200年住宅
昨日NPO消費者住宅フォーラム主催の
「話題の200年住宅にチャレンジしよう」というセミナーに参加してきました。
定員が60人のようですが満席でした。
根拠はないですが多くが住宅購入を検討している方が来ているようでした。
思った以上に興味をもたれている消費者が多いことに驚きました。
福田総理が掲げた200年住宅。
背景や内容はわかってもどうにも設計を生業とした自分にとってどうもしっくり来ない。
背中を後押しされている制度や情報にどうにも自分の足が進まない感覚・・・。
制度的には政府がどんどん進めており、建築士がする業務としてのやるべきことは明確である。
姉歯事件による昨年の法改正に続き来年には住宅瑕疵担保履行法も施行される。
世の中的には不安をあおるかのように高耐久な家、メンテのしやすいスケルトンインフィルの家の情報があふれている。
なにか後押しされている向きが違う気がしていた。
確認するためにもセミナーに参加してみました。(ま、誘われていったのですが・・・)
戦後の住宅の絶対数が足りず量産していく時代はとっくに終わり、既に充足している。さらに充足しているにもかかわらず壊しては建て直し続けている。
建替えのサイクルは日本は平均31年。イギリスは75年など欧米諸国に比べ格段に短い。この数値をみると、世代ごとに建替えていることになり、子供の代までも家をつなげていないのが現実。
平均的に各世代ごとに住宅取得していることになり、生活のなかで住宅取得の出費がかさむため、実質の生活レベルが上がらない。 (環境の話で言えば解体、建設に伴うCO2の排出の被害。)
で、対策として住宅を建替えでなく、バトンリレーしていくためにはその中古物件を扱う市場が活発になる必要がある。
現在住宅取引の全体の中で中古市場は1割程度と低い。 欧米諸国での7割には遠く及ばない。
では中古住宅市場が活発になるためには、安心して消費者が購入できるようにする必要がある。
そこで中古住宅の新築時の性能のレベルを表示する新しい基準(住宅性能表示制度)と新築以降のリフォームの記録(住宅履歴書)を 普及させようということだ。理解は出来る。
ようは買いたいと思う物件の充実である。 それならわかる。
200年住宅の200年というのがなぜ出てきたかというと、200年という期間が経てばほぼ間違いなく身内でない人に持ち主が変わるだろうということで設定された期間だという。
つまり住宅が他人にバトンパスされていくために 消費者の購買欲をそそる中古物件の充実である。
となればそれは建物の魅力、空間の魅力、環境の魅力、使いやすさ、など性能や数値では判断しにくい評価軸があるはずである。
セミナーの参加者の質疑を聞くと基礎の耐久年数や保証制度の質疑ばかり。制度や情報により不安になり、間違った工務店、設計者につかまらない様に・・・
「次の人に高く買ってもらうために」が一番大事なテーマになって・・・
本来の自分の家を建てる喜びなどを忘れているかにも思える。
建て主が思いを込めて作った家ならば人と違った個性的な家でも同感できる人は必ず居る。
そのような「想いが同じ人」でのバトンリレーというがあるはずだし、そのようなバトンリレーが長く続くために
高耐久に、メンテがしやすくしていくのではないかと思う。順序が逆なのではないかなと。
と何となくつかえが取れてすっきりとして日頃の業務に戻っています。
まず不安にさせてどうする!200年住宅。