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とある冒険者の手記

A.エターナルバンド·アニバーサリー

2021.04.23 21:36

窓から差し込む朝日で目が覚める。


「もう朝か…」


上半身を起こし、大きく伸びをする。

時間を確認するためにトームストーンを手に取ると、何かのお知らせ通知が届いていた。

なんだろうと通知を開くと、[エターナルバンド·アニバーサリー]の文字。


「そうだ、今日で1年になるんだ」


まだ、隣で寝息をたてているヘリオを見て、1年を振り返ってみる。

本当に1年で起こった出来事なのかと思うほど、色んなことがあった。

その分、もう何年も一緒にいるような、そんな錯覚さえ覚えるほどだった。

そして、何かがある度に相手への思いは、強く、深く、大きくなった。

本当に、本当に大事な人。

朝日で黄色のメッシュの入った白銀の髪が、キラキラと輝く。

その髪にそっと触れ、頭を撫でる。

それだけで愛しい気持ちで胸がいっぱいになる。

そっとヘリオの頬にキスをし、起こさないようにベッドから抜け出し、着替え、朝食の準備をするためにキッチンへと向かう。

ウィンナーをボイルするために、鍋に水を張り火にかける。

湯を沸かしている間に、サラダの用意し、棚から朝食用のパンを取り出しバスケットに入れ、沸いた湯にウィンナーを投入した。


「おはよう、アリス」


突然の声に振り向けば、軽く欠伸をしているヘリオの姿があった。


「おはようヘリオ!あ、起きたところ悪いんだけどさ、目玉焼き焼いてくれないか?」

「ん、いいぞ」

「ありがとう!あと、ウィンナーの茹で具合の確認も頼むよ」

「あぁ、分かった」


キッチンをヘリオに任せ、用意をしたサラダとパンを食卓に並べる。

チーズを出すのを忘れたのを思い出し、チーズの棚へと向かう。


「アリス」

「ん?なんだ?ヘリ……」


一瞬、何が起きたのか分からなかった。

目の前にはヘリオの顔が近くにあり、俺の唇には柔らかい感触。

キスをされていると気がついた時には、ヘリオは少し離れそっぽを向いていた。


「え……あ……?」

「今日、記念日…だろ?そんな日ぐらいは、こんなのもいいだろ……」


後ろから少し見える頬が赤く染まっていた。

やっと状況を理解した俺は、両手で顔を覆い、しゃがみ込んだ。


「おおおおおおおおっ!!」

「なっ!何だ?!いきなり叫び出して!!」

「だ、だって!ヘリオからしてくれるなんてっ!嬉しいやら、照れくさいやらでっ!俺、今この瞬間に死んでもいいぐらい幸せだっ」

「お、大袈裟すぎるだろ…」


呆れたヘリオの声。

俺が嬉しさのあまりに動けなくなっていると、階段を登ってくる音が聞こえた。


「おはよー!ヘリオお兄ちゃん!アリスお兄ちゃん!」

「リリン、おはよう」

「…おはよー、リリンちゃん」

「アリスお兄ちゃん、どうしたの?具合悪いの?大丈夫?」

「…大丈夫、嬉しさのあまりに魅了のデバフがついただけだから…」

「?」


キョトンとするリリンちゃん。


「ヘリオお兄ちゃんも、お顔が赤いよ?お熱あるの?」

「いや、大丈夫だ。熱は無い」


さすがにこれ以上、リリンちゃんを困惑させる訳にはいかないと思い、俺は何とか立ち上がった。


「心配してくれてありがとな」

「ううん、どういたしまして!」


ニッコリ笑うリリンちゃん。

そして、俺はヘリオに向き直る。


「ヘリオ、時間がある時にエタバンアニバーサリーの日付の予約しに行こうぜ!」

「あぁ、明日なら空いてるぞ」

「じゃあ、明日行こう!」

「エタバン?アニバーサリー?」


首を傾げるリリンちゃんに、俺は答えた。


「あー、リリンちゃんにはまだ教えてなかったな。エタバンってのは、永遠の絆を誓い合う儀式って言ったらいいのかな?アニバーサリーは記念日。今日は俺とヘリオが永遠の絆を誓い合った記念日なんだ」

「そうなんだ!その儀式は、他の人も見に行けるの?」

「うん、見に行けるよ!」

「私も行きたい!」

「わかった!じゃあ、後で招待状を渡すから、無くさないようにするんだぞ?それが無いと見に行けなくなるからな」

「うん!わかった!」


嬉しそうに答えるリリンちゃん。

ヘリオは照れくさそうに頭を掻く。

初めてのエタバンの時は2人きりだったから、今回はFCメンバーやフレンドさんを呼ぶのもいいかもな。

あとで、2人で相談しよう。


「ほら、ウィンナーと目玉焼き出来たぞ」

「サンキュー!じゃあ、朝御飯にしよう!」

「わーい!」


俺たちは朝食を取りながら、今日の予定と、明日の予定について話し合う。


この穏やかな日々が途切れることのないよう、もっと強くなろうと改めて思う。

大事な人と、ずっと一緒に居られるように───