黒人奴隷5-人種分類学の始まり
2021.04.14 10:35
1775年、ドイツのブルーメンバッハが、「ヒトの自然的変種」という論文で、人類を5つの種類に分けた。53年にリンネは、「植物の種」を出版し、近代的な分類学が出発した。そのリンネは人間をチンパンジーと同じ類人猿に分類してセンセーショナルを引き起こした。
ブルーメンバッハは白人種をコーカソイドと名付け最初の人類とした。この命名は、ノアの箱舟が辿りついたと当時考えられた中央アジアのコーカサスに由来する、つまりノアの子孫が白人というわけだ。そして有色人種は、白人が退化したものと考えたのである。
啓蒙知識人にしても似たようなもので、フランスの百科全書には、黒人の大多数は放縦で復讐心が強く、盗みや嘘は平気である、と書かれている。こうして宗教と違う形で、科学の装いをもった白人中心主義がつくられていき、奴隷制の正当化に使われていく。
今日では人類のアフリカ起源説が定説だが、今のアメリカでは遺伝学から、黒人よりも白人、白人よりもアジア人の人種的優越性を主張する論議が出てきている。そもそもアメリカの創造論では恐竜と人類が共存していたことになっている。人種の優越性問題はまだまだ終わってはいない。