フィルX (BonJovi / The Drills) #1 作詞スタイル・SNSの在り方
BonJovi のギタリストとして、また自身のバンドThe Drillsを率いて精力的に活動しているフィルX。
昨年もシングル”Right On The Money”が話題となりましたが、先日公開された新曲はさらに強力な一曲でした。
今回はそんなフィルのインタビュー訳をお届けします。
I: インタビュアー
P: フィル
I Love You On Her Lips
0:30~
I: 先日公開された新曲 “I Love You On Her Lips”のリリックビデオ、これはもちろん今後発売されるアルバム ”Stupid Good Lookings Vol.2” からの先行シングルですが、まずこのバンドについて話してもらえますか?
P: まず最初に一つ訂正させてもらうんだけど、“I Love You On Her Lips”は独立したシングルで、次のアルバムには収録されないんだ。
あの曲はとても良いリアクションを得ていてね、ライブ活動が再開された時には、オレ達はあの曲でショーをスタートさせなきゃいけないと思う(笑)
I: なるほど、確かにあれは「モンスターソング」ですよ。この曲が出来た経緯は?
P: オレは人々が共感できる曲を作るのが好きなだけでなく、聴いた人がそれぞれの解釈で楽しめるようにしたい。
あの曲は生意気で皮肉っぽくて…まぁ、このバンドではよくこういうことを歌ってるんだけど。
こういう「行間を読んで作者が何を意図したかを探らなきゃいけない」ような歌詞を書くのが大好きなんだ。
というのも、よくファンがオレのとこに来て「あの歌詞ってどういう意味なの?」って訊いてくるんだけど、オレは逆に「キミはあの歌詞をどう捉えてる?」って訊き返すんだよ。
すると、時に彼らの解釈はオレが自身で思い描いていたものより素晴らしかったりするんだよ。
アーティスト・ファン・SNS
3:00~
I: リスナーにその余地を与え続けるべきですね。それは必ずしもあなたが意図した内容じゃなくても。
P: オレはそれがとても重要だと思ってるんだよ、作品・バンドとファンをあらゆる面で繋げていくということがね。
こういう側面は(SNSを含めた)ネットの世界の素晴らしい所だと思う。と同時に、くだらない部分にもなり得るんだけどさ(笑)
例えば、誰かがあるアーティストのことについてツイートしていたら、そのアーティスト本人が反応してくるなんてことも決して珍しくはないだろ?
もし、オレが最初にVan Halenを見た14歳の頃にツイッターが存在して、エディがいきなりリプしてきたら、オレはおかしくなったと思うよ(笑)
ここはSNSのとても素晴らしい点だと思うな。
でも好ましくない点は、「アーティスト本人を目の前にしたら言えないようなことを、平気でツイートしてる連中がいる」ことだね。キーボードの上では威勢がいいのにさ。
そういうのは理解できないね、臆病者だよ。
おっと、くだらない連中について話すのはこれぐらいにして、もっと面白いことについて話そうぜ!(笑)
(*この流れで自らブレーキを掛けられるのがフィルの素晴らしい所だと思います。今まで、こういう話から雪崩のように不満をぶちまけるインタビューを何度となく見てきたので…笑)
“Stupid Good Lookings”
4:30
P: この “Stupid Good Lookings” プロジェクトは、幾度となく変更を重ねてきたんだ。
当初は「14人のドラマーと14曲をプレイ」というのがそもそものアイデアだった。
実際、14人のドラマーとやったんだけど、そもそも一番最初にレコーディングをスタートさせたのは2014年の末から2015年の頭だった。
オレとダンだけでスタートさせて、14人のドラマーをリストアップし、それぞれのドラマーと1時間半だけバンドをやっていったんだ。
その間でオレ達は一緒にアレンジを考えたりしながら、各ドラマーと少なくとも3回録っていった。
3回録れば、家に帰って聴き直した時に各テイクの良い所とかをちゃんと判断できるからね。
(*↓かなりカッコいい曲です!)
事前にまともなリハーサル無しでその場ではギターを弾き、家に帰ったら客観的に判断しなきゃいけないプロデューサーの立場に…なんてやってたら、きっと「しまった、もっとこうやるべきだった」ってなると思うんだよ。
でも、そういったプロセスを経て3回のテイクで色々試していれば、きっと後から後悔することも無いだろうしね。
で、オレ達は実際に多くのドラマーとレコーディングしたんだけど、ここで何が起きたかと言うと、もちろんファンはオレ達の曲やコンテンツを欲してくれてるけれど、必ずしも皆が一度に14曲みたいな量を欲しがってるわけじゃない、ということなんだ。
しかも、オレ達は超忙しいエンジニア、クリス・ロード・アルジと一緒にミキシングしていたからね。
彼はまず6曲を仕上げてくれたから、その段階で「じゃあ、これをまずVol.1という形で出そうぜ」となったんだ。