のバラードっぽい曲で、一般的なアレンジではない。曲の構成をあっちに行ったりこっちに行ったり、小節の区切りも変だったり…
で、オレはKeyのディジー(・リード)に電話して、「”Estranged” を耳コピしてるんだけど、どうしてもわからない箇所があるから、横に座ってコードや構成を一緒に確認してくれないか?」と頼んだんだ。
すると彼は「オレ、最近出た楽譜を持ってるから、これを使えば良いよ」と渡してくれた(笑)
オレにしてみれば「この一週間、必死になってヘッドフォンから音を聴いてコピーしてきたのに、そもそも市販の楽譜があったなんて!!最初からこれでやってりゃどれだけ楽だったか!」って感じだったよ(笑)
I: 私には到底考えられないですよ(笑)
G: 今だとYouTube があるから良いよな!どんな曲でも誰かが既にコピーしてアップしてくれてるからさ(笑)
有名であることのデメリット
17:55
I: あなたはGNRとのツアーでたくさん素晴らしい経験をしたのと同時に、望ましくない体験もしたのでは?あなたがたの名声にあやかるために近づいてきたり、ドラッグ関係の人間もいたのでは?
そういった「有名なバンドでプレイするが故の短所」はありましたか?
G: そうだな、いくつかあるんだけど…。
まず言っておくと、オレ達はあれだけ長期にわたってツアーに出て、バンドとしてはものすごくタイトだった。
例えば、イタリアのミランを訪れた時なんかは、ホテルのワンフロアをGNR関係者が貸し切っている状態で、オレ達は部屋のドアを開けっぱなしにして、お互いが行き来できるようにしてたよ。
オレ達はいつも一緒に行動して仲は良かった。オフの日が数日あれば、一緒に映画を見に行ったり、バーに行ったり、他のバンドのライブを見に行ったりね。
アクセルだけは別だったよ。彼はホテル最上階のプレジデンシャルスイートに止まり、自分の世界を大事にしていた。
でも、残りのメンバーは色んなことを一緒に楽しんでたよ。
ただ、大変だったことの一つは、訪れる先々の街で「取り巻き」がいたことだ。
明白だったバンドの弱点
19:30
G: プロモーター関係なのか、ツアーの関係者なのかわからないけど、常に短期間だけかかわる人達が出てくるわけさ。
で、彼らの一部は「オレ達の弱点」を知ってるんだ、「コイツはヤバいクスリはやらないけど、大麻は吸う」とか、「コイツは大酒のみだ」とかね。
オレがGNRに加入した時、決してシラフだったとは言わないが、ヤバいやつからは抜け出そうとしていたところだったから、あの頃のオレの目標は、ヤバいクスリにやられることなくツアーを完走することだった。
でも、かなり難しかったよ、環境的にね。取り巻きの連中がそういうのを持ち込んでくるんだよ。
オレはそういった面を(完全に)コントロール出来ていたとは言わないが、もしあの時またクスリに手を出していたら、オレは戦いに負けていたと思う。
あの段階において、オレにとって重要だったのは音楽で、そういったパーティー的なものはオマケだったよ。
30年来の友人&はしご
20:45
G: だからこそ、そこで折り合いをつけるのは難しかった。出会う連中を常に警戒して詮索してたわけじゃないけど、まともな人間とそうじゃないヤツを見極めようとはしてたよ。
別にオレは騙されやすかった訳じゃないけど、とにかく色んな知らない人達が入れ替わりやってくるわけさ。
「オレはダフと30年来の友人なんだ」と言うヤツと一緒に飲んでたら、後から合流したダフがそいつを見て、「確か…25年前に一度だけ会ったことがあると思う」ってな具合さ。
連中は、そういったバンドとの小さな繋がりを盛りに盛って話すんだよ。
I: なるほど…。あなたはそれに対して怒りを感じていましたか?
G: いいや、怒りは無かったけれど、単純に「気付き」はあったよね。こういう場合、皆何かを欲しがって近づいてくるものさ。
オレが「ラダー(はしご)」と呼んでいるものがあってね。
はしごの一番上にいるのはアクセルだ。その下にスラッシュ、その下にダフ…という具合さ。
オレはそのはしごの一番下にいて、連中はまずオレに近づき、その後ダフ、スラッシュ…という感じで、より影響力のあるメンバーへの接触を試みるんだ。
終/