WELQ騒動とFind Travel—Retripへの影響は?
DeNAが運営するヘルスケアのキュレーションサイトWELQが事実誤認の記事掲載、ライターへの他サイトからの盗用指示などの問題により記事の非公開を決めた。
同様に運営する他のDeNA内のキュレーションサイトも問題を改善するまですべての記事を非公開にしている。
オンライントラベル文脈ではFind Travelがそこに含まれていた事が大きな影響と言える。
以前比較記事を書いたようにもともとFind Travelと、ライバルであるRetripの2サイトはとてつもないSEO適応力でここ2年ほどで一気にPV数を伸ばしてきた。
この2社で観光系のキーワードの検索結果の上位を独占し、特にFind Travelはより上位にいく傾向があった。今年8月時点で撮ったキャプチャではFind Travelが「箱根 観光」で上位に来ているのがわかるだろう。
これが今日とったキャプチャだ。
Find Travelが観光協会サイトの次にいたのが順位が落ち、Retrip、じゃらん、Find Travelの順番になっている。
サイトを見ると記事はまったくなく、見事に空っぽの状態(一昨日見たときはお詫び記事が掲載されていたが)。
いつ復活するかはまだまったくわからないが、次第に順位は下がっていくのだろう。また、そこから這い上がる時間はどれぐらいかかるのか。壮大なSEOの実験としても興味深い。
なにより旅行系キュレーションサイトという一ジャンルを短期間で築いてきたFind Travelの問題は他のキュレーションサイトにも波及する可能性がある。
もともとキュレーションは盗用を前提としているわけではいないが、Naverまとめから始まったこの流れは実態としては他のサイトからの盗用が主流。資本なしで成長が期待できるからかスタートアップの参入が多い。運営の見直し、ピボット(事業転換)を余儀なくされるところも出てくる可能性がある。
Retripへの影響も気になる。Retripがどういう運営を行っているかはわからないが、対岸の火事として安穏としてはいられないだろう。
Find Travelは既にDeNAにバイアウトができているが、Reteipを運営するトリッピースは将来的にはIPOやバイアウトも視野に入れているのではないかと推測する。だがキュレーションサイトがこの状況だと、買い手もリスクを考えると二の足を踏むようになるし、バリュエーション(本来の企業価値に対して株価が相対的に割安か割高かを判断するための指標)が下がってしまう可能性は否めない。もし直近で考えていたとすると計画に狂いがでてきそうだ。
実際に観光をしてみるとわかるがキュレーションサイトは非常に便利なので、WELQの騒動余波でキュレーションサイト自体がすべてなくなる事はないだろうが、より健全なキュレーションサイト運営をこころがける必要はでてくると思われる。
Find Travelの復活、Retripへの影響、健全なキュレーションサイトの確立あたりはぜひ注目していきたいところだ。