映画『島々清しゃ』の安藤サクラ「これが最後なんじゃないか」と引退も過ぎった
【芸能ニュース】 平成二十九年一月二十一日に公開予定の映画『島々清しゃ(しまじまかいしゃ)/東京テアトル』は故・新藤兼人(壬子)監督の血を受け継ぐ新藤風(丙辰)が、十一年振りに監督を務めた作品だ。本年TIFFの「日本映画スプラッシュ部門」の公式出品作品として上映された。舞台挨拶では安藤サクラ(丙寅)、伊東蒼(乙酉)と新藤監督が登壇した。
本作は自分の耳が良すぎる事をコンプレックスに思い、母親とも友達とも上手く関係を築けない少女・うみと東京から島を訪れ、うみを優しく見守り、その背中をそっと押すヴァイオリニスト・祐子の物語。十年振りの撮影で十一年振りの映画公開、初のTIFFへの出品となった新藤監督。前作「転がれ!たま子(二〇〇五)/シネカノン」の後、祖父・兼人の意向により映画のサポートを行っていた新藤監督は、「私にとって宝物で幸せな時間だったが、どこか自分の人生から逃げ、甘えているんじゃないかと思った。」と当時の心境を明かした。「もう一度(映画監督として)いきたいと思った時に、この作品に出会えて迚も光栄に思う。」と、祖父が亡くなり空っぽになった時に原作を読み、もう一度作品を作りたいと思った。
<女優の貫禄、子役・伊東蒼>
安藤も女優としての活動が一年数か月振り。久しぶりの映画出演となった。「この撮影を行う迄は先の事も考えず、このまま芝居をしないんじゃないかと考えていた。」と、引退も視野に入れていた胸中を明かした。本作への出演を決めた理由には「この作品を知って、役者としての前に子ども達とおじいと音楽があるこの島に居てみたい、自分自身の経験として行ってみたいと思った。」と語った。撮影中も最後の作品との意識していた。そんな安藤に観客から日・アカデミ賞「最優秀主演女優賞」受賞の拍手が贈られると、照れながら観客へ感謝を伝える姿も見せていた。
主演を務めた天才子役・伊東は「本当は合格していないと思っていたので、(出演が)決まって本当に嬉しかった。」と喜びを見せた。映画の見所は「沖縄の島の綺麗な景色と音楽が、人と人を繋いでいくという所が魅力です。」と、大人顔負けのスピーチで女優の貫禄。新藤監督も「オーディション時はちょうど他の映画撮影中で、緊張しいな性格だが、ワンシーンをやってもらったら目が急に生き生きして演技を行う姿を見て『この子しかいないな』と思った。」と、撮影でも見事な演技を見せたと絶賛。
映画を観終わった観客から「もう少し(尺を)長くしてくれないか。」という依頼に、新藤監督は「私も観終わって、『クソ!監督め!」と思ったが、あの惜しさが次に繋がるのではないか。」と話し、自分自身もこの作品に背中を押してもらったと述べた。沢山の観客から大きな拍手が起こった本作は来年一月二十一日よりテアトル新宿他、テアトル系にて上映開始となる。
=あらすじ=
那覇市から西に約四十キロに位置する慶良間諸島。耳が良すぎて、少しでも音のズレを感じると頭痛がしてしまう小学生のうみは、三線の名手であるおじいと二人で暮らしていた。ある夏の日、島で開催されるコンサートのためにヴァイオリニストの祐子がやってくる。
耳のせいで変わり者扱いされ、母親や友だちとの関係に悩むうみは、祐子と出会い、フルートを練習し吹奏楽部に参加することで、少しずつ頑なに閉ざしていた自分自身を開放していく。祐子もまた、島で漁を営む元サックス奏者の真栄田や、おじいの三線に触れ、都会で荒んでいた心を取り戻していく。
祐子の訪れがうみに変化をもたらし、さらには島の人たちもそれぞれの悩みや問題を乗り越えていく。島々の清らかで美しい自然と音楽とが、人々をつなぎ、自分に向き合う力を与えてくれるひと夏の物語。
=クレジット=
映画『島々清しゃ(しまじまかいしゃ)』
公開:2017年1月21日(土)テアトル新宿他全国ロードショー
配給:東京テアトル
©2016「島々清しゃ」製作委員会
映画『島々清しゃ』舞台挨拶/東京国際映画祭
撮影記者:原田眞吾