Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

「もみのきそのみをかざりなさい」五味太郎

2016.11.30 07:28

五味太郎さんはやっぱり詩人なんです。

それをはっきりと認識したのはこの「もみのきそのみをかざりなさい」を読んでからでした。

この絵本は開くと右ページに夜の中にあるひとつのモチーフが描かれ、左ページにはそのモチーフに対する言葉が添えられています。

その言葉は星や鮫や猫、ピアノや家に、囁く様な穏やかさで命令をする声なんです。

「ほし めざめなさい」

クリスマスの絵本ですから、これらは神様の声でしょうか。

はっきりとそう言える感じでもないのですけれど、その対象を見つめる優しい視線が感じられる囁きなんです。

それぞれの「名詞/モノ」に促される「動詞/動き」の組み合わせの距離がとても面白く、読んでいて気持ちが良いです。

「みち こころみなさい」

描かれているのはすべて夜の場面で、皆がその夜に、何処からか聞こえてくる囁きに耳を澄ましているように、いつの間にかこの絵本を読む自分も、一緒になって耳を澄ませています。

静かな夜の中で、短い言葉たちが響いています。


ほし めざめなさい

さめ わすれなさい

みち こころみなさい

はな おしゃべりをやめなさい

いえ たびにでなさい

ふくろう なぞをときなさい

じてんしゃ おもいだしなさい

もみのき そのみをかざりなさい



当店在庫はこちらです。

もみのきそのみをかざりなさい」五味太郎