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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

アメリカ独立8-「コモンセンス」発刊

2021.04.22 08:54

アメリカ人は本国と戦争したものの、第二回大陸会議のメンバーでも独立しようという者は半数に満たなかった。会議は国王ジョージ3世との和解を提案したが拒絶された。その状況を変えたのは「コモンセンス」という一冊の本である。書いたのはアメリカ人となったばかりのトマス・ペインという男。

彼は、アメリカ人なら誰もが信じる聖書の権威を借りた。旧約聖書民数記、そこには確かに神は王政を望んでいなかったことが書かれている。ユダヤ人が、異邦人の真似をして王が欲しいというからそうしたのだ。何と神は共和主義者だった。そしてこのまま居ても本国に利益をすすられるだけで、旧世界の戦争にまきこまれるばかりである。

1776年1月に発刊されたこの小冊子は1部2シリングで、3カ月で12万部を売りきり大ベストセラーとなった。さらにボストンの戦争でも動きがある。ボストンを見下ろすトーチェスター高地に、最高司令官ワシントンの命令で冬季3カ月かけて総量60トンに及ぶ大砲その他の武器が運びあげられた。

本国軍は、この高地を奪回しようとするが、冬の嵐に阻まれて思うにまかせず、3月17日に遂に撤退し、ボストンから船で出航した。この勝利で、独立派が優位となり、アメリカは独立に向かうのである。