消臭調査+作業 ケース3
ペットの悪臭隠蔽? 悪徳不動産に騙された?!
- 建築物種類:マンション(集合住宅)2LDK
- ペットの種類:猫(多頭飼いの可能性大)
- 臭いタイプ:猫の尿(おしっこ)、マーキング
- 作業:消臭対応特殊リフォーム及び、消臭作業
- 売値2,000万円以上の物件が買取値680万円?!3/1以下の資産価値低下?!
- 300万円の値引きがあり購入したが、悪臭に悩み300万円近くかけて消臭リフォームをすることになった!
依頼背景と内容
「中古マンションを購入したのですが異臭がするので消臭してほしい」と連絡を受ける。消臭するに当たり、初期調査およびカウンセリングを行うことに。
*当方、ペット臭に関する消臭が専門分野である事を了承済み。
事前情報
異臭箇所: 扉止床設置金具付近、窓、木枠、引き戸のレール、壁、玄関、他
異臭の原因ですが、前の入居者が猫を飼育しており、おそらく尿が原因かと思われるとのこと。
初期調査内容
はじめに状況確認のため、依頼者へのヒヤリングをおこなう。
【6ヶ月前に物件購入(中古)。
コロナ禍でマスクをしての取引だったため、内覧当初臭いは気にならなかったが、住んでみると異臭に気づいた。
不動産業者に問い合わせると、数回ほど市販の消臭剤を持ってきて対応してくれたが、担当者は「私は臭わない!」の一点張りだったが、それでも居住者は臭いが消えていないことを伝える。
その後、扉や止具の交換及び専門業者による消臭(光を当てていたとのことなので光触媒による消臭? またはオゾン消臭? 居住者は消臭方法について知らされていなかった)を行ったようだが、表面上の処理をしても、臭いは消臭できなかったと言う。
さらに不動産業者は、ここまでしたのだから今後臭いに関するクレームは出さないで欲しいと、一方的に覚書まで交わされサインさせられたと言う。
不動産業者の対応を不満に思い、自身でネット検索して調べ同じような環境(状況)に対応した消臭作業を行なっている、当社(ベスト株式会社)に連絡をした。
問い合わせまでの時系列
2020/8中旬:内覧
*コロナ禍におけるマスク着用および室内窓空け換気での内覧のため、この時点で臭いに気付かなかった。
2020/09?:契約
2020/10上旬:引越
*引越の数日前に訪れた時、異臭を感じる。
引越後、住み始めてその異臭に不快感を覚え、不動産業者に連絡する。
*前の所有者が猫を飼っていたことを、不動産業者から初めて伝えられる。
2020/10中旬〜11上旬:不動産業者による消臭対応
*市販の消臭剤による対応数回
*扉や止具の交換
*専門業者による表面消臭(オゾン消臭?)
2020/11中旬:消臭対応の終了覚書
2020/11/6:ベスト株式会社に調査依頼連絡
購入時、300万円もの値引きをしてもらったが、原因は臭い問題があったからではないか?と、今は思う】
とのこと。
*物件取得に伴う所有権の移転登記(不動産登記)の際、前所有者の売値は680万円だったという。該当物件の中古販売価格は2,000万円以上するので、前所有者は3/1の値段だったといえ、臭いにおける資産価値低下(査定)が予想される。
調査方法は異臭がするという指定場所を、空気環境測定器による温度・湿度・化学物質系の数値測定および、直接臭いを嗅いだ。
初期調査結果
依頼者指定場所の臭いを嗅ぐと、おそらく猫と思われる強烈な刺激臭(尿臭)を確認。
窓サッシには、マーキングと思われる刺激臭を確認。
出窓腰高部は、おそらく移動のための足場となる家具が置いてあったと思われ、床より高い位置での異臭を確認した。
リフォームされて売り出された室内は一見綺麗に見えるが、強烈な異臭の元は素材表面の下にあることが想定できる。
*空気汚染測定器におけるHCHO・TVOC値も、他の場所に比べ高くなる変化があったが、その関係性は不明である。
結果、おそらく猫と思われる尿臭やマーキング臭を確認でき、その強烈な臭いは苦痛と言えた。
居住者も臭いが気になりとても不快になるということで、調査結果を受け次の段階として、解体調査及びリフォーム含む消臭作業の依頼を受けた。
解体調査の内容によっては、リフォーム内容の変更を提案させていただくことを伝へ、予算も含め依頼者に判断してもらうことで合意した。
*臭いは1度気になり不快に思うと、慣れるよりも敏感になる場合があると言える。
解体調査
これも臭いの原因の一つで、床の尿は壁も汚染するという現状結果です。
石膏ボードを支えているスチール製の柱も、尿で腐食している。
ここからも強烈な臭いが・・・!
