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筒井氏同族研究会

筒井氏の家紋①

2024.03.10 04:57

 『家紋大事典』(高澤等・著、東京堂出版、2021年12月30日初版発行)等によると、武家の家紋も公家の家紋と同様に、平安後期に誕生したと考えられるようだ。「平安末期から鎌倉初期の度重なる合戦において、武士達は己の功名を知らしめ正当な恩賞を勝ち取るために、個人を見分けることが可能な旗が不可欠になっていたのであろう」と。普及し始めるのは鎌倉以後で、鎌倉中期頃には多くの武士が家紋を持ち、武家社会に定着していたと考えられる。


 筒井氏の家紋については、「梅鉢」と言うのが一般的に言われているようである。

 これは日本最初の家紋集とされる『見聞諸家紋(けんもんしょかもん)』(応仁~文明(1470年前後)に成立したと推定される)に記載されている大和国の筒井氏の家紋が「梅鉢」であるからだろう。筒井舜良房順永の時代である。

 また、この『見聞諸家紋』には、讃岐国の筒井氏の家紋として、「九枚羽団扇(筒井鷹の羽団扇)」の記載もあるが、この讃岐国の筒井氏に関する情報は乏しい。

 しかし、当研究会においては、残念ながら、まだどの家紋が最も伝統のある筒井氏の家紋なのかを断定できる状況にはなく、今後も研究・調査を続けたい。


 ちなみに、当研究会における筒井家の家紋は、会長は「丸に橘」、事務局長は「丸に木瓜」、当サイト管理人は「丸に剣片喰」、等々である。


 江戸後期の旗本で、目付・長崎奉行・南町奉行・大目付を歴任し、安政六(1859)年6月8日に歿した筒井政憲(まさのり)の墓石が、新宿区指定史跡として東京都新宿区の日蓮宗常円寺に現存するが、その歴史ある墓石には、「丸に六曜」が彫られている。

 しかし、その養父・筒井正盈(まさあきら)(筒井政悦(まさよし)の養子)が傳香寺に不明となった家紋を問い合わせたことがあったらしく、傳香寺から筒井家の家紋は分からない旨の返信を送ったとの話も耳にする。


 それより古い本能寺の変の際、護衛が手薄だった徳川家康が隠密に加太を経て伊勢国から海路で三河にかろうじて戻る有名な「伊賀越え」は、中世の自治都市・堺の豪商である木地屋筒井庄右衛門の手助けによる。この堺の筒井家に残る古い陣笠には「星梅鉢」が遺されている。

 さらには、筒井陽舜房順慶が馬印に「金の分銅」を使用したとされるが、東大寺 筒井家の雛人形には、「分銅紋」があるとも聞く。


都道府県別 姓氏家紋大事典』による筒井氏の家紋(出自)情報

 名字、家紋名、出自の3つが、都道府県別で、かなりのサンプリング数が記載されているが、それでも、必ずしも自家の家紋や出自が載っているとは言えないようである。個別の出典等の詳細は記載されていない。

西日本編

・奈良県(P.106):石持ち地抜き七曜(大和・藤原氏族)、丸に剣片喰(大和・藤原氏族)、丸に井筒(大和・藤原氏族)、丸に星梅鉢(大和・藤原氏族)。

・三重県(P.33):丸に井桁(藤原氏族)、丸に星梅鉢(藤原氏族)。

・滋賀県(P.68):二つ銀杏菱(藤原氏族)、丸に星梅鉢(藤原氏族)。

・京都府(P.148):丸に星梅鉢(大和・菅原氏族)、丸に三つ柏(大和・菅原氏族)。

・大阪府(P.194):梅鉢(系統未記入)、丸に剣片喰(大神氏族)、丸に橘(大和・藤原氏族)、丸に隅立て井筒(大和・藤原氏族)、丸に蔦(大和・藤原氏族)、丸に木瓜(大和・藤原氏族)。

