小さい子みたいに
まえのキップのいいおばあちゃんが
3階に移るという
順番に置いていかれて
わたくしが最後たいねー
となりのおばあちゃんが言う
白石さんはどこにも
いかせんよ〜
おってもらわんと困る〜
じゃあ いっしょにリハビリ病棟へ
いきましょうね〜と
話していたら
夜勤の石原軍団が
あさ、
白石さんも 今日南病棟よ!
えーっ
聞いてないしー
またまた ご冗談〜
リハビリにいけば
午後のリハビリの時間は
移動の時間にあわせます〜
え、マジ?
まったく 聞いてないし〜
士長さんに直談判しなきゃ
署名運動は効くかしらと
あたしより あわてる
となりのおばあちゃん
そうね、
悲しいって言ったらダメね
良くなる段階
送り出さなきゃね
でもねー
この荷物、
軽トラ一台おねがいしまーす!!
笑って
笑って
リハビリで会いましょう〜
渡り廊下を通り
結局、昼過ぎに
ふたり
病棟は違うが
移動した
あたらしい部屋
あいさつをした
リハビリ病棟の4人部屋の
主は 美しく化粧をし
2人のお供を従えて
リハビリいくのも
雑談するのも
3人かたまっていた
目の前に人はいるけど
内輪の
ちんぷんかんぷんな話しに
入ってもいけず
夕ごはんまで
だれ〜とも しゃべらず
ごはんがきた
たのしみなごはん
待ちに待ったごはん
ノドを通らなくなった
うっ
うっ うっ
嗚咽がこみあげて
ガマンできず
廊下にでた
食事を配っている
看護士さんが
ふたり
とんできて びっくりしたけど
もう とまらない
そこへ 前の同室のキップのいい
おばあちゃん!
どうした!
こっちにおいで!
ちがう階だと思っていた
おばあちゃんが
ちょっとはなれた
同じ階にいて
ロビーのテレビを見に来ていたのだ
看護士さんとばあちゃんに
連れられて
ロビーに座る
白石さんはね
いろいろやれて
みんなに好かれて
頼りにされて
かわいい孫もおって
こんなに泣く人じゃないとですよ!!
おばあちゃんが
涙流して
目を真っ赤にして
興奮して
リハビリ病棟の看護士さんに
説明している
なんがあったか知らんけど
負けたらいかん!
色んな人がおるけど
強気でいかにゃんばい!
これから長い病室になる
大丈夫です!
すみません〜
そこへ、りおん
今着いた!
病院に来たという
なんで?
マグネットフックと
服持ってきた
わたし、行ってきます!
看護士さんが
あたしの洗濯物も持って
しばらくりおんと話をしたらしい
おかあさん〜どこらへん〜
広い入り組んだ病院のまわりを
れいくんを抱き、
あおちゃんの手をひいて
あたしが立つ廊下の端っこの
窓を探してる
なんが見える?
手がかりが
少ないのに
また 探し出し
みんなで 真下から
手を振って
スピーカーホンではなす
りおんが寮に入ったときを
思い出してた
りおんも
泣きたいけど
泣けずに
公衆電話から電話してきてた
日のことを
BA‼️おわった?
下から見上げて言うのは
また
あおちゃん
まーだよ
終わらんとよー
なんで?
また泣ける。
見えなくなるまで
窓にへばりつき
手を降りあった
こんどの部屋は
おばあさんたちが
スピーカーホン大音量で話し
テレビもイヤホンつかわず
一日中ついている
いいやん、
おかあさんもうちらと話せるやん
ところが
通信制限で
画像が動かず
声も途切れたまま。
ふつうに
電話でみんなと話す
小声で。
らんちゃんね、
BAが
帰ってきたら
うなぎやさんにいくー
同じクラスの子のおうちが
うなぎ屋さんらしい
うん
わかった
おかあさんは順調ですよって
いい看護士さんだったよ
リハビリ計画書を出して
最大90日で
治りを見ながらドクターと
判断して やっていくって
90日って3ヶ月やん
そんなには かからんと思うけど
計画書ができたら
うちにもくれるって
だから
がんばって!
カイトの社長も
お父さんの社長も
みんな心配してくれている
泣くなんて
思わんかった
1600カロリーのわすがな
ごはんを
はじめて 残した
少しだけ。
この部屋に
前の病棟の看護士さんと
いっしょにきた
白石さん、移動しまーす!
ナースステーションのみんなに
見送られ
わくわくしながら
うしろは
ふりむかず。
あたらしい病室につき
ちょうどリハビリの説明があるとのこと。
わたしでよければ
片付けときます!
大量の荷物を
わかりやすく
納めてくれていた
あれ?
らんらんたちの写真が
どこにもないー
あんなデカいの
どこにも入らんよな〜
ふっとみると
壁に
貼ってあった
前の部屋と
同じように
11日目にして
愛をいっぱい感じて
ホームシックになった日でした