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旅のチカラ、旅のカケラ

マラッカに落ちる

2008.02.23 13:30


バックパッカーの間で「沈没」という言葉がある。

これは一箇所に留まり、現地の人に同化して過ごすことを指す。

足繁く観光をしていた昨日までが嘘のように

出不精になり、宿でダラダラなんてことに。


旅立つ前は、「沈没なんてもったいない!」

と、思っていたけど、

その気持ちが少しわかってきたかもしれない。


シンガポールを後にし、

マレーシアのマラッカに辿り着いた。

歴史情緒に溢れた美しい街並み。

人々もやさしい。料理も口に合う。


「もっとここにいたいな」

そんな小さな気持ちが芽生えてきた。


宿探しも難航し、3時間街をさまよってようやく手にしたベッド。

エアコンが効き、ファンがそよ風を運ぶ。

もう、動けないや…。

ベッドに大の字になり、ぼんやりと天井を見上げる。

この幸せな気持ちって何だろう?


自分で選んで、日本を離れた過酷な旅。

自分で自分を落としておきながら、

ほんの少しのやすらぎを手に入れる幸福感。

今までは当たり前にあったものなのに、

今では何よりも愛しい時間。

日本に帰ってもこの気持ちって薄れずにいられるかな?

満たされすぎてた毎日に鈍化する幸せの定義、

そして欲深くなる自我…。

日本にいるときよりも

幸せを感じるハードルが確実に低くなった。


ずっとこの自分でいたいな。

怠惰とやすらぎの狭間で、

少しだけマラッカに落ちて考えた。