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藤田晋 invitational RTDリーグ

目下の1打にのみ明日の最強が宿る!決勝 最終節 4回戦(最終戦)レポート

2016.12.01 10:00

11/23(水・祝)16:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDマンスリーリーグ決勝 第2節 4回戦(最終節最終戦)の様子をお届けします。

対局者は、起家から順に

多井 隆晴(RMU)

藤田 晋(株式会社サイバーエージェント代表取締役社長)

佐々木 寿人(日本プロ麻雀連盟)

瀬戸熊 直樹(日本プロ麻雀連盟)

レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。

多井の優勝、藤田の準優勝もほぼ決まり、残すところあと1回。

こうなると、4者ともに「良い麻雀を打ち切る」ことが目標となる。

かと思いきや、開始前、佐々木だけは瀬戸熊とのポイント差をメモしにきた。

この男、まだ3位を諦めていない。

そう、この諦めの悪さが佐々木である。


東1局、カン8mが埋まって高目三色のリーチをかけた瀬戸熊に対し、オヤの多井がイーシャンテンから6sをツモ切って8000。


瀬戸熊が先制すると、これが瀬戸熊劇場開演の合図。

東2局では、佐々木のリーチに追いかけると、佐々木が一発で4sを掴んでウラ1の8000。


東3局でも、藤田のリーチに追いかけると、藤田が4pを掴み、2600。


これでオヤ番を持ってくると、10巡目リーチをツモって2600オール。


続く1本場では、タンヤオチートイツの2m単騎をダマテンで藤田から。


極めつけは2本場。

ここから何を切るか。

ぱっと見て、7pに手をかける打ち手が多そうだ。

しかし、瀬戸熊の選択は6sツモ切り。2sの2枚切れを見て、6p、1sを引いてのチートイツも視野に入れる1打である。

結果的には2sを引いてこのリーチになるため、形は変わらないのだが、ここで7p切りリーチになったことが、この後少しだけ瀬戸熊に利する。

7pをチーしてかわしにいった多井が、8pツモ切りで12000放銃したのだ。

この8pは、瀬戸熊がどういう切り順でも多井から切られると思うのだが、宣言牌が7pであることは、多井の背中を押す材料になったと思われる。

少考して6s切りの次巡、7p切りリーチ。

仮に6p7p7pの形で持っていたのなら、前巡の少考時に7pが切られ、宣言牌が7pにはなりにくいのではないか?

そのような読みが、少なくとも多井の背中を押したことは間違いないだろう。

あの手牌から最高打点のチートイツを逃すまいとした、瀬戸熊の隠れたファインプレーである。

ここまで、なんと6局連続のアガリで、瀬戸熊が最終戦のトップを独走していく。


その瀬戸熊に対し、佐々木も絶対に諦めない。

南3局のオヤ番では、中ポン、9pチーでテンパイを果たすと、生牌の發を切り、2枚切れの白単騎に受けたのだ。

そして、ツモ切りを続け、終盤に引いた4pもツモ切り。7pや白と入れ替えることができるのにもかかわらずだ。

佐々木はこのとき、瀬戸熊・多井のテンパイ気配を感じていた。

その上で、佐々木は言った。

「とにかく手出しをしたくなかった。これで放銃したらバカだなあと思ったけど…」


思ったけど…、それに続く言葉はきっと、「トータル3位になるには、これをアガり切るしかないから」だろう。

手出しすればするほど、2枚切れの白が出にくくなる。

最後まで絶対に諦めない。それが佐々木寿人という打ち手だ。

しかし、結果的にはこの4pが多井に捕まり、オーラスを迎えることとなってしまった。


オーラス、多井はいつも通りに休まない。

オヤの第1打である南からポンしていく。


藤田も、ドラのカン3mチーから果敢に仕掛けていく。


すると、ここに瀬戸熊がオヤリーチでかぶせた。


多井は真っ向勝負。

無スジを4枚切り飛ばし、テンパイまでたどり着く。


そして、なんと藤田も、カン8mチーの後に3m4mと引いてテンパイを果たしていた。

ここから、多井のアタリ牌4mではなく、きっちりドラの3mをツモ切っていく。


藤田・瀬戸熊・佐々木は知っている。

この半荘、この1局、この1打の粘りが、明日以降の自分の麻雀を成長させると。

だから、絶対に手を抜かない。


多井もまた、知っている。

この半荘での緩みは、明日以降の緩みにつながると。

だから、絶対に手を抜かない。


目の前の1打1打に挑戦することでしか、明日の最強へと自らを導くことはできないのだ。


そんな4者の純粋な麻雀がぶつかり合った最終局、藤田が藤田らしい柔軟な仕掛けからの倍満ツモで、主催者自ら幕を引いた。


RTDマンスリーリーグ2016 優勝

多井 隆晴(RMU)

多井は、これで日本シリーズと合わせて2016年の団体混合タイトル2冠。

この優勝で、最強戦ファイナルの出場権も獲得した。12月、最速最強・多井隆晴が、文字通り「最強」の称号獲得に挑む。


「目下の1打に挑むことでしか、最強への道を拓くことはできない」

2014最強位・藤田晋の号令で始まったRTDマンスリーリーグ2016は、そんなメッセージを残して幕を閉じた。


強者たちよ、最強への道を開拓せよ。



【観戦記執筆後記】

RTDマンスリーリーグ2016、いかがでしたでしょうか?

これだけ長期のリーグ戦を放送するのは、選手・スタッフにとって挑戦だったと思いますが、観戦記者の私にとっても挑戦でした。これまで観戦記を何十本と書いてきましたが、このような長期シリーズの観戦記を担当するのは、当然初めてのこと。戸惑いながらも、なんとか最後まで書くことができました。

1年にわたって観戦記にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

番組中に来年度の開催がアナウンスされましたので、みなさま来年度もRTDマンスリーリーグをぜひよろしくお願いいたします!


鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)