大王対女帝28-じゃがいも戦争
2021.04.30 09:02
1778年7月、プロイセンはまたもやボヘミアに侵攻した。ザクセン公国はプロイセンに味方し、ケーニヒグレーツを包囲してにらみ合いになる。そして双方とも、相手の糧食確保を邪魔するためにじゃがいも畑を荒らしたので「じゃがいも戦争」と言われた。農民はいい迷惑である。
そして、ロシアのエカチェリーナ2世が、この戦争を終わらすため、ポーランドの墺領国境に軍を展開して、戦争をやめねば、墺領に侵攻するぞ、との構えを見せた。そこで女帝マリア・テレジアは、息子の頭ごしに、仇敵大王に手紙を書いて和平交渉を行うのである。
さらに女帝は、ルイ16世にバイエルンを返還するからと、和平の仲介を願う手紙をこれまた息子の頭越しに送り、フランスとロシアが仲介者として和平交渉が行われた。オーストリアは、バイエルンの若干の領土を得るだけで、撤退せざるを得なくなったのである。
プロイセンは、アインスバッハとバイロイトを将来併合することが認められ、利益を得て地位を高めた。ヨーゼフ2世は、軍を動かした割にあまり利益が得られず、信用は落ちた。仏王夫妻は、なんとか戦争を回避してほっとしたが、仏墺関係は、ギクシャクし始める。