・和歌山県(P.234):丸に左二つ巴(藤原氏族)、丸に星梅鉢(大和・大神氏族)。

・兵庫県(P.276):丸に違い鷹の羽(大和・熊野国造後裔)。

・岡山県(P.319):丸に剣片喰(大神氏族)。

・広島県(P.357):丸に星梅鉢(菅原氏族)。

・鳥取県(P.389):五つ瓜に蔦(大和・菅原氏族)、丸に剣梅鉢(大和・菅原氏族)。

・島根県(P.423):五つ瓜に蔦(大和・菅原氏族)、丸に剣梅鉢(大和・菅原氏族)。

・山口県(P.459):丸に抱き稲に蜻蛉(熊野別当族)、丸に星梅鉢(藤原氏族)。

・香川県(P.494):抱き稲に蜻蛉(熊野別当族)、丸に星梅鉢(菅原氏族)。

・徳島県(P.527):抱き稲に蜻蛉(熊野別当族)、丸に隅立て井筒(熊野別当族)。

・愛媛県(P.564):抱き稲に蜻蛉(熊野別当族)、丸に星梅鉢(菅原氏族)。

・高知県(P.598):丸に梅鉢(菅原氏族)、丸に左三つ巴(藤原氏族)、丸の内に三つ引(大神氏族)。

・福岡県(P.639):丸に井桁(藤原氏族、菅原氏族)、丸に星梅鉢(藤原氏族、菅原氏族)。

・佐賀県(P.675):左三つ巴(藤原氏族)。

・長崎県(P.710):丸に梅鉢(菅原氏族)、丸に井筒(藤原氏族)、丸に星梅鉢(菅原氏族)、丸に木瓜(藤原氏族)。

・熊本県:(掲載なし)。

・大分県(P.749):丸に隅立て井筒(藤原氏族)、丸に星梅鉢(藤原氏族)。

・宮崎県(P.821):丸に三つ扇(藤原氏族)。

・鹿児島県(P.857):丸に平井筒(菅原氏族)、丸に星梅鉢(菅原氏族)。

・沖縄県:(掲載なし)。


東日本編

・北海道(P.38):丸に星梅鉢(菅原氏族)。

・青森県(P.76):丸に星梅鉢(菅原氏族)。

・岩手県(P.112):丸に梅鉢(菅原氏族)。

・秋田県(P.149):丸に梅鉢(菅原氏族)。

・宮城県(P.188):丸に星梅鉢(藤原北家熊野別当族)。

・山形県(P.227):丸に星梅鉢(菅原氏族)。

・福島県(P.265):三つ輪(藤原氏族)。

・茨城県(P.307):丸に三つ柏(桓平中村氏族)。

・栃木県(P.348):丸に星梅鉢(菅原氏族、藤原氏族)。

・群馬県(P.388):丸に星梅鉢(熊野別当族)。

・埼玉県(P.432):丸に星梅鉢(大和・熊野別当族)。

・千葉県(P.481):丸に星梅鉢(大和・熊野別当族)。

・東京都(P.531):左三つ巴(系統未記入)、丸に平井筒(大和・藤原氏族)、丸に星梅鉢(大和・熊野氏族)。

・神奈川県(P.580):丸に平井筒(藤原氏族)。

・山梨県(P.617):丸に立ち梶の葉(系統未記入)。

・長野県(P.656):丸に梅鉢(菅原氏族)。

・新潟県(P.699):丸に梅鉢(菅原氏族)、丸に違い鷹の羽(菅原氏族)、丸に星梅鉢(菅原氏族)、丸に抱き茗荷(藤原氏族)。

・富山県(P.736):丸に井桁(藤原氏族)、丸に木瓜(藤原氏族)。

・石川県(P.772):丸に唐花(大神姓)。

・福井県(P.806):丸に星梅鉢(藤原氏族)。

・静岡県(P.848):丸に井桁(大和・藤原北家熊野別当族)、丸に星梅鉢(大和・藤原北家熊野別当族)。

・愛知県(P.891):丸に井桁(大和・藤原北家熊野別当族)、丸に星梅鉢(大和・藤原北家熊野別当族)。

・岐阜県(P.933):丸に星梅鉢(大和・藤原北家熊野別当族)。



筒井一族』の巻末の「筒井一族主要家紋」(順不同)

・星梅鉢、梅鉢、丸に梅鉢、剣梅鉢、加賀梅鉢、裏梅鉢、梅の花、覗き梅、五つ梅。

・丸に沢瀉、隅切り角に立ち沢瀉。

・梶の葉に投げ筆。

・三つ柏、丸に三つ柏、蔓三つ柏。

・片喰、丸に片喰、剣片喰、丸に剣片喰、丸に上剣片喰に扇子。

・二重亀甲に三つ柏、二重亀甲に三つ柏。

・五瓜に唐花。

・桔梗、丸に桔梗、隅切り角に桔梗。

・菊水。

・三つ銀杏、蔓銀杏。

・五三の桐、丸に五三の桐、隅切り角に五三の桐。

・丸に釘抜き。

・九枚笹、丸に九枚笹、笹菱、鹿の子五枚笹、角切り笹竜胆、隅切り角に笹竜胆。

・橘、丸に橘。

・揚羽蝶。

・蔦、丸に蔦。

・左二つ巴、左三つ巴、右三つ巴、丸に右三つ巴。

・丸に二つ引、丸の内に三つ引。

・七宝に花菱、丸に花菱、六剣花菱、丸に鎧木瓜に花菱、三つ盛り亀甲に花菱、丸に剣花菱、丸に違い菱、雪輪に花菱、丸に松皮菱。

・下り藤、上り藤に雁金。

・抱き茗荷、丸に抱き茗荷。

・丸に三文字。

・丸に木瓜、木瓜。

・丸に違い矢。

・六曜、七曜、九曜。

・丸に井の字、井桁、丸に井桁、丸に組合せ井桁。

・違い鷹の羽、丸に違い鷹の羽、丸に並び鷹の羽、鷹の羽団扇。

・下がり蜻蛉、芒に下がり蜻蛉。

・丸に三つ輪違い。