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雅やかな香道の世界をのぞいてみた。

2021.04.18 01:17


以前から気になってた香りの日本文化、香道。


アロマのスクールでも体験教室があったりするのだけど、どうせなら本格的なものに触れてみたい。


京都の香木店の体験コースを知り、参加してみたいなあとずっと思っていたのだけど、このコロナ禍で遠出するのもはばかられるし、何より体験コース自体が休止になってるし。。であきらめてたところ


日本最大の香道の流派、志野流の家元が直々に教えてくれるという教室を見つけ、先日やっと体験してきました。


月に一度、着物を着てお出かけする機会に、ちょうど和のお稽古を探してたんですよねー。


洋のアロマに加え和の香道と、香りの世界を広げるのにももってこい。


そう思って朝から張り切って着物で出かけました。



場所は朝日カルチャーセンター。


昔、朝日新聞の仕事をしてたので、カルチャーのある同じビルによく通ったものでしたが、今はフェスティバルタワーに生まれ変わっていて、見違えるように新しくて洒落たお店も多く、気分があがります♪


18階の指定された教室に行くと、和服を着た女性たちが入り口でにこやかに迎えてくださいました。


体験のくせに着物で張り切ってて浮くかなあとちょっと心配したんですが笑、よかったー。


参加者は予想通り、私より年上の方々。男女半々ぐらいで20名はいらしたでしょうか。


この字型に並べられた机には銘々に資料と、小さい硯と筆が置かれています。


おお、本格的だー。


しばらくすると、お家元が登場。

500年続く志野流のなんと20世という由緒正しきお方。


名古屋から来られたそうで、コロナの影響で次の来阪はまたいつになるかわからないとか。


大阪の感染者が激増してる中なので、はるばる来てくださったことがありがたい。


最初にまず古い流木のようなものが回ってきて、その匂いをかぎました。


いえ、「かぐ」じゃなく、香道では「聞く」と言うんですね。


六種類の香木と、それぞれの五味「甘・苦・辛・酸・しおからい(ほんとは漢字1字なんだけど出てこないー。。)」を聞き分ける。


聞香(もんこう)を重ねることで、少しでも上達するように努力し、十徳を積む。


香道は、精神世界の芸術なのです。



さて、その流木のような鰹節のようなものが、香木の最上品と言われる「伽羅(きゃら)」なのでした。


最初に淡路島に流れ着いたと言われる日本最古の香木。


アロマでも習った「伽羅」の香りを初めて体験して感激!


白檀に近いようなフランキンセンスのような、もう少し華やかなフローラル系の香りも少し感じられ、なんともはかなく、雅な香りがしました。


そもそも香木は樹齢数十年を経て朽ちた老木の樹脂が、土中に埋もれている間に木質に沈着し、香りを発するようになるのだとか。


香木の採集は偶然に頼るしかなく、そのためどれも大変希少なもの。


家元のところには、何百年と受け継がれてきたさまざまな香木がたくさんあり、いつもいい匂いがしているんだそうです。



香りを楽しむ作法は上達段階に合わせていろいろあるようですが

今回は初心者むけに、香りを聞き当てる「組香」というのを体験しました。




上の写真の白い紙「菖蒲香」とあるのがいわばレジメですね。


ここからちょっと文字だけでは説明が難しいのですが、一応やってみます。


白い紙の最後に【参考】として和歌があるのが見えるでしょうか。


今回の菖蒲香は、この和歌をもとに名前がつけられていて、「五月雨に」が一、「池のまこもの」が二、「水まして」が三、「いづれあやめと」が四、「ひきぞわづらふ」が五と番号がつけられ、それぞれに香り(香木)が割り振られます。


どの番号がどの香りかはもちろん参加者にはわかりません。


まず「あやめ」という言葉が入っている四の香りを聞き、その香りを記憶します。


次に5つの香りを順に聞いていくのですが、四の「あやめ」の香りももちろん含まれていて、それが何番目かを推測して短冊のような紙に書き込んで提出します。


座の正面には、香を炷き出す係の「香元」と、記録係「執筆」と呼ばれる方々が座り、ちょうどお茶のお手前のように香炉が回され、銘々が順に香りを聞いていきます。


詳しい作法はこちらに載ってるので見てみてくださいね。



まあ、言ったら香り当てクイズです。


全部を当てるんじゃない、一個だけを当てる。


なんやー、それだけか。まあいけるやろー。


最初の「四あやめ」を聞いたときにはそう思いました。


でも、次の香炉が回ってきた段階で、もうその自信はぐらつきました。。


「おんなじやん」


その次も、その次も、ちょっと強さは違うけど、全部おんなじ、全部もわーんとする木の香り。


「あやめ」なんて名前がついた時点でなんとなく、あやめっぽい、花っぽいものをイメージしてしまったのも混乱の元でした。


そうか、香道って、木の香りばっかりなんや。。。


そら難しいわーーーー


そう思った参加者は、きっと私だけではなかったと思います。


だって20名ほどの参加者のうち、正解はたった一人。


当たった老紳士は、納得顔で深くうなずいておられましたが、いやーすみません、まぐれちゃうますう〜〜〜??


正解発表後の会場の静かなざわつき。


なんせ雅な世界ですから、「あちゃー」とか「むずいわ!」とか思っても口には出せず、みなも首をかしげるのが精一杯って感じでした笑


500年前もこんな光景が繰り広げられていたに違いないと思うと、それはそれで興趣が尽きない感じではあります。



というわけで、わたしには奥が深すぎた香道の世界。


一歩だけ踏み入れた足は早めに引っ込めることにいたしました。。


あ、でも続けて精進しなくても、思い立ったときに単発で参加してもOKだそうですよ。


特にアロマなど香りに携わっておられる方には、希少な伽羅の香りを聞けるのは本当に貴重な機会。


ぜひ一度体験してみてください^^