腐食部分は、清掃後に消臭作業を行います。
リフォームされたフローリングシートを剥がすと、元のフローリングの壁際には大量の猫の毛と、それに混ざる尿が確認できた。
これは、臭いの対応を徹底せず「臭いものには蓋をしろ!」的にリフォームを行った、不動産業者?の確信犯?とも言える証拠ではないでしょうか。
フローリングを剥がした下地(台座含む)にも、尿のしみ跡が確認できた。
おしっこをされた後、表面上を処理(掃除)しても、フローリングの下にシミ出て汚染している現状結果で、これも臭いの元となっているのです。
*長い時間かけて染み込んだ液状の臭いの元(尿)は、消臭剤をかけても臭いの元全体に染み込み行き渡るまで、同じような時間が必要になるとも言え、物理的に分解しきれない傾向にある。
もちろん、この下地ボードや台座も撤去して、RC躯体のスケルトン状態から消臭作業を行い、新しくリフォームします。
RC造の建物において、サッシにされた尿やマーキングは厄介です。
サッシ枠は躯体に固定されているので、簡単には取り外すことはできず、大掛かりな解体作業となるため、費用も時間も多くかかるからです。
臭いの元となるサッシレール滑車部や、下回りなどを洗浄したのち消臭作業を行う。
分解可能な箇所の掃除+消臭で、できる限り臭いの元を断ちます。
サッシレール内部も臭いを確認。汚染されている?
できる限り洗浄してから消臭作業を行いました。
リフォーム作業
スケルトンの状態から消臭作業を丁寧に行い、その後、下地を取り替え、フローリングを仕上げて行きます。
この時、消臭対策用に一手間加え(特殊消臭リフォーム)、丁寧に施工して行きます。
壁下地も補修(特殊消臭リフォーム)し、壁紙と巾木も新しくリフォーム完了。
臭いに敏感になっていた依頼者としても、気にならない程度までまで消臭できたとの事でした。
しかし、サッシ下回りからの若干の臭いがどうしても気になり、この機会に出来る限りの事をしたいとの事ですが、躯体に固定されているサッシを解体除去して新しいものに取り替えるだけの予算がなかったので、相談の結果、内側に窓サッシを追加し2重サッシにすることで、臭いを閉じ込めるだけでなく、断熱・防音効果も得られるようリフォームすることになりました。
まとめ
匂いは人それぞれ感じ方が違います。
しかし、一度悪臭と感じてしまうと、ストレスとなり、時には体調にまで影響するものです。
その逆に、良い香りはアロマ効果でリラックスできたり、体調改善にもなるのです。
今回の事例では、
- 前住居者のペット(猫)の飼い方や住まい方に問題があり、尿(おしっこ)やマーキングによる「室内の臭い汚染」が起こり、資産価値低下と見なされ売却時の大幅値下げとなった。
- 買い取った不動産業者は、利益向上とコスト削減のため?消臭対策をしっかり行わず、表面上のリフォームを行い見た目を良くして、相場の価格よりも値引き(300万円)して売りに出した。
- 依頼者は、物件閲覧時はコロナウイルス対策としてマスク着用及び窓開けなど換気対策が施された状態で臭いに気付かず、該当物件を相場より300万円安く買えて得したと感じた。
- 居住後、臭い問題に悩まされ不動産業者に相談するも、何度か対応してくれたが表面上の施工で臭いは消えず、対応に納得できないまま一方的に対応終了の契約書(覚書き)にサインさせられた。
- 居住者自身(依頼者)で消臭調査及び対応してくれる会社を探し、消臭作業+リフォームを行い納得できる住まいとなったが、費用は約300万円ほどかかってしまった。
結局、関わる全ての人が損をしたとも言える。
- 前住居者は、ペットの飼い方や住まい方に注意していれば資産価値の低下は防げたかもしれない。
- 買い取った不動産業者は、300万円値引きするならしっかり消臭対策を行ってリフォームすれば、値引きもせずその後の対応で何度も足を運ばなくても、済んだかもしれない。
* 反面、唯一利益に結びついたとも言え、経営方針上利益向上は大切だが、長い目で見ると顧客との信頼関係が利益に結びつくとも言えるので、誠意ある対応が望ましかったと個人的には感じる。 - 一番嫌な思いをしたのは、間違いなく現居住者の依頼人であろう。
ペットと臭い問題
ペットと暮らす上で必ず直面する臭い問題、住まい方や住まい自体の改善で予防することができます。
実生活における大切な拠点でもある住まい。