七十年代の日活が甦る、『ロマンポルノ・リブート・プロジェクト』は世界へ
【芸能ニュース】 日活(代取:佐藤直樹)が昭和四十六に製作を開始した「日活ロマンポルノ」は、平成二十八年十一月二十日で封切り第一弾から四十五周年を迎えた。これを記念し、新作製作とクラシック作品の活性化を併せた、横断的な「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」がスタート。
新作では、一定のルール下(十分に一回のエロス)で撮影するロマンポルノの特質を引き継ぐ。日本映画界の第一線で活躍する塩田明彦、白石和彌、園子温、中田秀夫、行定勲の五名の監督が同条件下で完全オリジナル作品を撮り下ろした。二十六日から第一弾の映画『ジムノペディに乱れる/行定勲』を公開した。本作には、板尾創路、芦那すみれと岡村いずみが出演。ラブストーリーの名手・行定勲監督が、切なく不器用な大人の愛を、美しい映像にのせ官能的に描いた入魂の一作だ。
十二月十七日からは、第二弾の映画『風に濡れた女/塩田明彦』。間宮夕貴と永岡佑が出演。欲を捨ててきた筈の男と、欲に純粋な女。塩田監督が、本能剥き出しでヒートアップする男と女のバトルを軽妙に描く。来年一月十四日からは、第三弾の映画『牝猫たち/白石和彌』。井端珠里、真上さつき、美知枝、音尾琢磨、郭智博、村田秀亮、吉澤健と白川和子(特別出演)が出演。ワーキングプア、シングルマザー、不妊症。それぞれの悩みを抱えながら、明日に向かって性活する女達の群像ドラマ。逞しく生きる女性達の今を白石監督が活写する。
一月二十八日からは、第四弾の映画『アンチポルノ/園子温』。冨手麻妙、筒井真理子が出演。園監督が贈るアナーキーな美しき問題作。ポルノは初メガホンとなる。二月十一日からは、第五弾の映画『ホワイトリリー/中田秀夫』。飛鳥凛、山口香緒里が出演。ホラー映画の名匠・中田監督が、レズビアンの世界に挑み、歪んだ愛の果てにある女同士の究極の純愛を描く。
全て全国順次公開。
『風に濡れた女』は今夏、「第六十九回 瑞・ロカルノ国際映画祭」のコンペティション部門に正式招待され、若手審査員賞を受賞した。国際映画祭のコンペティション部門への出品は、日活ロマンポルノ史上初の快挙となった。日本のロマンポルノは、ここにきて欧州が注目を始めている。その独特な描写は、日本が誇る文芸的コンテンツとして日活が地位を確かなものにしていくだろう。