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ホイールインプレ第1段

2016.12.03 21:13

こんにちは!剛脚(?)ローディーです。


今回はホイールインプレとしまして、イタリア「FULCRUM」の「RACING SPEED XLR 35 TUBULAR」のインプレをお送りさせて頂きたいと思います。


ホイールインプレをお送りする前にFULCRUMの簡単な紹介をさせて頂きたいと思います。



■FULCRUM(フルクラム)のメーカー紹介■


元々はカンパニョーロから枝分かれし、派生したブランド。創業時の3人の航空宇宙工学エンジニアの考えを反映させ、同社が開発、販売を開始した2:1スポーク組ホイール(カセットスプロケット側2本、反カセットスプロケット側1本で編んだスポークの組み方)は今や他社ホイールにも採用される組み方です。


創業時に親会社のカンパニョーロから移籍した職人等もおり、比較的新しいメーカーながらも、新興メーカーとは少し言い難いメーカーです。ちなみに同社はカンパニョーロの完全子会社です。

それでは、本題のホイールインプレに移りたいと思います。


今回は箱根峠を含んだ往復150Kmのコースでテストしてみました。


飽くまで全て個人的な感覚、意見であり、性能や抱かれる感覚や意見を保証する内容では御座いません事、予めご了承下さい。


■剛性■

高いです。50mmハイトの同社レーシングスピードXLR 50より大人しくなっているかな、と思っていたのですが、同等かそれ以上に硬く感じます(リムでの衝撃吸収がハイトの分だけ下がり、衝撃吸収性が落ちているのも一因かも知れません)。体重がある人やパワーが大きい人は良いかも知れませんが、初心者や体重が軽い人には脚への反発が強いと思いますので、硬すぎて辛くなってしまうかも、と思います。


■反応性■

剛性と同じく、高いです。踏んだ分だけタメが無く、スッとスムーズに加速して行きます。個人的にはスプリントでも強いと思います。


■ブレーキ制動■

ブレーキ当り面の表面を予め荒らした3Diamentトリートメント処理により、制動性は同社のレーシングスピードXLR 50より上がっている感じはあります。制動性は確かに上がっていますが、3Diamentトリートメント処理を施している為、ブレーキシューが削れるのはかなり早いです。処理を施しているとは言え、アルミリムのホイールの方が制動性は上だと感じます。


■回転■

やはりかなり良いです。下りでの速度の伸びや、平地での空走時の速度の落ちが違います。とても気持ち良い回転の仕方で乗っていてクセになります。


■登坂■

タメがない高い剛性と反応性、軽い重量を活かして軽く登って行けると思います。こぎ出しも軽いですし、ストレス無く登って行けると思います。個人的には同社のレーシングゼロよりストレス無く登って行けました。


■統括■

ロングライドからスプリントまで1本で行けるホイールだと思います。確かに硬く、好き嫌いが分かれるホイールですが、とても良いホイールだと思いますし、個人的には1本持っておいて良かったかな、と思います。高速域での巡行性では確かにリム高50mmハイトクラスの方が良いですが、何でもこれ1本、という場合は少し辛い場面が出てきますし(50mmハイトクラスですと慣れる迄強風時にはかなり危険が伴いますし)、そう考えると35mmハイトは丁度良く、使い易いと思います。


使用タイヤはマヴィック「イクシオンプロパワーリンク」、「イクシオンプログリップリンク」チューブラーを使用、空気圧は前後9気圧でテストしています。


■豆知識■

同社のRACING SPEEDシリーズはリム高の違いで35mmと50mm、80mm、ディスクと用意されており、この内35mmと50mmではノーマル仕様と上位仕様のXLRとが用意されています。ノーマル仕様とXLRとどこが違うのか?という点で違いを書かせて頂きたいと思います。


■違い①スポークテンション■

スポークテンション(=スポークを張る力の掛け方)がXLRの方が高く、より剛性が上がる様に組上がっています。これにより、更に掛けたトルクが逃げにくくなっています。 


■違い②スポーク■

スポークが電子ノギスで計らないと判らないレベルではありますが、XLRの方が微妙に太いスポークを使用しています。これにより、スポークテンションと同じくより剛性が上がり、トルクが逃げにくい設計になっています。


■違い③ハブとハブ胴■

ハブがXLRはCULTベアリング(カンパニョーロとフルクラム製品に使われるベアリングの中では最高級のベアリング)を使い、より回転抵抗の低減を図っているのに対し、ノーマル仕様はUSBベアリング(CULTの1グレード下のベアリング)を使用しています(昨年度モデル※2016モデルまでは更に1グレード下の普通の鉄球ベアリングであり、今年度※2017モデルに入ってベアリングのグレードが上がりました)。CULTとUSBの違いを感じる場面としましては、平地の空走時での速度の落ちにくさと下りでの速度の伸びがCULTの方が優れていて速度が落ちにくい(若しくは伸びてくれる)、と感じる事はあります。

ハブ胴(ベアリングが収まっており、クイックレリーズが貫通する部分)がXLRは前後でカーボンを使用しているのに対し、ノーマル仕様は前後でアルミ製であり、ハブフランジ(スポーク接合部)のカラーがXLRはマットレッドアルマイトなのに対し、ノーマル仕様はブラックと各部で差別化しています。 


■違い④重量■

ノーマル仕様よりXLRの方が軽く仕上がっています。

※参考メーカーカタログ値。カンパボディの場合。シマノボディの場合はこれより数10g重くなる事があります。※


レーシングスピードXLR (50mm=1350g)


レーシングスピード(50mm=1380g)


レーシングスピードXLR (35mm=1235g)


レーシングスピード(35mm=1260g)


上で違いを挙げてみましたが、「逆に、共用パーツはあるの?」と思われることもあるかと思いますが、実はあります。リム本体はノーマル仕様とXLRとで共用であり、上記の違いで差別化しているのです。個人的な意見ですが、ノーマル仕様の方がXLRに比べると仕様が多少落ちますが、乗りやすさを重視するならばノーマル仕様の方が乗りやすいと思います。


※注釈※

レーシングスピードXLR50、レーシングスピードXLR35は共に新シリーズ「SPEEDシリーズ」への移行に伴い、現在新品はメーカー生産終了につき、メーカー若しくは販売店在庫限りの販売となっている様です。ご迷惑をお掛けしまして大変申し訳御座いませんでした。