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Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

多香鳥幸謌、附眞夜羽王轉生——小説34

2021.04.29 23:00


以下、一部に暴力的な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。



 祁布和迦禮

 お前はね

 憶宇阿

 見て居たね

 祁布和迦禮

 そのね

 憶禮波

 そのね

 祁布和迦禮弖那

 ゆきふるからね

 憶禮

 雪もふればね

 阿須波

 みていたね

 憶禮那

 お前はね

 阿須波那

 忘れたん?

 阿須波阿布美登

 お前はね

 阿須波阿布美騰那

 見て居たね

 憶禮阿

 そばで

 於母蔽騰母那

 そばでね

 於毛蔽騰母那

 おまえはね

 憶禮阿

 降る雪は

 與夜

 それでもね

 憶宇波

 おともなく

 與夜那

 おとづれもなく

 憶宇波

 しずかにね

 與夜布祁奴羅牟夜

 お前はね

 憶宇

 降る雪に

 與夜羅布祁努羅牟夜那

 あたたかな

 曾弖能奈

 降る雪にはね

 夜乎波

 ゆらゆらと

 曾弖能那

 かがやくね

 與乎波

 ゆらゆらと

 曾弖能都由祁彌

 ふるゆきは

 曾弖能都由祁彌

 おまえはね

 夜乎

 俺の見た風景を語ろうか?

 俺の見た風景を語ろうか?

 おまえとふたたびあったからね。

 俺の見た風景を語ろうか?

 その日わたしは手首をきった。

 おまえの見て居る前でね。

 俺はお前を殺さなかった。

 あんなたは自分で死んでいった。

 ひとりで。…なぜ?

 夜乎

 ひとりにするともりはなかった。

 たとえ、お前を、

 たとえ、お前をね

 夜乎波

 あんたは俺を愛さなかった。

 目に入れる事さえ無かった無かったろう?

 一人にする気はなかったよ。

 それでもひとりにしたけどね

 十二歳のお前をね?

 俺は誰の子?

 俺は誰の子?

 夜乎波

 俺はあんたを憎めさえしなかった。

 愛さなかった。

 俺はあんたを憎めさえしなかった。

 夜阿

 手首を切ったのはわたしの傲慢

 お前を捨てた。

 幼いね?

 お前を捨てた。

 波阿波

 那伊伎曾禰

 由岐賀布留加良

 那伊伎曾禰

 彼が私をなぐったときに、わたしは窓の向こうに雪を見た

 最後に見る雪だと思った

 ひとりで見ながら死んでいく

 わたしはひとりの女を見た

 それはねお前の多伽子だろう?

 それはねお前の母親だろう?

 わたしはお前の事など忘れた

 心はわたしに一致した

 ぴったりぴったりひとつになって

 ぴったりぴったり由羅らいだ

 ゆらら由良らにゆららいだ

 その雪に

 ゆららゆら羅とゆららいだ

 夜阿波

 那伊伎曾禰

 夜阿波

 由岐賀布留加良

 夜阿波

 那伊伎曾禰

 夜阿

 お前はひとりでみていたね

 祁布和迦禮

 それ港区の六本木

 憶宇阿

 舊防衛庁には櫻咲く

 祁布和迦禮

 まだあるもんか櫻など

 憶禮波

 冬ゆきふれば雪の花

 祁布和迦禮弖那

 花のいろこそ同じけど

 憶禮

 匂いはまったく別だろう?

 阿須波

 匂いはまったく別だろう?

 憶禮那

 お前はね

 阿須波那

 わたしをじっとみていたね

 阿須波阿布美登

 お前の前で肌を見せ

 阿須波阿布美騰那

 つややつややと肌を見せ

 憶禮阿

 雪の色した肌を見せ

 於母蔽騰母那

 教会近くのその部屋で

 於毛蔽騰母那

 東京タワーは雪の中

 憶禮阿

 窓の向こうに雪の中

 與夜

 お風呂に使ってつやつやと

 憶宇波

 溶けない雪はつやつやと

 與夜那

 お前はみたねこの俺が

 憶宇波

 お前は見たねこの俺が